魔女
なんとか日本に帰って来たことを書いた後に
逆行するように到着日からの日記を書いておりますが
感染症発症までの数日間の出来事を猫日記を挟んで掲載します
よろしくお付き合い願います
・・・・・・・・・・・・・・・・・・
2日目はマチンドラへ
《バブー》と会うと思うと、夕べは寝付けなかった
長旅の後のラクスマンとデイブとの夜更かしをもろともせず
早朝に目を覚ましてしまった
窓から覗くと、外はまだ薄暗く
スワヤンブナートの寺院のライトアップが浮かび上がっている
それからしばらくして、鳥たちの囀りが聞こえ
人々の生活音があちらこちらから聞こえ始め
天秤棒や自転車に野菜を乗っけて路地を売り歩く行商人の声が響き
辺りに香辛料の匂いが漂い始める頃
さあ、マチンドラに行きましょう!
待ちきれない魔女は連れたちの部屋のドアをノックした
私って勝手だな、と思いながら・・
通りに出るとゴパルに会った
折角だから彼のリキシャでアサンチョークまで行くことにした
アサンでリキシャを降りたところで名前を呼ばれた
が・・誰だか分からない
知ってるはずだが良く分からない誰かと話をしていても頭は《バブー》のことでいっぱいで、早々に話を切り上げてしまった
アサンチョークを曲がる頃には早足になっていた
もうすぐマチンドラだ・・
行きかう人々と路上の物売りの向う
マチンドラのゲートの前、人々の隙間に《バブー》の顔が見え隠れする・・
魔女は人混みを掻き分け《バブー》のもとへ走る
気づいて立ち上がった《バブー》の表情がそれまでとは一変し
人々の足元をすり抜けながらこちらに走って来た
私は飛びつく《バブー》を抱き上げ、そして抱きしめた
近隣の商店主や売り子たちが嬉しそうに笑っている
「よお、《バブー》、良かったね!」 あちこちから声が掛かる
《バブー》と私はふざけるようにしてゲートをくぐった
門をくぐると目の前に女神様
子犬の《ベットゥ》が魔女に甘えるのが《バブー》はどうも気に入らない
《バブー》にかまけてばかりの魔女に対してすっかりご機嫌斜めのママ
それでママのご機嫌を直さなくちゃ、と店に入るが
そこでも後追いして来た《ベットゥー》が気に入らない様子の《バブー》
魔女 「いいじゃない、仲良くしてあげなさい」
つづく