ネパール日記 ~ 帰国当日 Ⅱ ~ | まじょねこ日記

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魔女の大切な仲間の猫たちの日常をみてください

魔女


まじょねこ日記-Flowers

           マチンドラの人々にいただいた花



午後4時

デイブがゲストハウスに迎えに来た

バイクが故障したから病院へはタクシーで行く、という


一日おきの診察を、昨日した

その時、カクレル教授は、明日も来なさい、と言った


こうして帰国ギリギリまで治療は続けられた

魔女が無事に日本に帰れるよう、教授も考えながら治療をしてくれているのだ


感謝の言葉もなかった

この人がいなかったら、私はどうなっていたのだろう

足を切り落としていたかも知れない


最後の治療終え、包帯を巻き終わったところで

カクレル教授は身を起こした魔女を抱きしめてくれた


「にっぽんへの長い旅となるけれど、あなたも私も仏教徒、必ず仏様が守って下さる。 わたしもあなたの無事を心から祈っていますよ。 よく頑張った、本当によく頑張ったね」


教授はそう言いながらその腕に力を込めて抱きしめてくれた

カクレル教授の肩越しに、優しく微笑むデイブの顔が見えた


カクレル先生、大学から、自宅から、わざわざ私のために病院まで診察に赴いてくださって、心から感謝しています
  
   まじょねこ日記-Prof. Khakurel


デイブ、いつも側にいてくれてほんとうにありがとう


まじょねこ日記-Dev


カクレル教授に見送られ、病院を後にした

デイブが少し歩いてからタクシーを捜そう、と言う

デイブは魔女の手を引き、交差点を渡り、人並みから庇うようにして歩道を歩き続けた

こんなに歩いたことは手術後、初めてだった


たぶんこれは・・

これから出発のトリヴァン空港を、そしてトランジットの香港の広い空港をひとりで歩き回らなければならない私のためを考えての事だ


ゲストハウスに到着すると、6時半になっていた

8時には空港に向かう


ホテル代の清算をした

オーナーのラジェンドラから受け取った請求書の金額は宿泊料のみだった

魔女は慌てて食事代やお茶代が記載されてないことを彼に告げた


ラジェンドラは驚いたような表情をして言った

「あれは私たちの賄いを食べて貰っただけだからお金はいらないよ」


いくらなんでも10日間も食事をいただいてそれはないだろう・・ 

頼むから食事代も請求してくれ、と言ったが

彼は絶対にその分のお金を受け取ろうとはしなかった


振り返ると、いつの間にかコックさんやボーイさんたちが後ろにいて

心配そうな笑顔を見せてくれていた

私はひとりひとりに、世話になったお礼を言った


ラクスマンが迎えに来て

ギリンチェに夕食の用意があるいう


ルームメイトの《もりやさん》と別れを惜しみ


まじょねこ日記-Moriyasan
      《もりやさん》、お世話になりました。  元気でね・・


ロビーに降りて行くと

ちょうどボーイが最後のダルバートを魔女の部屋に運ぼうとしていた


せっかくの好意を無にしてはならないと

ロビー横のレストランでそれをいただいた


ゲストハウスのチップボックスに気持ちだけのお金を突っ込んで

魔女はさらに食い地獄のギリンチェへ向かう


外は雨、ホテルのスタッフたちに見送られ

ラクスマンはバイクで、魔女とデイブはゴパルのリキシャでギリンチェへ

ゴパルもまたリキシャ代を受け取ってはくれなかった


そこで再びの夕食

途中デイブが雨の中を外に出て行き、しばらくしてびしょ濡れになれながらザクロを抱えて戻って来た

魔女の大好きなザクロを・・

デイブはそうして最後に食べさせてくれた


だがもう剝いて皿に盛る時間もない

デイブがザクロの実を皿に落とすそばから、私はそれをまるで猿のように頬張った


8時、ラジェンドラと運転手が魔女の荷物を車に積んでギリンチェに迎えに来た

いよいよカトマンズともお別れだ


心配で仕方がないラクスマンとデイブも一緒に空港に向かう


出発ロビーの手前でみんなにお礼を言った

ラジェンドラの手を握り

ラクスマンと硬い握手を交わし

デイブは魔女を抱きしめ


みなが 「無事に日本に着きますように」 と何度も言ってくれた


出発ロビーの手前で振り向いたら

ラクスマンの心配顔と、デイブの泣きそうな笑顔が並んで見えた



1ヶ月後

ラクスマンとデイブが日本にやってきて

動けない魔女の代わりに家事全般をしてくれるなんて・・

この時は想像もしていなかった