最悪の現実 | まじょねこ日記

まじょねこ日記

魔女の大切な仲間の猫たちの日常をみてください


実はカトマンズに着いた翌日

魔女はショック極まりない知らせを受けていた


その事実はにわかには信じ難く

我が耳を疑い、それ後目が眩むような衝撃を私に与えた



昨年4月

ダリットの女性たちが自力で用意した土地に

私と寄付をしてくださった方々のお金で彼女たちの学習と職業訓練のための家を建てた

これは覚えていらっしゃる方もおいでかと思う


それがこんな田舎にも道路拡張の波が押し寄せ

突然取り壊されることになったというのだ


その通達が村に届いたのが1ヶ月前で

この国のことだから当然取り壊しに際しての保証は一切なされない



村は騒ぎとなり、ダリットの女性たちは困惑し

その落胆と憔悴は如何ばかりかと思われる



魔女の落胆もまた著しく

怒りの持って行き所がないことに悔しさは募るばかり


寄付金をいただいた方々には誠に、誠に、申し訳もたたず・・

それも含めてショックのあまり言葉も出ない



日本であれば、前もって10ヵ年、5ヵ年計画として人々に知らされ

国民はそれを踏まえて何らかの準備をしたり、生活設計を変えたりもできるし

立ち退かねばならない家には保証金も支払われる


しかしここでは

困惑しても、落胆しても、怒ってみても・・ 国は一切てを差し伸べてはくれない

どうしようもないことと、唇を噛んで諦めるしかないのだ



たった1年で取り壊されることになったピンクの家には、彼女たちの希望がいっぱいに詰まっていたのに・・



しかし

憔悴と落胆甚だしい魔女と違って

女性たちは強かった


初めは驚き、次に落胆・・ 

しかし彼らは毅然として立ち上がる


私たちは引き返さないという思い

それは魔女のそれより強かった


理不尽な人生に慣れている分、彼らは屈強だった



夕食後、ここに女性たちが集まった


そして代表の女性が言い難そうな表情をしながらも口をきった



1ヶ月前、希望の家の取り壊しが決まりったという知らせを受けて

私たちの間で大騒ぎになりました


一日の仕事を終え、毎夜みんなで集まり

読み書きを覚え、算数を勉強し

自分たちの未来について色々なことを話し合った日々を、これで終わりには到底できない


私たちは既に新たな土地を見つけました

そこにもう一度、壊されたのと同じ家を建てたい

それが私たちの願いです


知らせを受けてからの1ヶ月間で、私たちはあとこちの有力者や事業者たちの元を訪ね歩き

彼らに事情を話し、懇願し、寄付を募りました


そうして土地代金の5分の3を集めました


しかしこれ以上はもう無理で・・

土地は他に買い手がつけばそちらに売られます


今、土地さえ手に入れば、どんなに時間が掛かろうと希望の家は必ず自分たちで建てます


ですから・・



彼らが言いたいことは判った


考えておきます・・ その時私はそう返事をした



女性たちが歌を歌いだした

私たちは彼女たちと一緒に踊り、時を共にした


歌声と手拍子が夜の村に響き渡る





       





翌朝

希望の家には制服を着た女性たちが集まった



         彼女たちの家と私たちの・・ これが最後の記念撮影





      この時、道路拡張工事は直ぐそこまでやって来ていた



            この先には希望の家がある



これより後、一週間以内に彼らの家は取り壊しになる



けれど、女性たちは諦めない


屈強な心は失望を希望に変え


これまで味わったいくつもの過酷な運命は彼らを忍耐強さを植え付け

屈辱を乗り越え

彼女たちは歯を食いしばって生きてきた



そうしてやっと掴んだ希望は

彼らに笑顔をもたらす








この後私は良い方に協力を得られ


彼らは新たな土地を手に入れることになるだろう