ネパールこぼれ話  建築ラッシュと出稼ぎと銀行 | まじょねこ日記

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魔女


今日はちょっとシリアスなお話


建築ラッシュに湧くここカトマンズ及びその周辺の地価の高騰はここ数年来凄まじいものがある

昔は あの壁辺りからこの木までが俺んち~、 なんて言っていたのが

今や郊外では土地を買い占めた不動産業者が日本のように土地を区画し、地面にロープを張り、商売に余念がない


そして毎日土地や建売、アパルトマン式の住宅販売の大きな広告が新聞の紙面を飾る

以前紹介した 『DREAMS HOMES』 もそんな中のひとつだ


庶民にとってはまさにDREAMで

これらは一部の金持ちたちのためのもの

この国の貧富の差を象徴するようなお金持ち向け紙面広告



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     支払い&割引表、例えば全額現金なら14%割引とか書かれている




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                    DREAMS HOMES



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                     知り合いの家


ここの主の父親は王族の血を引いており、主はカトマンズの大手銀行、息子たちはアメリカの銀行で働いている銀行員一家


こんな家は特別としても

庶民だって頑張って働いて必死でお金を貯めて、小さな家のひとつも欲しいわけで・・


しかし、低カーストの人々はここでは仕事をなかなか選べない

ネパールの現在の実質GDPは年間で国民一人当たり約$600

国民全体からみる貧困率は30%以上


そして5、6年前は失業率40%以上だったが

人々が海外に出稼ぎに行き始めた今、それは下がっていると思われる


ここ数年来、多くの人は海外に出稼ぎに行く

実際海外に出稼ぎに行く人々の数は年間100万人を超えると推測される


それは人々に夢を語るかのようにして広まり

派遣会社に登録する人が溢れかえる


しかし派遣会社から提示される海外での給料に小躍りしてばかりはいられない

いつの世も儲けて太るのが会社だ


給料からは現地までの旅費(飛行機代)、現地の部屋代、食事代を主とする諸々を天引きされ、始めの数年は給料は雀の涙ほどだ

つまり長く現地に留まって働かないと蓄えなぞできない


その上過酷な労働や事故での死者が絶えず

トリブヴァン空港では連日のように棺が機から下ろされている


しかし人々の多くは、そんな事実を知らずに海外労働のチケットを手にすることができた!

と狂喜し、家族共々抱き合うわけだ



実際私の友人もカタールの油田地帯に出稼ぎに行った

それまで彼はこの失業率の高いこのネパールできちんとした仕事を持っていた

観光客で沸くパシュパティナートのセキュリティーガードが彼の仕事だった


しかし彼はそれを辞め

一攫千金を夢見るが如く熱砂の舞うカタールを目指した


そこで数年働いていたが、途中彼は妻の病気で一時ネパールに帰国し、その後カタールに戻った


この往復の飛行機代の支払い

一ヶ月後カタールに戻ってみれば当然自分のポストは誰かが埋めている

自分が再び仕事に就くには、誰かが辞めるか、病気や怪我あるいは死者が出るなど

つまり欠員が出るまで待たなければならない


待機期間の食事代宿泊費用は高額な飛行機代と共に支払わなければならない

収入はなく、支出は膨大
それまで働いて貯めたお金は一気に吹き飛んだ


結局彼はカタールで5,6年も働いただろうか・・

それでもたいしたお金を手にすることはできないまま帰国した


彼が出稼ぎに行く前、彼と妻、2人の子供が住む家は今にも崩れそうだった

彼は新しい家を建てたく、出稼ぎに行った

お金が溜まらないうちに家の天井が崩れ、残された家族は雨風にさらされ始めた


結局彼は友人達と銀行にお金を借り、小さな家を建てた

その建築費用は出稼ぎのお金では到底間に合わなかったのだ


そしてありがちな嫁と舅、姑問題が悪化しカタールでの仕事を辞めてネパールに戻ってきた

戻ってきても、もうここでは仕事がない

それでも家の借金は払わなければならない


彼の夢は音を立てて砕け散った


つづく