へろへろの汗まみれで学校に到着
よたよたと職員室に入ろうとすると
教室から子供たちの呼ぶ声が・・
この子たちの笑顔が、まるで乾季に水を得るが如くに暑さで萎れかかった私の心を立て直す
子供たちは職員室までやって来てしまい、先生に教室に戻るよう促される
職員室にはこの学校を運営する村長を始めとする村の代表者が集まっていた
ここはガバメントスクールだ
ネパール地方部の殆どの学校がそうであるように
公立とは名ばかりで政府が学校に援助を与えることは殆どない
多分地方予算として些かは組まれていると思うが、不足もいいとこだ
学校は村や私たちが建て、貧しい家庭が多い所では教材も村で用意する
先生の給料も政府からの支給はなく、村で支払う
村からと言っても、貧しい家は日々生きるのに精一杯だから、結局土地持ちのある程度お金のある人間たちが払ことになる
心ある先生は、その乏しい給料から子供たちのために本を買い、生徒たちが自由に読めるように学校に置く
もはや公立ではなく、村立というべきだ
そんなだから教科書は回し読みになるし
進級すればそれは下級生に譲らる
生徒は任意の年齢で入学するから
同じ学年でも年齢はバラバラだったりもする
先生方
村や学校からの歓迎を受け、ご機嫌のラクちゃん
それにしても、ティカの授かり方が下手ね
鼻にまで垂れちゃってるが、本人は見えてない・・
学校に持って来たノートや鉛筆を渡す
クリシュナ校長が真剣な顔で何をしているのかというと・・
立会人の女性を従えて貰ったノートや鉛筆などの文房具の数をみんなの前で数え、その数を帳面に記載しているのです
これは日本式を取り入れた
内容が記載された帳面には寄付された村、学校、そして寄付をした側それぞれが確認し、サインを記す
これは人々の前で寄付金や文房具等を明らかにすることで、後のいざこざをなくすためだ
このようなところでは個人対個人で金品のやり取りをするのは村人の疑心暗鬼を生み
しばしばつまらぬ諍いを起こす
それで村の代表、学校の先生方の前で受け渡しをすることで、その場に他立ち会ったみなが保証人となり公正を期すわけだ
そんな当たり前のことが、コネと賄賂が横行するネパールではなかなか定着しない
しかしここではそれを守ってもらいます
学校の建て直し、そして机や椅子などの手配をした時の交換条件により、ここは全てのカースト及びダリットの子供も受け入れるモデル校となった
それにより大幅に生徒の数が増えた
それでノートや鉛筆等は主に学用品の買えない貧しい家庭の子に配るように先生方に頼む
それにしても校長先生
数ある鉛筆を1本1本数えるから時間の掛かること・・
そこまできちんとしなくても適当でいいじゃない?
・・よくないか
それが終わったら村の代表たちの間で私たちを今夜どの家に泊めるかの相談が始まる
なので魔女はその場を離れ、教室を覗くことにする
先生に促されるまでもなく、生徒たちは自ずから立ち上がって挨拶をしてくれる
魔女 「みんな頑張って勉強をしてね」 生徒たち 「はい!」