本日、『出禁』 を引きずったまま、《凜》は5才になった
5年前の今日
小さな、小さな猫が・・ 川でドンブラコと流されていた
それが《凜》
連れて来たその日、仔猫は魔女の膝で眠る《ユリぼうず》に向かって必死によじ登ってきた
仔猫 (おかあちゃん・・)
ユリぼうず 「はいはい、おかあちゃんですよ~」
仔猫 (おかあちゃん!)
そうして《凜》と名付けられた仔猫は
《ジンジン》に可愛がられ
眠って・・
眠って・・
眠って・・
眠りに眠って・・
目覚めれば・・
興味の全てをキッチンに注ぎ始め
挙句、食材と記念撮影をするのが趣味という、変わった猫に成長し・・
蛇口から水を出すことに執着し
台所の水道から出す水の量の調節を覚え
トイレの水を流すのは朝飯前
洗面台のコックを捻り
バスルームのコックも捻り
蛇口という蛇口すべてから水を流しでまわり
終いに、魔女は外出時に全ての蛇口を縛って出掛けなければならなくなった
そんな《凜》はこのところ
日が長くなるにつれて帰宅時間が遅れだし
ついに帰宅が夜になり
締め出され
天窓から泣いて謝るという日々
それよりも、生来のくったくの無さから
廊下組みの誰にでも飛びついて、彼らの生活を乱た罪により
遂に『出禁』を言い渡される
そうして迎えた5才の誕生日
魔女 「《凜》、お誕生日のプレゼントは何がいい?」
凜 「出禁解除でお願いします!」
魔女 「はい、却下!」