魔女
3日目のこの日は、ボダナートから5、6km東のムルパニ村を訊ねる
そこには友人の妻と二人の娘が住んでいて
友人はカタールに出稼ぎに行っていて長い間家を留守にしている
最近マイクロバンのバスが非常に混んでいる
バスを使うとボダナートで乗り換えなければならないし、混みあっていてなかなか乗れないことも多いのでタクシーで行くことにした
タクシーの運転手は、ボダナートの先は帰りに乗せる客がいないから料金を多めに払って欲しいという
魔女 「じゃあいいよ、他のタクシーをあたるから!」
運転手 「ちょ、ちょっと待って!」
魔女 「やだ」
運転手 「ちょっと待って! いくらならいいの?!」
もうこんな駆け引きはうんざりなんだ
結局こっちの言い値で行くことになるのに・・
この無駄な交渉時間はなんなんでぃ!
※ メーター付きのタクシーにするか、交渉制にするかは時と場合による
私は殆ど交渉制
メーター付きのタクシーでも値段交渉を決め、メーターを止めてもらう
旅行者はメーターのタクシーが良い、とガイドブックなどでは勧められるようだが、客が道を知らないと遠回りをしてメーターを稼ぐ運転手も多く、最近のカトマンズではどこのトラフィックもひどく混雑していてなかなかそこから抜け出せない。 まったく動かなくてもメーターは上がり続けるので、とんでもない金額になったりする
交渉制にすれば、運転手は最短距離の裏道を走るので早く着くし、ラッシュで車が動かなくても悠々としていられる
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タクシーを降りて、細いあぜ道を少し歩き
とうもろこし畑を抜けると、畑の中に小さなピンクの家が見えてくる
ゴビンダの新しい家だ
ゴビンダがカタールに行って稼ぐお金で返済する、ということで借金をし、建てた小さな家だ
以前は近くのゴビンダの実家に続く家に住んでいた
その家はゴビンダが出稼ぎに行った後に壊れた
屋根は崩れ落ち、雨の日は天井に張ったビニールシートから落ちる水で床がプールのようになったものだ
大変ハンサムだった(今は太っちゃって・・)友人と美しい妻のデバキはこの国では希な恋愛結婚
それ故、ゴビンダの実家から疎まれていた
崩れ落ちた家で親子が身を寄せるようにして生活をしていも、誰も助けてはくれなかった
寧ろ続く嫌がらせに妻は憔悴していた
見かねた私は隣村のサクーに住む友人に頼み、崩れた屋根にビニールシートを被せて貰った
彼らはそこでどうにか生活を続けていた
以前にも書いたが、ムルパニのムルとは『源』、パニは『水』という意味だ
その名の通り、激しい雨の降る地域だ
魔女は幾度ここで水浸しになったことか・・
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家の入り口には大きな犬が寝そべっていた
この家の犬ではない
この辺りで暮らすノラ犬が寝ているだけ
それだからといって、誰も追い出したりはしない
犬は好きなだけ寝ると、またどこかへ行ってしまう
ゴビンダの妻、デバキが家から飛び出して来た
久しぶりだが元気そうで良かった
さて、子供たちには服とサンダルを持って来たのだが
姉ディヤの方のサンダルがいいと、妹のディチャがぐずりだした
これはなかなか面白い
写真に撮っておこう
姉の方は服を着てご満悦
それを見たディヤはますます激しく泣き出す
姉のデヤは妹の服まで着て、ディチャを横目に見ながらニヤニヤとする
デバキがディヤに服を脱がせ、ディチャに無理やり服を着せるも・・
機嫌は直らない
興味深い状態なので再び写真に収めてみた
暫く放っておいたら、いつの間にか機嫌が直っていた
なんだ、もう泣かないのか・・ つまらん