《インドラ》は風変わりな猫だと思う
他の仔猫とはかなり違う
自分の名前を半日で覚え
その二日後には魔女猫軍団全員の名前も覚えた
仔猫群団がどこかに潜んで出て来ない時も
《インドラ》に名前を告げれば、その子のところに連れて行ってくれる
《インドラ》はいまだにカリカリも食べられないが、今日、自分のお皿から水を飲んだ
朝食と夜食のカリカリタイムは《インドラ》だけ洗面室で缶詰を食べさせる
みんなと一緒だと仔猫軍団、特に《ひな》に跡形もなく奪われてしまうからだ
洗面室でご飯を食べさせている間、私は他の猫の世話をしたりトイレを片付けたりして・・
《インドラ》のことをすっかり忘れちゃう
初めてそこで食べさせた日、食事が終わってもドアが閉まっていてリビングに戻れない《インドラ》はランドリーボックスの中に身を潜めていた
この1度目で、ここには敵がいないことを悟った《インドラ》は
2度目の時はバスルームを探検していた
3度目の時は階段を降り、常に開け放しの玄関から庭を眺めて2階に戻り、ドアの前で寝そべっていた (これはジンジン談)
魔女には目に見えないものを忘れる、という習慣があって
これまで一度たりとも食事を終えた《インドラ》をちゃんと部屋に入れてあげたことがない
ここで《インドラ》は既に魔女というものの性質を理解した
この人は、自分からアピらないと何も気付かない鈍感な女・・
4度目
食事を終えた《インドラ》は、リビングのドアをカリカリと引っかいてみた
例えば魔女がキッチンにいたりしてそれに気付かなくても、その音を聴きつけた誰かが魔女に知らせる
こうして《インドラ》は自分の隔離食事タイムをスムーズにこなしている
゚・*:.。..。.:*・゚゚・*:.。..。.:*・゚ ゚・*:.。..。.:*・゚゚・*:.。..。.:*・゚
これは今から1ヶ月前の画像 保護して2週間が経った
まだ声は出ない
それでも大きく口を開けて一生懸命に話をする《インドラ》
先ず最初に興味を持ったのが掃除機
引っ張り出すとみんな一斉にテラスに避難するが
《インドラ》だけは嬉々として掃除機を追い掛け廻す
大きな音を出す特大のおもちゃだと思っているのだ
インドラ (おそうじごっこ します) 魔女 「面倒臭いからしません」
インドラ (おそうじごっこ しましょう) 魔女 「したくありません」
インドラ 「おそうじごっこ します! おそうじごっこ しましょー!」
《インドラ》はこれまで何かを恐れたためしがない
お気に入りのドラマは 『ER』 毎回ずっとこうして見入っている
こちらは家族①が《ひな》を隔離していた時に、おとなしくさせようと買ってあげたひんやりシート
これは《ひな》を恐がらせただけで、結局失敗に終わった
そうして《ひな》の隔離生活もまた失敗のまま、《ひな》はひんやりシートと共にリビングに戻る
ひんやりシートはここでも不評だった
《ジョン ブリアン》以外の猫軍団は、用途もわからず、ただふにゃふにゃしたシートを嫌がり、それを避けて歩く
そんな時、《インドラ》がシートに乗って・・
暫くじっとしていて
それから腹ばいになった
《インドラ》は怪訝な顔で側を通りかかった《ライガー》に手を伸ばして「ギーギー」と鳴き
「ここに きて ねて ごらん」 と言った
インドラ 「ね! ここ いいでしょ」
ライガー 「うん!」
天窓から射すカンカン照りの日光を浴びて、暑い夏でも自分を虫干しする《インドラ》
《インドラ》の学習能力の高さは驚異的だ
しかも軍団の全ての猫の習性を把握し
相手に対して立ち入り過ぎず、彼らの許容範囲を睨みながら行動する
だから《ひな》のように天真爛漫とはいかないが
それは生まれついた時から、《インドラ》が小さな体で自分なりに思考しながらそれまでを生きてきたことの証なのだろう