昨夜、家族①から電話が・・
「○○寺に行く道の脇で子猫が叫んでる! お母さんを呼んで叫んでる!! だから来て・・」
魔女はもう少しで出来上がるダルバートのチキンカリーの火加減を家族②に引き継ぎ、念のためバスケットを抱えて車に飛び乗る
その道の隣はスーパーになっており、私はそこの屋上に車を止めた
車を降りるとそこまでも子猫の悲痛な鳴き声が聞こえている
フェンス越しに下を見ると家族①と、他にも人がいて
高さ3~4mある土手の中程で子猫が泣き叫んでいるのが見えた
スーパー階段を駆け下り、店を飛び出し、脇道に向かう
魔女はそこで待っていた家族①に、大回りで土手の上にある寺の駐車場へ行くように言い
自分は草深い土手を一直線に登り始めた
土手は急勾配で、その上雨上がりのため、かなり滑り易くなっていた
私は草を掴みながら這い上がって行った
人の姿に怯えた子猫は上に向かって移動しながら何度も草の中に姿を隠した
その度に私は息を殺し、静まり返る
そうすると子猫はまた泣き出す
魔女は再び声のする方に向かう
下から登ってゆく魔女に怯えた子猫が土手を上手に行くと思われたので、家族①を上で待機させたのだが・・
登ってみるとそこにはフェンスが張り巡らされ、行き止まりのようになっていた
そうして追い詰めたと思うのだがあまりに草深くて姿が見つからない
その時道から心配そうに見ていた夫婦の旦那さんが、「あそこに見えた!」 と言った
すると奥さんが 「あなたも行きなさいよ!」 と旦那さんが持っていた米を奪い
旦那さんは 「よし!」 と言って登って来た
旦那さんが子猫を捕まえようとして逃げられ
逃げた子猫は魔女の足元に走ってきた
ここで魔女は持っていたバッグを放り出し
すかさず首の後ろを掴んで身柄を確保
子猫、大いに暴れる
当たり前だよね
人間なんて初めてなんだし
野良ちゃんの母親から、人間は恐ろしいものとしっかり学んでいたようで
必死の形相で引っ掻こうとするわ、噛み付こうとするわ唸るわ
とにかく小さな体で暴れまくる
仕方がないからもう一方の手で子猫の足を抑える
しかしここは勾配が急な土手の途中、両手がふさがっていては動きが取れない
魔女 「家族①! 魔女のバッグの中に車のキーが入ってるから取りに来て」
家族① 「わかった」
例の奥さん 「ちょっと、あなたが行きなさいよ!」 (旦那さんが抱えていた米を奪って言う)
例の旦那さん 「よし!」
旦那さんがバッグを取りに来て土手を降り、それを家族①に渡す
家族①、スーパーの駐車場に走り、車の中からバスケットを取り出して走って戻って来るのが・・
魔女のいるところからから丸見えなんだー
魔女 「そのバスケットをここまで持って来て」
家族① 「わかった」
例の奥さん 「あなたが行きなさいよ!」 (そう言ってまた旦那さんが抱えていた米を奪う)
例の旦那さん 「よし!」
そうしてバスケット持った旦那さんが到着
暴れる子猫をバスケットに入れ、素早く閉める
そうしてやっと道に戻り
ご夫婦にお礼を
するとご夫婦も本当にホッとした感じの笑顔でお礼を
両方でありがとうございますを何回も言い合い・・
生後2ヶ月ほどの小さな猫は
長いこと母親を求めて叫び続けていたんだろう
子猫はもう声がかすれ相当に疲労しているようだった
人に聞くと、この寺を含めたあたりで、野良ちゃんや子猫を見かけたことはないという
子猫は、食べ物を探す母親を追ってきたのだろうか
それとも何らかの事情で帰らぬ母親を探してここまで来てしまったのだろうか
とにかく長い時間大声で鳴き続けていたというから
それでも母親が現れないとなると、このまま放っておいたらこの子がどうなるかは見えている
連れて帰ろう
《インドラ》
きのう あたらしい子が きました
なまえは・・ えっと・・
まじょ~! なまえはぁ~!?
まだないの・・
なまえは 《まだないのたん》 です (え・・)
ぼく 「だれですか~」 ライガー 「だれですか~」
ひな 「どこから きた でしゅか?」
ぼくは はやく 出して あげて!
って まじょに 言って ばしゅけっとの どあを ひっかきました
そしたら《まだないのたん》も 中から 「だちてー!」 って言って ひっかきました
まじょは さいしょ このままに しとく つもり だったみたいだけど
ぼくと 《らいがー》 が 「あけて! あけて!」 って つよく 言ったから
《まだないのたん》を 出しました
ぼく 「わぁ!! ちっちゃい!」
ライガー 「わあ!! かわいい!」
(ほんとうにこんな呼び方でいいのか・・?)
(何で関西弁・・)
《ゆりぼうじゅ》は いつもの 『どんきゃ ほて』 に へんしんして てーぶるの 足を けりつじゅけました
せっかく ばしゅけっとから 出して もらったのに 《まだないのたん》は また しゅぐ ばしゅけっとに入ります
だから ぼくは 出なさいね~ って
《まだないのたん》を ばしゅけっとから 出しました
そしたら 《じょんにいたん》の 下に 入っちゃった・・
そこから 出てきなさーい!
ぼく 「これは てれび って いうんだよ」
まだないのちゃん 「てでび・・」
ぼく 「はこの中で いろんな にんげんが しゃべってるけど みんな ここからは でられないから ぼくたちは あんぜんなんだ」
まだないのちゃん 「あんじぇん・・」
ぼく 「心ぱい ない ってこと」
まだないのちゃん 「てでび・・ あんじぇん・・」
ぼく 「これは おもちゃ って いうんだ どれでも すきなので あそんで いいよ」
まだないのちゃん 「おもた・・」
(《インドラ》ってば、おもちゃをぜ~んぶ出しちゃった・・)
まだないのちゃん 「ねえ おかあちゃんは どこ どこ いったったの
」
ぼく 「まじょ・・ 《まだないのたん》が おかあちゃん どこ? だって」
魔女 「お母ちゃんが見つからないからその子はここに来たのよ」
ぼく 「・・」
《まだないのたん》は ときどき 「おかあちゃん・・ おかあちゃん・・」 って 言いながら 大きなこえで なきます
ぼく 「まじょ ぼくが・・ おかあちゃんに なれるかなぁ」
魔女 「なれません」
ぼく・・ おかあちゃんに なれないんだって
ごめんね 《まだないのたん》
※ 《インドラ》の活躍はまだまだ続きます