キリット君の気持ち | まじょねこ日記

まじょねこ日記

魔女の大切な仲間の猫たちの日常をみてください


まじょねこ軍団との話し合いは思ったよりすんなり終わった

何日も悩んだ自分がバカみたいだった


全員が快く《キリット君》を受け入れてくれると言った


廊下軍団もみな心配してくれていて、そのことを話すとまた大いに喜んでくれた


《ジンジン》以外のみんなは辛い過去を背負ってここに来たのだから

《キリット君》の辛さがわからない訳がない



まじょねこ軍団の優しさに後押しされ

今度は《キリット君》の気持ちを聞くことにした



魔女 「キリット君・・」


キリット 「なにっ!」


魔女 「そう怒らないで聞いて」


キリット 「・・」


魔女 「ねえ、《キリット君》 元気になったらまた森に帰りたい?」


キリット 「もり?」


魔女 「《キリット君》が住んでたとこ」


キリット 「・・」


魔女 「猫がいっぱいいたでしょ、《すがりつき君》や 《ちずのすけ》 《黒丸》に 《サンボ》たち」


キリット 「・・」


魔女 「中には《キリット君》を虐める子たちもいるよね」


キリット 「《すがりつき》や《さんぼ》、《くろまる》は ぼくを いじめない」


魔女 「うん、知ってる」


キリット 「・・」



魔女 「人間は?」


キリット 「とってもやさしいひと・・ けどこわいひともいる  こわいひと・・ ぼくに いたいことする汗


魔女 「その怪我もそうなの?」


キリット 「・・」


魔女 「人間にやられたの?」


キリット 「・・汗汗


魔女 「言わなくていい・・ 辛い思いをさせちゃったね・・」


キリット 「・・汗




魔女 「《キリット君》、ここで暮らさない? 2階にたくさんの猫がいるんだけど、みんなが《キリット君》、おいでよ、って言ってるよ」


キリット 「・・にかい?」


魔女 「ここは家、っていって、大きな箱みたいなもので、その中にまた小さな箱があるんだ、ここの上にも箱があって、その中にいっぱいの猫がいるの」


キリット 「ここは おおきな はこなの?」


魔女 「うん」


キリット 「このまえ あめ ふった」


魔女 「そうだったね」


キリット 「あめ ふったけど ぬれなかった」


魔女 「箱の中だからね」


キリット 「あめよけ?」


魔女 「そうだよ」


キリット 「こうえんに おにいさんが はこ おいてくれた あめのとき    そしたら ちがう にんげんがきて こわした」 


魔女 「いけないね」


キリット 「じめんがあかるくてさむいとき(多分雪の日) だれかが しげみに あたたかいの おいてくれた ぼくたち うれしくて そこで ねてたら ちがう にんげんが きて すてた  なんかいも すてた   おいてくれた ぼくたちの みずも すてた  まいにち すてた」


魔女 「いじわるだね・・」


キリット 「・・いつも こわす いつも すてる」


魔女 「ここでは そんなことないのよ」


キリット 「それだから いっぱいの ねこが いるの?」


魔女 「そうだよ この箱は雪よけにも、風よけにもなるんだよ」


キリット 「そんなの あるんだ・・ ぼく あめ ふったら いつも ぬれてた」


魔女 「知ってる、雨の日はいっつもびしょびしょに濡れてたね」


キリット 「うん  ふつうだよ」


魔女 「《キリット君》は森と、ここの箱とどっちで暮らしたい?」


キリット 「・・」


魔女 「わかんないよね・・」


キリット 「うん・・」


魔女 「ここにいたら雨に濡れることもなく、雪に埋まることもなくて、他の猫や悪い人間に虐められることもないけど、自由にあちこち行けないし、枯葉のお蒲団もないの」


キリット 「・・」


魔女 「ここの生活がどんなか、他の猫たちがどんなか、《キリット君》にはわかんないよね」


キリット 「うん・・」


魔女 「魔女やみんなと暮らしてみて、森の方が良かったら森に帰ったらいいよ」


キリット 「・・いいの?」


魔女 「うん、いいよ  とにかく みんなに会ってみる?」


キリット 「・・」


魔女 「毎日覗きに来てる子もいるからきっと大丈夫だ、みんな待ってるのよ」


キリット 「・・みてみる」



こうして《キリット君》はアトリエから軍団のいるリビングに引っ越すことになった


私はららママさんからゲージを借り、それをリビングに設えた