~ 夢のお話 ~ | まじょねこ日記

まじょねこ日記

魔女の大切な仲間の猫たちの日常をみてください


ジョムソンにたどり着いた夜、宿の固いベッドの中で私は夢を見た



それは・・・


《ジョン ブリアン》が 「魔女~、魔女~」 と鳴きながら私の膝に乗ってくるところから始まった


私は《ジョン ブリアン》が生きていたことに驚き、喜び、彼を抱きしめた




        まじょねこ日記-Jyon brian

       


夢とはおかしなもので

どんなにつじつまが合わなくても、見ている者は何故かそれを夢だと疑わない



ジョン ブリアン 「魔女、お帰りなさい  無事で良かったぁ」


魔女 「《ジョン ブリアン》、どうしてムクティナートついて来なかったの?!」


ジョン ブリアン 「ぼく・・ はい(肺)が悪いでしょう、だから高いところに行けない思って・・ それでここで待ってたの」


※ 《ジョン ブリアン》はこれより5年前、肺に膿疱が出来てしまったせいで、肺に穴を開けてそれを出す手術を、再発も含め何回か受けている

再発後は1ヶ月以上にも渡る入院、治療を試みるも症状の改善は見られず、最後の手段として開胸手術をすることとなった

危険な手術を前に一時退院をして3日間を家族と過ごすという図らいになったのだが

その3日間で膿疱は消え失せ、急遽手術は取りやめとなって、そのまま家に戻ることになった

病院の先生方を以てして奇跡と言われたこの後、病気が再発することはなかったが傷跡により片肺は小さくなってしまっていたのだ



ジョン ブリアン 「でも《インジゴ》は魔女と一緒に行ったよ」



          まじょねこ日記-Injigo

                    《インジゴ》



魔女 「じゃあ《ジョン ブリアン》は ここにひとりで待ってたの? 淋しかったでしょう  大丈夫だった?」


ジョン ブリアン 「大丈夫だったよ、僕、ここでお友だちができたの」


魔女 「まあ!」


ジョン ブリアン 「僕、その子といっぱい遊んだ、その子は街も案内してくれたんだよ」


魔女 「そうだったの?! 楽しかった?」


ジョン ブリアン 「うん、とっても楽しかった、さみしくなかったよ」


魔女 「それはよかったね」


ジョン ブリアン 「ぼく、その子に魔女のことを言ったの」


魔女 「そうなの?」


ジョン ブリアン 「うん、そうしたらその子、魔女を知ってるよ、って」


魔女 「え・・? その子はどんな子なの?」


ジョン ブリアン 「白い毛の長い犬だよ」


魔女 「・・」


ジョン ブリアン 「僕が魔女のことを心配してたら、その子が言ったの」


魔女 「なんて?」


ジョン ブリアン 「心配しなくていいよ、僕たちが守るから、って」


魔女 「・・」


ジョン ブリアン 「だから僕は心配しないでここで待ってた」




私は《ジョン ブリアン》を抱きしめた

ただ、ただ、《ジョン ブリアン》が生きていたことが嬉しくて


嬉しすぎて心臓が痛くなって・・


飛び起きた




そうしてベッドの上に座り込んで・・ 暫く呆然とした後  


泣いた


それが夢だと知って、悲しくて泣いた



目なんて覚めなきゃきゃよかった

そうしたらもっと《ジョン ブリアン》と一緒にいられたのに


せめて夢の中だけでも、もっともっと、ずっと抱きしめていたかった

私は布団に突っ伏して、泣き続けた



それから

夢の続きを見ようと、もう一度ベッドに潜り込んだけれど・・

悲しくて寝られず、夢の続きも見られなかった



しかしこの会話は今もはっきりと覚えている



《ジョン ブリアン》はいつも私と一緒にいるのだけど

やはり姿が見えず、抱きしめられないのが淋しい



あれから・・ 初めて《ジョン ブリアン》の夢を見た


それまで、夢の中でもいいから逢いたいと願い続けてきたのに、これまで見ることが出来なかった


心に《ジョン ブリアン》を抱えたまま先ほどの夢を反芻しながら眠れぬ夜を過ごた


そうして朝を迎え

腫れた目をふと通りに目を落とした時に気づいた



・・いつものあの子がいない



そう言えば、一昨日ここを通過した時もあの子の姿はなかった


前回、秋にここに来た時、いつもここの前で寝ていた子

そうして時には街を歩き回り、またここに戻って来てはここで寝そべっていた毛の長い犬


ジョムソンを発つ朝、空港に飛び込んできて私に寄り添ってくれ

港内までついてこようとして職員に止められた、白い毛の長いあの子・・ 



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