やっといつもの静寂が戻って来たハッティバンリゾート
泊り客はすべてキャンセルされてしまったていたので私たちだけだ
後に飛び込みの客が一組みあったが、山は先ほどまでと比べると、嘘のように静まり返っていた
しかしその後も、私たちの部屋が用意できるまで暫く待たねばならなかった
そりゃそうだ、これだけの政治家たちが一同に集まったのだから・・
マネージャーは取り敢えず私たちの2部屋を先に整えさせてくれた
そしてようやく部屋の用意が出来、ベッドに転がって落ち着くことが出来た
しかし落ち着いたのは私たちだけで、スタッフたちは後片付けにいまだ大わらわ
セキュリティーのおじちゃんたちも今日は部屋の後片付けでもう大変
部屋の掃除がどんなに大変かを撮りたかったのに、抱えていたものを脇に置き、撮影用に構えるクマル
いつもは髪をきりっとまとめ、美しいサリー姿の彼女たち
だかこの日ばかりはこの通り
このホテルは客室係の女性も美しい身なりをしてるのよ、と私が話していたものだから
想像とは違うこんなメイドさんの様子に驚いたNAMIさんが、彼女がどれだけお疲れかを撮影したもの
ドルバがやって来て、いつもの夕食の食材が揃わないので、夕食はチョーミンでいいですか・・
と申し訳なさそうに言った
こんな状況で、プレムを始めとするスタッフたちは後片付けに深夜まで掛かるのは目に見えていた
なので私は、なんだっていいよ、余りもので十分だからと言った
NAMIさんも、さっきアーミーが残していたサンドウィッチでいい、別に夕食を食べなくても構わない、と言った
いや、NAMIさん、夕食がないのは私、イヤだから・・
ドルバ 「余りものなんてとんでもない! チョーミンを作らせます」
魔女 「食えりゃ何でもいいよ」
ドルバ 「それで夕食は何時にする?」
魔女 「じゃあ6時半で」
ドルバ 「7時で」
魔女 「・・」
なら何時にするか聞かないで、最初っから 「7時にします」 、って言えばいいじゃないか・・
しかも食事を運んで来たのは7時半だし・・
みんな忙しいから別に構わないんだけどね
女性のスタッフは早めに帰し、残るスタッフたちはいつ終わるか分からない片付けに今夜はここに泊まって、明日もそのまま仕事だそうな
昼間、軍人達の間を縫って歩く1匹の犬を目にした
それが私たち部屋の前にいる
なかなかの首輪をしたきれいな子だ
スタッフに聞いたら、ここらにピクニックに来た人が置いていったらしいと言う
わざわざ置いて行くこともないだろうから、ピクニック中にどこかへ行ってしまい、帰って来なくて置いていかれたのかな・・
その犬はNAMIさんの同情を引いた
犬は暫くの間、NAMIさんに撫でて貰っていた
さて、部屋に夕食が運ばれ・・
私たちはその犬を部屋に招いた
そして食べきれないほどのチョーミンを、ワンちゃんにも一緒に食べて貰った
彼は遠慮勝ちにそれを食べた
食後NAMIさんは自分の部屋に戻って行ったが・・
このワンちゃん、淋しげな上目遣いをしながら部屋から出ようとしない
ずっと私の足元にいる
ワンちゃんがいつでも外に出られるように、ドアを少し開けてシャワーを浴びる
シャワーを終えて扉を開けると、ワンちゃんが目の前できちんと座って待っている
私は着替えて歯を磨き、ベッドに横になる
すると・・
魔女がラクスマンのカメラの日付を消したりなんだりごちゃごちゃとやっている間に
会ったばかりの男性なのに・・ いいのか・・