５月３１日は《ボンネット》６才の誕生日だった
誕生日といっても大方のまじょねこと同様、魔女の家に来た日なんだけどね
戻るはずの母親を待ち続けていた一匹ののらちゃんの仔猫
待てど暮らせど帰らない母親を探してそれまで母親と暮らした住処を後にした
それは夜で
ひとりぼっちで淋しくて不安でいっぱいだったんでしょうね
小さな仔猫はひとり、母親を探して鳴きました
鳴きながらも、何かの音がすると草むらにかくれ
人の気配がすると、物陰に身を潜めました
よちよちと歩きながら母親を探し歩くうちに
雨が降って来ました
雨足は強くなり、草むらに隠れても
軒下に隠れても濡れてしまいます
母親を探して歩くうちに、元いた住処もわからなくなっていました
どうしようもなくなった仔猫は
そこにあった車の下で雨宿りをしました
直ぐ横を車が通って行ったのでしょうか
それとも人が通ったのでしょうか
仔猫は （かくれなきゃ・・） と思いました
車の下から上を見上げると、そこに隙間が見えました
そうして仔猫はタイヤを伝って這い上がり
隙間に入り込みました
そこは狭くてちょっと安心できました
親を探して鳴き続けた仔猫は疲れ果てていて
そこで眠ってしまいました
そこが自分の運命の別れ道だとも知らずに・・
雨音に混ざって車のボンネットから仔猫の鳴く声が・・
そこを開けると毛の白い部分が薄汚れた白黒の仔猫がうずくまっていました
それで名前は《ボンネット》
《ボンネット》は駐車場から魔女のバッグに入れられて魔女家にやって来ました
どんな仔猫もそうであるように
《ボンネット》は天真爛漫でした
そうして、ここにやって来たどんな仔猫もそうであるように
《ボンネット》は《ユリぼうず》をかあちゃんと慕いました
車のボンネットからこうしてバッグに入れられて魔女家にやって来た日
ちょっとまだ不安そうね・・
にんげん・・
立派な魔女家の一員の顔つきになったね
こうして《ユリぼうずかあちゃんを》慕い続け・・
《アゾ》に遊んでもらい
《インジゴ》に守られ
《ジョン ブリアン》に見守られ
たくさん寝て
《ボンネット》はすくすく育ちました
途中からすっかり臆病者に変身し
尿路結石で死に掛けたこともあったけど
今はとっても元気
つぶらな瞳が可愛らしい小さな《ボンネット》
あれから６年・・
つぶらな瞳はどこいった 