ジョムソンに戻る頃にはあたりはすっかり暗くなっていた
明日は早朝に飛行機でここを発ってポカラに向かう
だからラクスマンは買い物に余念がない
カトマンズへの土産は名物のムスタン・アップル
それを５キロほど買っていた
ラクちゃんが林檎を見繕っている間
暇な魔女は店の外でサウニ（売り子）ごっこをして遊んでいた
するとごっこに混ざってくれた地元のおじさん
おじさん 「サウニ、これは いくらだい？」
魔女サウニ 「この袋いっぱいで２００ルピーだよ！」
おじさん 「そりゃ高すぎるよ！」
魔女サウニ 「じゃあいくらなら買う？」
おじさん 「１００ルピーだ」
魔女サウニ 「１５０ルピーだね」
おじさん 「よし、手を打とう！」
私は林檎の値段を知らずに商いごっこをしていたが
この後、おじさんが教えてくれたところによると
３キロほどの袋でやはり１５０ルピー（￥１５０）だって
これがカトマンズに運ばれると何倍もの値段になるのだ
ホテルに戻って、この日の夕食に何を食べたのか、もはや覚えていない
それは多分美味しくなかったからだと思う
覚えていることと言ったら
ラクスマンが泊り客のヨーロッパ人たちに自慢気にムスタン・アップルを配りまくっていたことくらいだ
１０月１４日
早朝に宿を出て空港に向かう
ジョムソンエアポート入口から見るダウラギリ
空港の門がまだ閉まっていたのでベンチに座って開くのを待っていたら・・
一匹の犬が駆け寄って、私の足元にくっついた
この犬はホテルの近くの路上でよく見掛けた子だ
また来るから、その時は一緒に遊ぼうね
暫くこうしていたが、門が開いたので私は立ち上がってもう一度この子を撫で、門に向かった
するとこの犬も後を追って来た
空港職員が慌ててこの子を港内から出す
後ろ髪を引かれる思いで振り向くと
職員は座り込んでその犬の頭を撫でていた
ネパール人乗客のほぼ全員が同じ袋を持っている
袋の中身はムスタン・アップル
外国人はグループツアーが多く、彼らについているネパール人ガイドも林檎の袋を抱えている
機は行きは右側、帰りは左側の窓からの眺めが最高だ
い並ぶヒマラヤの中で、マチャプチャレのひときわ美しい姿を間近に見ることが出来るまたとないチャンスだ
その座席も中央あたりは飛行機の羽が邪魔で景観が良くない
私たちは行きと同様、前の座席を狙っていた
ラクちゃんが手際よくチェックインを済ませ、時間前にドアのところに立つ
後ろにはフランス人の団体、その後ろはイタリア人の団体だ
ドアが開いたので急ぎ足で飛行機の向かう
しかし・・
搭乗直前でフランス人に横入りされた
彼らはいきなり私たちの前に入り込んできた
信じられない・・
この田舎者どもが
そう思いながらここは大人らしくその後に続いて乗ったら・・
左側には座われたものの、真ん中の羽邪魔座席になってしまった
横入りは後進国の名物だが
実はそうでもないようだね
結局はその人自身がどうの、という問題なのだろうが・・
後ろで陽気に騒いでいるイタリア人たちの方がずっと大人だった
こうして機は直にポカラに到着
ヒマラヤは空港でも私たちを迎えてくれた
聖なる山マチャプチャレ
（マチャは魚 プチャレは尻尾 マチャプチャレは魚の尻尾という意味）
それにしても早朝なのに暖かいわ
何とも寒暖の差がめまぐるしいこの一週間
そのままタクシーでポカラ到着日と同じ、デイヴがとっておいてくれたカトマンズゲストハウス系列のホテルへ
部屋に案内したボーイが笑顔で言う
「このホテルで一番の良い部屋ですよ」
部屋は広いし、日当たりはいいし、部屋からヒマラヤが一望できるし
上のテラスからは猫が鳴き声が聞こえるし
ん・・？ 猫の鳴き声？
ま、いいか・・
部屋の窓からはヒマラヤが この左右にもずら～～と連なってるんだよ
ボーイの言葉に最も なるほど・・ と納得したのがこれ
いや～ん
バスタブさんじゃありませんかぁ～ 
ろくにシャワーも浴びられなかったこの５日間
よおーし！ 自分を癒すぞ～！！
しかーし！！
ラクスマンがゆっくりさせてくれなーーい！
これからラクスマンお気に入りのレストランで朝食を取り
腹が膨れたところでポカラ観光だって
おのれ・・ まだ歩かせるつもりかっ！！