おくりもの | まじょねこ日記

まじょねこ日記

魔女の大切な仲間の猫たちの日常をみてください


朝、9時過ぎ

魔女が寝室から重い頭を抱えてリビングのドアを開けると・・


朝食が遅いことを騒ぎ立てる元気な軍団がしがみついてくる


そうしてお部屋軍団のみんなに朝食をあげて

一緒に起きた《アゾ》や、バスルーム猫の《バブ》、ハッポウスチロールハウスの《涼子》、朝の見回りから戻った《パパ・ジョン ブリアン》たち、廊下組みにもあげて


猫トイレを掃除し


寝転がって薄らぼんやりと天窓から空を見ながら

そこから覗いているカラスの《かぁ君》のオチャメな顔をカメラに収めようとしていた


半年前からゴミ捨て場が使えなくなり

それまで空き地にネット張りだったのがネットボックスに変わって、《かぁ君》たちカラスは戸惑っていた


それで《かぁ君》に林檎や夏みかんを庭に置いておくのだが・・

その夏みかんが酸っぱい!と、天窓から文句を言っているのだ


みんな可哀想だな・・

ごめんね、《かぁ君》・・



そんな折、何故か突然頭を過ぎったのが確定申告


文句を言うカラス=確定申告 ってなに・・


そしてついでに

アトリエ展の出品作を描いていないことも思い出し

そしてアトリエ展の案内状や、生徒の絵の準備やら

あれやらこれやらと溜めてしまった仕事のことも思い出し



・・薬飲まなきゃ

と気づいて


その前に何か食べなきゃ

と思って


しかし何もないぞ・・

と思案に暮れていたら


廊下でカサリ・・ と音がした気がした



気のせいかな、と思ったけれど

軍団もドアの向うの廊下の様子を伺っている


起き上がってドアのガラス部分から覗くと・・

誰かが廊下にいるのが見えた


その柄からして、《かって》だな

そういえば《かって》に朝ごはんをあげていなかったな・・


廊下に出ると、《かって》は急いで猫用出入り口に走った

その時私は、ちょうど持っていたカメラで何気に《かって》がそこから出てゆく様子をカメラに収めた




        



《かって》ってば、何を慌てて・・


その時、私の足にカサリと音を立てて何かが当たった

見ると、何かが入ったビニールの袋



        
                      なんだろ・・



持ち上げてよく見ると・・



        
                      カニカマ・・


                   ※ これは魔女が中身が見えるように袋をめくりました



え・・ と思って猫用出入り口を振り返ると




                        風太・・




それは、《かって》じゃなくて《風太》だった


私はカニカマの袋を抱え・・


「《風太》、ありがとう・・」 と言った



そして袋からカニカマを出し、それを食べた

そんな魔女の様子を、《風太》はじっと見ていた


私は《インドラ》を呼んだ

《インドラ》にも半分あげなきゃ、と思ったから


部屋から出てきた《インドラ》は、いきなり大好きなカニカマを貰って夢のような顔をした

この時《インドラ》はまだ《風太》に気づいていなかった


《インドラ》が食べているところも《風太》はじっと見詰めていた


私たちはカニカマを食べ終わった

《インドラ》が魔女を見上げて




インドラ 「こんなところで カニカマくれるなんて、どうしたの」


魔女 「それはね・・」



そこまで言って《インドラ》から顔を上げると

猫用出入り口から《風太》の顔が見えなくなっていた


私は《インドラ》を連れて急いで外に出た


坂道の途中に《風太》の姿が見えた



魔女 「《風太》! ありがとう!!」



《風太》が立ち止まってこっちを見た


《インドラ》が《風太》に向かって走り出した

《風太》は《インドラ》が側に来るまでそこに立ち止まっていた


《風太》と《インドラ》が何かお話をしているようだった


暫くして、《風太》が歩き出した

《インドラ》もその後を追っている


坂道のてっぺんになった

《インドラ》はそこから先を行くことを禁止されている

車通りに出るからだ


《風太》は丘のてっぺんにある3mほどのコンクリの壁を身軽に駆け登った


《風太》は壁の上から《インドラ》を見下ろして、 「じゃあね」 って顔をした

《インドラ》は《風太》見上げて 「またね」 って顔をしたのだろう


私は遠くからそんなふたりの様子を眺めていた



壁の上の《風太》は青い空を背にし、とても堂々としていて

そんな《風太》を見上げる《インドラ》は、すごく可愛く見えた



その時私はカメラを廊下に置いて来てしまったことに気づいた


そんないい図を本日はみなさまと共有できなかったけれど


レンズから覗くよりもさらに遠くに広がった空が 《風太》にはよく似合っていた