ネパールこぼれ話  命の重さ | まじょねこ日記

まじょねこ日記

魔女の大切な仲間の猫たちの日常をみてください

魔女


様々な国を旅してきて・・

私が行き着いたところはネパールだ


国民思いでない政治家や強欲な富裕層の話はどこかに放り投げて

今日はまた違ったネパールを・・



まじょねこ日記


この国では命の尊さをごく当たり前に感じることが出来る


仏の教えから、人々は命の全てを貴ぶ

それがどんなに小さな命でも命は同じだ


殺生をなしてはならない

その命は前世ではあなたの母親だったのかもしれないし、子供だったのかもしないのだから


ヒンドゥーの神々もまたそれぞれがいろんな動物に乗っている

シバ神は牛に、ガネーシャは鼠に・・


人々は朝起きてそれぞれの神に祈り

鳥に食事を与え、自分たちの食事に動物の分を残し、それを与える

近所の野良犬、野良猫がお腹を空かせてやってくれば当然の如く彼らにも与える


街中の犬猫の殆どは飼い主がいない

それでも飢えて倒れている姿を見たことがない


友人の家を訪ねれば、玄関先で犬が寝ている

ここの犬かと思えばそうではない


猫の姿は少ない

そこかしこにいるのは犬ばかりだ

そしてその犬は自由に人のいる場所に出向き、誰かに餌をもらい、どこかの家の軒下で眠る


子供が出来れば誰かの家の物置などに入り込んで赤ん坊を産んだりもする

人々はそれを見守り、赤ん坊が大きくなると犬は親子でそこを出てまた外で暮らす


鳥も動物も人間を警戒しない

ホテルのベランダには毎朝入れ代わり立ち代り様々な鳥たちがやって来るし

手を差し伸べればノラ犬たちは嬉しそうに尾を振る


注) 但し、それは犬の様子を見極められる場合に限る

    狂犬病の犬もいるので、十分な注意が必要


人々は動物を虐待しない

番犬として飼う場合は警戒心を持たせるため、厳しく躾ける飼い主もいるが

一般には動物を虐めることは決してしない


日本では年間数十万匹もの犬猫が殺処分されている

この国よりも遥かに裕福な日本で毎日実施されるこれは最悪の虐待だ


そして極貧国ネパールでは誰も動物を飢え死にさせないというのに・・

裕福なこの国では多くの動物が飢え死にするという悲しすぎる事実


そのどちらも、同じ人間の心がさせていることだ

この国民性の違いは一体何なのだろう


この国の金持ちに飼われている以外の動物たちは確かに短命だ

病気になっても、怪我をしても、病院に行けるわけでもないし

人々は自分たちと同じ塩分の多い食事や甘いお菓子を動物に与える


動物は人間を恐れることもなく

飢え死にする訳でもなく

動物として、本来の姿のまま活き活きと生きて・・

短かろうが長かろうが、己の運命を全うすることになる


少なくともどんな動物もほぼ平等に生きている

日本のように、異常に可愛がられる動物がいる一方で、毎日殺処分に送られるような不平等な扱いは誰も受けないのだ


それがどれだけ気持ちの良い世界か分かりますか


お茶屋のおばさんは、土間に這うヒルを脱いだサンダルに乗せ戸外に出す

ホテルの部屋ではヤモリも一緒に暮らす


牛は車に道を譲られて通りを闊歩し

そんな牛は寝ている野良犬を避けて歩く

猫は家々の屋根を飛び歩き、どこかの家の小窓から部屋に入り込み、そこの家人にご飯を貰う


みんなが自由に生きている

猫は猫らしく、犬は犬らしく、鶏も、羊も、ねずみにも、生きている間、彼らには自由があり、迫害されない


この国に身を置くと、生きとし生けるもの平等な命の姿が見える




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ここで私は神の存在を感じる


私にとっての神は大自然だ

私たちを生かしてくれるのは光りと水と木々


それらにはそれぞれに匂いがある

土、岩、乾燥、雨の到来、森、風・・ それは懐かしい匂いだ

私の住む街が既に失なった遠い昔の大地の匂いだ


私たちが便利さと引き換えに失なったものがそこには未だ在る


ヒマラヤの前に立つと、懺悔せずにはおれない

それは余りにも神々しく、厳しい表情で人間を見下ろす


ヒマラヤは人のした事に悲しんではいない

神はひどく憤っているように見える


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私は不便さと出会いにこの国に行く

スイッチひとつで間に合う生活はうんざりだ


行きたいところには這うようにして行き

不便さは何とか工夫を凝らして乗り切り

抗えないものにはじっとして過ぎる時を耐え忍ぶ


そうして私はやっと人間らしさを取り戻す


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友人たちは真心を持って接してくれる

私がこの国で死ぬ事があっても、決して淋しい死に方はしないと思う


何を思って人のためにこれだけ尽くせるのか・・

バカな私には未だわからない


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私は一匹の犬に会うためカトマンズに行く

人間は人の事情を理解できるが動物は違う


ただひたすら信じて待ち続けてくれる《バブー》のために・・  私はカトマンズに行く



まじょねこ日記-Babu