涼子とパパ・ジョン ブリアン | まじょねこ日記

まじょねこ日記

魔女の大切な仲間の猫たちの日常をみてください


《涼子》が物置暮らしを始めて7年になる


その間、気難しい《涼子》に一度だけ友達が出来たことがあった

それはトミニャガさんちの《ベス》だ


ひとりで暮らす《涼子》と、ひとりっ子の《ベス》は大いに気が合い

よく一緒にお化け屋敷で遊んだものだ


ふたりはそこで梅の木に登ったり、草むらでかくれんぼをして活き活きと走り回っていたものだった


ヒマラヤンで長毛種だった《ベス》は

そうして《涼子》と遊ぶ度に体を汚し、枯葉や枯れ枝をその毛に巻き込んだ


それには飼い主のトミニャガさんも辟易し、《ベス》は家から出してもらえなくなった


またひとりぼっちになった《涼子》は、ひとりでお化け屋敷に行き、ひとり遊びをし

すぐにつまらなくなって、そこで昼寝をしていた


3年前の冬

一匹の猫が現れた


それは8年前に《今日ちゃん》によって魔女家を追い出された《ジョン ブリアン》だった

幼さを残して消息を絶った《ジョン ブリアン》は、8年間の苦労を思わせる風貌を携えて魔女家に戻って来た


然もこの《ジョン ブリアン》は その間に魔女家の家族になった《ジョン ブリアン》の父親だった


栄養失調の痩せた体で魔女家の家族になった幼い《ジョン ブリアン》

ひと目で彼が元祖《ジョン ブリアン》の息子と知った私は、その子に父親の名をつけた


しかし元々の《ジョン ブリアン》が戻って来たことで、彼らを区別するため、父親の方を、《パパ・ジョン ブリアン》と呼ぶことにした


《パパ・ジョン ブリアン》は、自分がいない間に出来上がってしまった魔女家の猫家族に遠慮し、昔のように部屋で暮らすことを拒んだ


そうして始めのうち、彼は昼間は庭の隅で、夜は近所のどこかで夜を過ごしていた


そんな日々が続き・・


相変わらず遠慮勝ちな《パパ・ジョン ブリアン》に、少しずつ《涼子》が心を許し始めた


こうしてふたりは物置で暮らし始め

《涼子》は寂しくなくなった


律儀な《パパ・ジョン ブリアン》は、魔女家セキュリティーマンという役目を自ら担った



《涼子》は、ことあるごとに《パパ・ジョン ブリアン》を殴る

そんな時、《パパ・ジョン ブリアン》は、大きな体を小さく丸めて、ギュッと目をつぶってただぶたれている


これは《涼子》の、まったく不器用な愛情表現であった


それを《パパ・ジョン ブリアン》も分かっているのだろう

ただ黙ってなぐられている


《涼子》は嬉しい時ほど激しく殴る癖がある



今の時期、《パパ・ジョン ブリアン》の仕事は忙しい

やって来る雄猫たちと戦い

見回りの途中で抗争を繰り広げ

誘ってくるメス猫たちの誘惑にちょっと乗ってしまったり・・


そうして夜は物置を留守にすることが多くなった


それでこのところ《涼子》は、ひとりぼっちで暮らす物置でかなく、廊下で寝るようになっていた

そうして魔女が廊下に出る度に膝に乗って甘える


そんな廊下での朝食時

見回りから戻って来た《パパ・ジョン ブリアン》はそこで待ち構えている《涼子》と鉢合わせ

そうしてしこたま殴られるという悲惨な日々だ



先日、昔の漫画の主人公のように、試合後のボクサーみたいな傷だらけの体で戻って来た、名づけて 《明日のジョン》は

魔女の日々の手当の甲斐もあってこのところようやく傷が回復してきた



それなのに、今度は左前足をパンパンに腫らし、3つ足でヨタヨタになって帰って来た


私は彼を玄関マットに寝かせ、動かずここにいなさい、と言って部屋に戻った



その後何気にテラスから下を覗いたら・・



まじょねこ日記-Papa-Jyon brian

            庭にうずくまる《パパ・ジョン ブリアン》の姿が・・



先程から雨が降り出しているというのに・・



まじょねこ日記-Papa-Jyon brian
          《パパ・ジョン ブリアン》は雨に濡れながらうずくまっていた



また遠慮してるんだ・・


魔女は玄関に箱を置き、カーペットを敷いて、そこに《パパ・ジョン ブリアン》を抱き入れ

今後私が良いと言うまでは絶対外には出ないで安静にしているようにと強く言った



        まじょねこ日記-Papa-Jyon brian

            パパ・ジョン ブリアン 「まじょ、 すみません汗


   魔女 「何言ってるの、 泣くほど痛んじゃないの・・ 暫くはここでじっとしてなさいよ」




まじょねこ日記-Papa-Jyon brian

        パパ・ジョン ブリアン 「はい、ありがとうございます~」


        魔女 「家族なんだからお礼なんて言わないよ!」



その時

ふと玄関先に目をやると・・



まじょねこ日記-Ryouko

      心配気に《パパ・ジョン ブリアン》を見詰めている《涼子》の姿が・・



その後《明日のジョン》の様子を見に行ったら

《涼子》が箱の側の床にうずくまっていた


私は《涼子》がいつも寝ている毛布を持って来て彼女の体の下に敷いた



        まじょねこ日記-Ryouko

      痛そうにして箱にうずくまる《パパ・ジョン ブリアン》を見つめ続ける《涼子》



        まじょねこ日記-Ryouko

          《パパ・ジョン ブリアン》が動けないので、玄関に食事を運ぶ


             《パパ・ジョン ブリアン》は箱の中で

             《涼子》もその隣で一緒に食事



本当はとっても優しい子なのに

愛情表現が下手な《涼子ちゃん》・・