猫の恩返し
家族①が、坂道を降りてきたら《かって》が迎えに来た!
・・と思ったら違った
あの《かって》が迎えになんて来るわけがないよな・・ と思って
見上げるその猫に 「こんにちは」 と声を掛けたら
「ぼく ふうた!」 と言われたよ、と笑いながら家に入って来た
別な時には
《パパ・ジョン ブリアン》に 「《ふうた》、ってだれ?」 と聞かれた
どうやら《風太》は、そこらじゅうで名前を名乗っているようだ
可愛い子だな
私は
《風太》がお礼のカニカマを、どこから、どうやって調達してして来たのかを色々想像し
それがおかしくて仕方がない
カニカマのパックはミシン目で切られており、消費期限はギリだった
《風太》、どこから持って来たのさ
猫は義理堅い動物で
今日はその中から、以前にも書いたふたつのエピソードを書きます
★ いつも妻子と一緒にいる雄猫のお話
この雄猫は《ナオナオ》といって
猫では珍しく一夫一婦制を守り、決まった雌猫と当時はまだあった魔女家の向かいの空き地で暮らしていた
夏を迎える前のある日
彼の子供が我が家の庭の木から落ちて怪我をしてしまった
この父親は魔女家の庇の下に怪我をした子を運び
3日3晩の殆どを自分は立ったまま子供を自らの腹の下でかばって過ごした
見かねた私が怪我をした子を預かり、部屋の中で怪我の治療をし、安静にさせ、1ヶ月ほど経って、回復した子を両親の元に返した
するとその翌朝、玄関の前に置いてあったのは血まみれで息絶えた白色レグホンだった
★ ホワイトデーにお返しをした《伐》
何年か前のバレンタインデーのこと
ご近所にトミニャガさんという方がいらして
彼女は、我が家の《伐》 (2007年にネバーランドに旅立ってしまった)を可愛がってくれていた
この年のバレンタインデーに、トミニャガさんは《伐》に高級缶詰をプレゼントしてくれた
それから1ヶ月後のホワイトデー
偶然?にも、その日《伐》はお返しを咥え、トミニャガさんちに向かっていた
どこで、どうやってかは知らないが
一生懸命に物色したであろうプレゼントを咥えて、《伐》はえっちらおっちら歩いていたという
そうしてトミニャガさんちの玄関まで辿り着いた《伐》
プレゼントを玄関先に置き、大声で言った
「トミニャガさ~ん! 《伐》です!!」
その声を聞きつけ、家から出てきたトミニャガさん
「まあ、《伐君》」 と笑顔を見せた後
《伐》の前に置かれた物に目を落として眉間に皺を寄せた
それは泥と《伐》のよだれにまみれた鯵の干物・・
トミニャガさん 「なに・・ これ」
伐 「プレゼントです!」
トミニャガさん 「誰に・・」
伐 「トミニャガさんに!」
トミニャガさん 「なに・・ い、いらないわよ!! なにこれ!」
《水玉・談》
こうしてトミニャガさんは《伐》の好意を拒絶し
《伐》はかなりのショックを受け
トミニャガさんはその後魔女にしたたか説教をされ
《伐》にひたすら謝りまくった
とにかく猫は義理堅いのだ
《チャンドラ》、遊びましょう♪
最近、《チャンドラ》が淋しそうにする時がある
バニャ一家は大抵寄り集まって一緒にいる
この時は《レオポン》が母親の《バニャ1号》に頭を舐めてもらっていて
離れた場所で、そんな親子の様子をじっと眺める《チャンドラ》
このところ、《チャンドラ》のそういうシーンを度々見掛ける
そんな時魔女が 「《チャンドラ》!」 と名前を呼ぶと、《チャンドラ》は走って来て抱かさる
そういえば・・ 《インドラ》にもこんな時期があったな
そうして先日のこと・・
こんなことがあって
今まで《チャンドラ》と遊んでやったこともない《凜》が、《チャンドラ》に話しかける姿を度々目にするようになった
凜 「《チャンドラ》、《バニャ》たちを見てるんですか? それより《りん》と遊びましょう」
チャンドラ 「え・・?」
凜 「遊びましょう!」
チャンドラ 「あい!」
チャンドラ 「きゃ~! きゃ~!!」
《凜》はこれまで《チャンドラ》に関心を示すような素振りなど見せたことがなかった
それなのに《チャンドラ》が《バニャ一族》の仲の良い様子を離れた場所で見詰めていると
必ず《凜》が 「遊びましょう!」 と声をかけ、わざとふざけた感じで《チャンドラ》を追いかけ始めるのだ
猫って・・ さりげなくも相手の心の淋しさ、悲しさを感じられる生きものなんだね