魔女
カタールから帰国した友人
戻ってからもさらに苦労は続くのだ
彼の両親やら兄弟は、この長兄である男がカタールに出稼ぎに行って大金を稼いで戻ると信じて疑わず、彼に多大な期待を寄せていた
それが昨日のブログに書いたような訳で、事は周囲が思う様には運ばなかった
両親も兄弟も彼を責めた
稼いだお金をひとり占めしているに違いない
男が何を弁解しようが、親兄弟は金もよこさない愚息、愚兄と彼を罵り
この金の問題は双方に深い確執を生んだ
出稼ぎがこの一家にもたらしたものは、意味のない嫉妬と深い憎しみだけだった
それは今も続いており、私はこの友人の住む村から疎遠になりつつある
この国で、もし親族の誰かが仕事で成功したとしよう
するとその恩恵に与ろうと、次から次へと身内が押し寄せる
親、兄弟は成功した人間に頼り、仕事もしなくなる
また別な友人がいて、彼は努力し、若くして仕事に成功を収めた
親族は持っていた仕事も辞め、彼に大きな家を建てさせ、その生活の一切を友人に頼った
彼は兄弟全ての学費も負担し、全員大学も卒業させた
しかし卒業させた兄弟は就職をせず
当然のように、彼の稼いだお金で怠惰に過ごす道を選んだ
それはこの国ではごくありがちな家族の関係だ
家族を助けるのは当然の行為であるとされるから、そこには感謝の気持ちすらない
親兄弟に叔父叔母、従兄弟までも養わねばならず
お金を稼ぐ苦しみに、心さえ病み始めた友人を見かねた私は
彼にこの国の悪しき習慣を捨て、親族の面倒を見るのをやめるように進言した
そうして友人は彼の親族に 「もう面倒を見るつもりはないから、今後は自分の生活は自分自身で考えてくれ」 と告げた
友人は親兄弟を始めとする親族に罵られ、勘当された
その後家を出た友人はカトマンズを離れ、ヒマラヤの麓の村でのんびりと暮らしている
さて、建築ブームに話を戻すが
ネパールの銀行は、結局資産家がより資産を増やすためにやっているのであって(私はそう思う)、そこに社会貢献の姿勢はまったく見当たらない
この国の銀行は国を繁栄させる担い手としてではなく
少なくとも私には、人々の苦しみを栄養として私腹を肥やしているとしか思えない
この国の銀行業務姿勢は国際的視野からすると、当然評判はいいとは言えない
多少の差はあるが、現在ネパ-ルの銀行金利は16%ほど
日本のように特に住宅ローンなどはなく、ローンはなんでもこの金利だ
そしてその金利は建築ラッシュなど需要が伸びるにつれ、驚くほどの勢いで伸び続けている
思うのだが・・
人々はこの金利で長期返済をする時の総支払額が分かっているのだろうか・・と
だって普通この金利で長期ローンは組まないでしょう
さらにとんでもないのは、銀行は勝手に金利を上げる、ということ
この某大手銀行の16%金利だって、18%に引き上げるという話を私はこの春カトマンズで耳にしたが、今現在、既に引き上げられているかもしれない
それはつまり・・ 金持ちはより膨らみ続けるという事実でもあり
実際、私の知り合いは預金金利だけで悠々自適な暮らし振りだ
そうしてローンが滞ったり、支払えなくなった消費者の土地や建物は次々と銀行のものになってゆく
見渡せば、そこかしこに建築途中や、廃屋となった建物が見られる
それらはローンが払えなくなって手放されたものだ
この国の貧富の差を助長しているモンスターのひとつは銀行である、と私は思っている
さらに銀行経営者と政府はコネで繋がっている部分もあり・・
こうして地価が高騰すれば物価も上がる
苦労するのは庶民ばかりだ
例えばタメル(外人観光客も多いカトマンズの繁華街)の外れにあるジュエリーショップ
間口が狭く奥に長い3坪ほどの店
その一日の家賃は1300ルピー (円高の現在 1ルピー=1円と考えてよい)
月払いだと35,000ルピー
年払いで420,000ルピー
ネパールの物価は日本の10分の1以下だから、この値段は容易に推察される
この家賃も同様に急激に値上がりしている
芸術的センスで見事な銀製装飾品を作り出すここ店主は青息吐息で店を経営をしている
次に行く時にこの店があるのだろうか・・
私はそればかりが気がかりで仕方がない
そして・・
ラクスマンの新築の家が銀行に取られませんように
あそこには私の部屋があるんだから
私は何人かの銀行関係者を知っているが
当然性格がよろしくない
ま、これは私的な見解ではありますが・・
こんな状態のカトマンズ・・
もはや ネパール人の常套句 『 ケ ガルネ 』 (どーしようもいないじゃん)
などと言っている場合じゃない
さて、気分を替えて、カトマンズの町の画像
『香辛料屋』 アサンチョーク
『銅製品屋』 アサン トレ
『洋服屋 2F』 アサン トレ
胴はひしゃげてても、服は色褪せても売っちゃいますぜい
『便利ナイフ実演商売』 ラトナ パーク
そして、『どんなもんだい!』 って目をして取り巻く人々を睨む
ただこの 「どんなもんだい!」 ってのが、ナイフを指しているのか、自分を指しているのかがよくわからない
『夜の市』 アサン
『落書き』 セト マチンドラナート