今回ネパールに旅立つにあたり
心配なことがあって
心配というなら
《ユリぼうず》、《ボンネット》の尿路結石が出来やすい体質もあるが
最大の懸念は《ライガー》の状態にあった
生まれて暫くはよちよちしながらも、母親の留守中は臆病な妹の《レオポン》をキリッとした様子で守っていた《ライガー》だったが
大きくなるに従って体が弱くなっていった
初めはそれが虚弱体質だと思い、どうしてこんな子に育っちゃったんだ・・
なんて呆れていたけれど
あまりに病気にかかりやすいので心配になり
病院でエイズ検査をしてもらったが、それは陰性だった
しかし《ライガー》の健康状態は一向に回復せず
ますます酷くなり一方で
春過ぎには食事もまともにできなくなっていった
《ライガー》の病名は免疫不全
それにより、酷い口内炎で歯茎が赤く晴れ上がり、痛さのあまり食事が取れず
よだれで口の周りは黒ずみ、それを拭く《ライガー》の両手もまた常に黒く汚れた
口の周りを拭いてやりたくても、痛さで暴れる
更に汚れた手を拭くのも嫌がり
そんなだから・・ 写真を撮るのもはばかられて
ブロクの写真に《ライガー》をなかなか載せられなかった
また、日々の気温の差だけでも直ぐに風邪をひき、目を腫らして鼻水を垂らし、ぐったりとする
最終的にはステロイドの注射を打ってもらうことになる
注射を打った翌日には口の周りの黒ずみが嘘のようになくなり、食事も取るようになる
昨日までの状態は何だったのか、と思うほどの変わりように驚くばかりだが
それが3日もするとまた元の状態に戻り始めるのだ
免疫不全は治らない
長く生きられないと言われても
私たち家族は諦めることなど到底出来ない
特に自分の足元で産まれた、当時野良ちゃんだった《バニャ1号》のこの赤ん坊を世話し、一家の面倒を見続けて彼らを魔女家に連れてきた家族①の思いは必死だった
毎日色々と調べては、漢方薬を見つけたり
免疫不全の猫についての情報を集めたり
そうして私はその情報を元に、歯肉炎に効くという笹の葉のエキス入りの液体を取り寄せ
実際は歯茎に塗りつけるのが効果的らしいが、それは到底無理なので猫の飲み水に垂らしてみることにした
いつもの水容器にそれを垂らし、緑色になったものをいつもの場所に置いた
笹の匂いがきついので飲んでくれるかがかなり心配だ
水の容器を覗き込む軍団
みんな鼻をヒクヒクさせて匂いを嗅ぐばかり
やはり誰も飲んではくれないのか・・
そう思った時
《ジンジン》が進み出て、その水を飲みだした
「おい、みんな、なかなか美味しいぞ!」
《ジンジン》はそう言って途中で顔を上げ、みんなを見まわしてから再び音を立てて水を飲みだした
それにつられたようにみんなも一斉に大きな器に顔を突っ込む
ぴちゃぴちゃぴちゃぴちゃ
音が部屋に響く
たっぷりと水を飲み終わった《ジンジン》が
後ろにいた《ライガー》に 「飲んでみな」 と場所を譲る
《ライガー》が緑の水を飲み始めた
直ぐに《ライガー》が顔を上げたので私たちはつい眉をひそめる
だけどまた飲み始めた
ずっと飲んでる・・
嬉しかった
一旦ひそめた私たちの眉が大きく離れ、家族①と魔女は嬉しさのあまり両手に拳を作っていた
その日から、魔女家の猫全員が緑の水を飲み始めた
継いでオーラルケアのカリカリも買ってみた
しかしこれは失敗に終わった
イタリア製で高価だったのに・・ 《ライガー》は全く食べてはくれなかった
インターフェロンも度々打っていると効かなくなる
効きめがなくなり、1日おきにそれを打っている猫もいるようだ
食事を噛むことが痛くて辛いので飼い猫の歯を全部抜いて食事を与えているという記事も見た
インターフェロンを間隔を抑えたい
歯を抜くなんて可哀想過ぎる
とにかく口内炎だけでも治したい
免疫不全の《ライガー》を抱えて
魔女と家族①の必死の戦いが始まった
今年7月、これは2度目のステロイドを打った後からの話だ
つづく