一日中熱心な信者さんたちで賑わう ここ、セト・マチンドラナート寺院
セトとは白という意味で、ここの観音様は白い
一方、パタンにあるのはラト・マチンドラナート寺院
その名の通り、こちらの観音様は赤(ラト)い
ここで語り伝えられているお話を
悪魔がその正体を隠し、誰でも殺せる力が欲しいとシバ神に頼み込む
シバ神はそれを聞き入れ、悪魔に力を与えてしまう
そのとたん、悪魔はその正体を現し、シバ神を殺そうとする
驚いたシバ神は悪魔から逃げ出す
逃げて逃げて、駆け込んだところがマチンドラナート寺院
シバ神はここの観音様に助けを求め
観音様はそれを聞き入れ、シバ神を自分の背後に隠す
そこへ後を追ってやって来た悪魔が観音様に尋ねる
シバ神はどこにいるか!
すると観音様はひとつのお堂を指し
あそこに逃げ込んだと言う
悪魔はそのお堂に飛び込む
そこで観音はそのお堂の扉を閉め、鍵を掛けて悪魔を閉じ込め
シバ神を救ったという
この話、かなり興味深い
仏教の観音がヒンズー教のシバを救ったという話だ
それだから仏教徒だけでなく、ヒンズー教徒も熱心に詣でる
違う宗教を己の宗教と変わらぬ気持ちで参る人々の姿をみていると
なんとも微笑ましい気持ちになる
ここには今も、閉じ込められた悪魔がいるみたいですよ・・
この寺院の裏で、こんなもの見つけた
さて、先程から家族①が気にしているのが・・
ここにはたくさんの鳩がいて、みんな集団で動き回っているが
この子だけは物陰にひとりでひっそりといる
すごくひ弱な様子で、ずっとひとりでそうやっている
たまに他の鳩がやって来ると首をすくめて怯えたようによちよちと逃げる仕草をする
飛ぶわけでもなく、動き回るわけでもなく
ひとり群れから外れた物陰にいる
ママの店から穀物を少し持ってきて与えるのだが、周りを気にして食べない
家族①が寄り添っている
この日はここにいる間中、家族①の心は常にこの鳩に注がれていた
境内に1匹の犬が寝ている
数ヶ月前に《バブー》からマチンドラに入ることを許されたノラちゃんだ
この子はメスで、一月程前に、ベトゥーと共に避妊手術を受けた
政府の関係者がやって来て連れて行き、避妊手術を施して数日後に返してきたという
住人たちは彼らをエリアドッグと呼んで、面倒をみている
それは昔からの慣わしで、人々が避妊手術を政府に要望するわけはない
ラーズも勝手にやって来て手術をするのに連れて行ったと言って不機嫌な顔を見せた
それは生き物に人間の都合で不自然なことをして欲しくない、といった表情だった
この犬は手術前より明らかに元気を失っていた
ふらついて歩き、横になってばかりいる
目やにを出したその姿は、私にあの時のセティーを思い出させた
セティーは外国人のチームから避妊手術を施され、手術後の細菌感染から顔を膿だらけにし、壮絶な最期を遂げ・・ ネバーランドに行ってしまった
このような中途半端な行為は動物にとって悲劇だ
ラーズは勝手に連れて行ってこんな状態で返されたことに反感を持っているようだったし
私もまた同様だ
最近この国で動物の避妊手術という言葉を耳にするようになった
未熟な医師達の実験台にされているわけではないだろうが・・
どのみち、基本的には避妊、去勢手術に賛成できない私は
この国にはあまりにそぐわない動物に対する行為に愕然とするばかりだ
今日は足が痛い《バブー》も動けなかった
それでも一生懸命にお手をしてくれる
母親に抱かれたアビスカール、この日も小さなお手々でナマステのご挨拶
この日私はここでの殆どの時間を《バブー》の隣で過ごし
眠っているところを起こさないようにこっそりマチンドラを後にした
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夕方のバスはメチャクチャ混んでいるから、タクシーラクスマン宅に帰る
今夜は搾りすぎさんが夕食を作ることになっていて
その材料をラクスマンが買っておいてくれた
さて、搾りすぎさんの料理が一段落したところで
ラクスマンがゲラウラのカリーを味わって欲しい、と言い出した
ネパールでは一般的に家庭で作られるおかずで
大きなキウリのように見えるがゲラウラはカラスウリの一種だ
煮込むととろけて、冬瓜のような感じかな
このカリーはご飯によく合い、いくらでも食べられる気がして、すごく美味しかった
食べるだけが取り柄の魔女と家族①は、せめて食後の洗い物をさせていただいきました
さて、明日は少し早起きしてハティバン リゾートに向かいます