向こう岸に着いた私たちは山に登り始める
ラクちゃんが言うには山のてっぺんに日本のお寺があるらしい
それにしてもポカラは暑い
これまで標高の高い極寒地域にいたのでさらに暑く感じる
こちら、途中で見かけたお堂
16歳で亡くなった息子を偲んで、両親が造ったという (そう書いてあった)
途中の茶屋で休んでいる時、ラクスマンの友人の友人である若者がやってきた
彼はポカラの自然環境を守るため、こうして見回りをするのが役目のセキュリティーメンバー
道に迷った旅行者や、山を登るのに難儀を示している年老いた外国人にも声をかけて行く
またこの休息所横では、カメラをオートシャッターにし、カメラの前に回り込んでギリシャ彫刻の真似をしている白人の青年がいた
彼はそうして、ペルセウス、ヘラクレス、アポロ、アルテミス、果てはジュピターなどのポーズを取り自分のカメラに収まっていた
いったい自分をどうたいんだ・・?
急な坂道が続く
暑さに弱い家族ちぃがダメージを受けているようで心配だ
終盤をやっとの思いで登っていたら
その先にいたスペイン人と思しき男性が
「あともう少しだよ、頑張って!」 と声を掛けてくれた
彼はこの先で自分が道に迷ったからと言って
私たちが戸惑わないようにきちんと寺までの道を教えてくれた
そうしてやっとたどり着いたのが
いつできたんだぃ?
私が以前ポカラに来た時はこんなのなかった
これまでチベット仏教のグンバばかりを見てきたせいか、ちょっと違和感・・
ここで印象に残ったのは
杖をついたじいちゃんに、そこにあるすべての説明書きを片っ端から読んであげている少年の姿
それと庭の花
と微笑ましく写真を撮っていたら・・
さあ、あんなの無視してこっちの花壇を撮りましょう
おのれ・・ 興覚めじゃわい!!
ここで何よりも不思議だったこと・・
それは鈴(りん)の音色が聞こえること
どこから? 草むらから・・
うそ~ん
ホントはどこから? わからな~い
それは耳を塞ぎたくなるような甲高い金属音で
それが大音量で押し寄せる
しかも絶え間なく聞こえる
なにこれ、なにこれ
なに、このでっかいリンの音
一緒にいた自然保護団体スタッフの青年 「虫だよ」
魔女 「何言ってんだ・・」
青年 「ほんとうさ」
ラクちゃん 「バカ、バカ、君はバカ! これは金属音じゃないか」
魔女 「そうよ、私たちを騙そうったってそうはいかないからね」
青年 「120% 確かさ、虫だよ」
魔女 「あなたの意見は無視だわよ」
ラクちゃん 「しかし凄い音だな、一体どんな金属を鳴らしてるんだろう?」
寺を後にして暫く歩いてもその甲高い金属音は聞こえ続ける
それが何だか、どうして鳴ってるんだか、是非とも知りたい私たち
草刈をしていた地元のおばちゃんに聞いてみた
「あの音はいったい何から出ているの?」
うっそーーん!!
どんな虫?!
おばちゃん、それはいったいどんな虫なの?!!
おばちゃん 「そうだねぇ この親指くらいの大きさのキラだよ」
魔女 「ええ~~! キラぁ~!!」
『キラ』というのは虫の中で羽や足がないもの
つまり羽の生えていない幼虫みたいな形ものをいう
以前見た、チピリキラ(巨大ナメクジ)みたいなものなのか・・
それとも幼虫みたいな形なのか・・
その虫見たい
見たくてしようがない
羽もないのにどうしてどこからこんな大きな音が出せるのか
知りたい
知りたくてしようがない
しかしここではそんな生物学的なことは誰も気にしない
キラが鳴いてる
ただそれだけ・・