ノラ猫物語 | まじょねこ日記

まじょねこ日記

魔女の大切な仲間の猫たちの日常をみてください

魔女


この冬から急激に多くのノラちゃんたちが顔を見せるようになった


昔、《伐》があだ名を付けていた《ぞうきん》、《ポチ》、《はなくそ》、《ごま》たちはとっくにネバーランドに行ってしまった

ノラ猫たちの寿命は短い


新しいノラちゃんたちが大挙して押し寄せるようになって数ヶ月になる


まじょねこ日記-Otiburekizoku


             まじょねこ日記-Otiburekizoku
                  この子だけは何とか写真を撮らせてくれる


魔女家の近くには、某大手電気会社の賄い付き男子独身寮があった

そこは広大な土地に、マンションのような建物が何棟もあり、夕方はこの坂を道を登る会社帰りの男性を多く見かけた


独身寮には多くのノラちゃんたちが暮らしていた

たぶん、大量の残飯で空腹の辛さを知らずに過ごしていたと思う

柵の向うの寮の駐車場で日向ぼっこをする彼らは、丸々と太っており、子猫が戯れる姿が微笑ましかった


しかしこの不景気で独身寮が閉鎖され、人の姿はなくなった


思い掛けない出来事に

その日から食事にありつけなくなった彼らはどんなに戸惑ったことだろう

事情がわからないまま、何日もそこで待ち続けたに違いない


そして空腹に耐えかね、彼らは柵を越えて散らばっていった

その頃魔女家の玄関先には《パパ・ジョン ブリアン》と《涼子》が食事をしていて

物陰には、それを羨ましそうに見ている何匹もの猫があった


それで魔女は彼らを見かけると、器に食事を盛って庭に置いた

大抵はおとなしい子たちばかりだったが

中には気の荒いノラちゃんもいて、《パパ・ジョン ブリアン》を襲う者もあった

その猫に、《ジョン ブリアン》は《みみずく》というあだ名を付けた


私が食事を置くから《パパ・ジョン ブリアン》が襲われるのか・・ と思い悩んでいた時

いい加減キレた《水玉》が《みみずく》に報復した

それから《みみずく》は来なくなり

他のおとなしいノラちゃんたちだけになった


用心深く、神経質な《涼子》の性格を鑑みて

《パパ・ジョン ブリアン》と《涼子》の食事は家の中であげることにした


このノラちゃんたちはとても可愛いので写真を撮ろうとするのだが

カメラを構えると凄く怯え、食事を残して逃げるので写真は撮らないことにしている


些かでも食事が出来れば、寝床はある

彼らは食事が終わると無人の寮に帰って行った


それがこの春くらいから昼夜を問わず、この家の中に入って、《パパ・ジョン》の残りを食べているノラちゃんの姿を何度も見かけるようになった


家の中といっても、玄関先ではなく2階のリビングのドアの向う

ガラス越しに覗けば必死で食べている姿がそこに見える

魔女家の玄関は私がいる限り(いなくても・・)常に開いており、猫用出入り口は年中無休で開いているから


それはいつもセキュリティーの《パパ・ジョン》がトイレのついでに短い散歩に出た隙のことだ

外のご飯を食べるノラちゃんたちは決まっているから、廊下にいるのはその後にやって来た子たちだろう


そんなある日、出かける途中で例の独身寮が取り壊されているのを見た

重機が入り、寮が崩されていく


みんな・・ 住処も失ってしまったんだ・・


このところ、ここに来るノラちゃんたちの数が減ってきた

それぞれに寝ぐらを見つけたのかな

ゆっくりとご飯を食べられる場所をみつけたのかな


この時期、子猫たちもいるだろうに・・ 大丈夫かな


なんとか逞しく生きていって欲しいと願う

家ばかりがいっぱい出来て、森も林もなくなった


きっとどこに行っても違うノラちゃんたちの縄張りがあるに違いない

それでもどうにか折り合いをつけて、上手に暮らして欲しい


ここ、魔女家でも《水玉》をボスとする縄張りがある

そこで私は、《水玉》の賢さと優しさを知った


彼は腹を空かせてやって来るノラたちを見て見ぬ振りをするのだ

庭にいても、彼らが食事にやって来るとそっと姿を消す

《パパ・ジョン ブリアン》もまた席を外す


猫用出入り口から入ろうとして、ノラちゃんがリビング前の廊下で《パパ・ジョン》の残り物を食べている時はそっと首を引っ込め、外に戻って行く


※ この住宅地は雛壇になっているので、玄関は1階の入り口、猫用出入り口からはそのまま2階に繋がる


こうして数匹のノラちゃんが毎日やって来る

彼らもまた賢明で、食べるだけ食べると、決して長居をしないでどこへやら去って行く


ノラ生活で苦労をしてきた《パパ・ジョン ブリアン》はわざとご飯を残している節があり

弱気な《ジンジン》が彼らを時々威嚇して《水玉》に殴られている

天真爛漫な《ユリぼうず》は相変わらずノラちゃんたちにフレンドリーに接していて

優しい《ジョン ブリアン》はそんなノラちゃんの様子を近所の屋根の上から眺めている


無駄な争いをせず、守るべきところをきちんと心得、共存する姿が実に微笑ましく


住処を追われたノラちゃんたち

これからやって来る厳しい夏を

そして辛く険しい冬をも

なんとか乗り切って生き抜いてください

この間の子狸さんも、どうか頑張って生きて抜いてください


人間の都合に翻弄されてしまった彼らに対し、出来るだけの責任を負いたいと思う


そんな私の気持ちを汲み取ってくれる《水玉》

そして猫軍団のみんなも、ほんとうにありがとうね



まじょねこ日記-Mr.Nora
常連客のひとり、《落ちぶれ貴族君》  軍団がこんな失礼なあだ名をつけてごめんなさい



       まじょねこ日記-Mr.Nora

食事の時間、呼ばれて家に入る《パパ・ジョン ブリアン》の後を追う《落ちぶれ貴族君》


※ この2枚は以前にも載せた