サンボ 「まじょ あしょこにも だれか いるよ!」
『Kritto』
《サンボ》にそう言われて向こうの暗がりに目を凝らす
その手前には相変わらずニューフェイスちゃんがいて・・
そのもっと向こうのまっ暗がりに・・
浮かんで光る二つの目
誰だろう・・
脅かさないようにしてそっと近付いてみる
真っ暗で誰だかわからないが
二つの目はじっとこちらを見据えている
魔女 「だあれ?」
誰かさん 「・・」 (様子を伺う感じ)
魔女 「出ていらっしゃい」
誰かさん 「・・」
魔女 「魔女ですよ~」
するといきなり、二つの目がこちらに向かって走って来た
そうして魔女の前でもう一回顔を確かめてから、その猫はバッタリと倒れ
仰向けになってお尻を左右に振り うにゃにゃんを始めた
キリット君!!
魔女がそう声を掛けると
《キリット君》はいきなり起き上がって胸に飛び込んできた
《キリット君》と会うのは久し振りだった
暫く姿がなくて随分と心配した
《キリット君》も久し振り過ぎてどうしたらいいのかわからなかったのね
魔女 「どうしてたの?」
キリット君 「あのね~ ぼくね~ あのね~~~」
こうして《キリット君》が甘ったれている最中
住宅部方面から1匹の猫が走って来た
『Tsundere』
ツンデレ 「まじょぉ~ こんばんは」 魔女 「《ツンデレ君》、こんばんは!」
ツンデレ 「ぼく なかま できたでしょ そして いつも がんばるから よしよしして」
魔女 「いいよ、《ツンデレ》は《ふぁふぁちゃん》たちのりーダーになったから、もうひとりぼっちじゃなくなったね! いつもみんなと一緒で楽しいでしょう」
ツンデレ 「うん! みんなが ごはん たべてるとき ぼく、ごみばしょの みはり してるんだ!」 (ごみ収集所で・・)
魔女 「頑張ってるねぇ」
ツンデレ 「ぼく おんなのこたち ちっちゃいこたち まもるの」
ぼくと おはなし するんだ~!
右手と左手でひとりずつ撫でて
いっぱいお話聞いて・・
《ツンデレ》は傷だらけだった
それでも仲間に入れてもらって、みんなと暮らして
ひとりぼっちだった時よりずっと楽しそうだ
ぼく なかまを まもってるんだよ!
《ツンデレ》は自慢気に話した
《ふぁふぁちゃん》たち四姉妹の住処も猫が増えた
彼ら(《なでしこ》や《ひなぎく》)が子供を産んだからだ
まだ若い母親たちが一生懸命に子育てをしている
去勢していない放し飼いの雄猫たちに囲まれて・・
《ツンデレ》は彼らと戦う
傷だらけになっても野良の仲間を守るために
『See you・・』
時計はとっくに深夜12時を過ぎていた
もう帰らなきゃ・・
帰ちゃうのか・・
家族①の膝でぐっすり眠るニューフェイスちゃん 名前つけなきゃね・・
みけかあさん 「わたしは おなかが おもたいから きょうは みおくれないわよ」
魔女 「いいのよ、それより 安全な場所で赤ちゃんを産んでね」
もっともっとみんなといたいけど、明日もお仕事だから・・
果樹園部を歩いていると、北の森に住む《キリット君》と、南の森の《サンボ》が高いところから見送ってくれていた
私が歩いているところは他の猫たちの縄張りなんだ
住宅地の入口まで一緒に歩くのは、果樹園部でずっと待っていてくれた《ランボー》
乱暴だから《ランボー》と名付けたけれど、今は優しい子になったよ
住宅地に入るところで《ランボー》が止まる
そうして上から下りてきた《ミズニー》と一緒にそこで見送ってくれる
この先は《こだくさん》が一緒だ
ここからは果樹園部には入れない《きよわ君》も合流する
いつも足を痛めている《きよわ君》
この日は元気で良かった
みんなを連れて帰りたい
だけど出来ない
あれから毎日雨
雨が上がったらすぐにまた会いに来るからね