行方不明猫《ベス》の顛末 Ⅳ | まじょねこ日記

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魔女の大切な仲間の猫たちの日常をみてください

水玉


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《ベス》がやって来てから3回の夜が過ぎた

《涼子》と《ベス》と時々《アゾ》は、毎日楽しそうに遊んで暮らした


梅ノ木の枝にはあの日と同じに、《ベス》の体から抜けた長い毛が風にゆらゆら揺れて・・

《ベス》が《涼子》に教わった木登りのやり方を忘れないでいたことを知らせていた


しかし、楽しく遊べば遊ぶほど・・

《ベス》の体は、どんどんむちゃむちゃになってゆき

《ベス》は徐々に違う生きものに変身していった


俺 「魔女、いくら何でもあれはひどいぞ」


魔女 「知ってるよ・・ 夕べご飯の時間になって外に出たら、《涼子》が巨大なミノムシを連れて帰って来たのかと思ったもん」


俺 「いい加減もう帰した方がいいって」


魔女 「『バッケー』 発見!とか言って雑誌に売り込もうかな・・」


ジンジン 「何で 『バッケー』 なの?」


魔女 「お化け屋敷にいる生きものだからさ」


ユリぼうず 「ケェ~ケケ! 『ネッシー』 的なものだよ ケッケッ!」


ジンジン 「 『ネッシー』 って?」


ユリぼうず 「《ジンジン》みたいな顔した生きもの!」


俺 「とにかく、あれはマズいって・・」


ジンジン 「僕の顔マズいの!」


俺 「おまえの顔の事じゃねえよ!」


ジョン ブリアン 「僕も見て来たけど、ひどいありさまだよぉ」


魔女 「・・わかったよ」


俺 「電話した方がいいって・・」


魔女 「で、何日分だ?」


俺 「高級缶詰の事はいいから!」


魔女 「じゃあ・・ そろそろという事で」


ジョン ブリアン 「待って!《ベス》、あのままの姿でいいの?!」


魔女 「むしろ苦労してさ迷ってた感が出てて好ましいんじゃない?」


ジョン ブリアン 「出すぎでしょ!」


魔女 「とにかくさ、今は相変わらず楽しげに《涼子》と遊んでいるようだから夕方まで待ってあげようよ」


・・・・・・・・・・・・・・・・


夕方6時・・

《涼子》が《ベス》と一緒に夕食を食べに戻って来た

《ベス》は本当にばかデカいミノムシだった


ご飯を食べてなきゃどっちが顔だか分からない

食器に突っ込んでいるから、きっとこっちが顔なんだろう・・

俺らにはそうやって想像するしかなかった


食事が終わると魔女は《ベス》を玄関に入れ、トミニャガさんに電話をした

《涼子》が急に怒ったような悲しいような顔になった


涼子 「魔女・・」


魔女 「《涼子》、ごめんね・・」


涼子 「ヤダ・・」


魔女 「でもね・・」


涼子 「ヤダッ!!」


魔女 「このままだと《ベス》は木の枝や落ち葉でがんじがらめになって病気になっちゃうよ」


涼子 「なら、魔女がきれいにしてあげればいいじゃん!」


魔女 (こやつ・・)


魔女 「・・でも、よその猫を勝手にきれいにはできないんだよ」


涼子 「どうして?」


魔女 「よその猫だから・・」


俺 (こいつ、何言ってんだ・・)


涼子 「前に《ベス》が汚れた時、魔女はお風呂に入れたよ!」


魔女 (うっ、手強いな・・)


涼子 「《ベス》だってもっと遊びたいんだもん」


魔女 「もう、電話したからトミニャガさん来ちゃうんだ・・」


涼子 「魔女のばか!!」


アゾ 「《ア、アジョ》のばか?」


俺 「マジョ、って言ったんだよ! おまえが入るとややこしいから黙ってろ」


遠くからバタバタと忙しそうな足音が近づいてくる

トミニャガさんがやって来たんだ・・


《涼子》が泣き顔のまま草むらに飛び込んだ・・


つづく