時代は巡る
小学6年の終わりに出会い、途中引っ越すも、遠くなった引越し先から、そして大学に行っても、就職しても、時間を作っては電車に乗り、駅から片道20分を徒歩で通ってくれているかおりちゃんがいて
小学1年から大学生までアトリエに通ってくれたまいこちゃんは
その後就職して独り立ちし、そして結婚、一児の母となった今
またアトリエに通い始めた
3歳から高校1年年までここに通っていたあこちゃんは
今年 大学に合格し、2年の時を経て再びアトリエに戻って来た
かれこれ20年近く通い続けているたまちゃんにとっても、懐かしい面々が戻って来たわけだ
年代差はあるが、みなどこかで一緒だった時期もあるこのアトリエは完全なる縦社会
最近は子供と大人がごっちゃになって絵を描いていたりする
大人といえど、その殆どが子供の心を持ったまま生きている人たち
ここの子供たちが感じるのは相手の心模様のみなので、大人を大人としてではなく、一個人として一緒に絵を描いている
子供たちはそんな大人を、下の名前で《○○ちゃん》と呼んでいる
もうすぐ赤ちゃんが生まれるお母さんがいる
大きなお腹でギリギリまで絵を描き続けるらしい
赤ちゃんを抱いた生徒、その前にはお腹の大きなお母さん生徒
そうしてその隣には昔の自分の姿を彷彿とさせるかのような幼い生徒が筆を握っている
そんなみんなが仲良く絵を描き、笑い合う姿を見ていると
人間、価値観が同じなら年齢や性別なんて無意味なんだということを思い知る
6才で出会ったまいこちゃんも今や立派なお母さん
筆がお気に入り? この子も将来は絵描きさんかしら
竹の子堀り
絵を描き終わった そうたつが
もう竹の子が生えてるはずだよ、 と教えてくれた
それで午前のアトリエが終わった時点で例の場所に向かう
その時居残って遊んでいた数名の女子も一緒だ
しかし現場は・・
夥しい枯葉の中に、地面から出た頭だけを無残にむしられた竹の子がいっぱいあって
子供たちを悲しませた
先に竹の子を取ったものがいた、という現実ではなく
きちんと掘ってやらないで、たった穂先だけを闇雲にむしった、という事実が子供たちを悲しくさせ、憤らせたのだ
竹の子・・ ない
愕然と枯葉の中に佇む魔女に
そうたつが 「すり足で歩けば竹の子があればわかるから・・」 と言う
そうして そうたつがいくつかの竹の子をみつけ、他の子もまた見つけた
魔女が家から鍬を持って来たが、それは柄から刃が取れてしまって使い物にならなかった
仕方ないから今度はスコップを持って行った
魔女が、これしかないや、と差し出すと
そうたつはそれでいい、と言う
荒れた地面には石が埋まり、他の木の根が縦横無尽に生えて掘ることを邪魔した
それなのにそうたつはあっという間に5本の竹の子を掘り出した
それは子供が成す技でなく、まさに玄人の仕事だった
「おまえが掘ったのだから半分持って帰りな」 と魔女が言うと
そうたつは 「俺はいいから魔女が食べな」 と言う
それからというもの、毎晩竹の子三昧さ~!