魔女
このところ仕事に加え、ネパール側との事務的なメールのやり取りでPCを使い続けており・・
軍団は日記に言いたい事がいっぱいあるようで、魔女がPCに向っている間中、日記を言う猫のための椅子に交代で飛び乗っては
「日記はどうした! 日記を言うから書いて!」 と文句ばかりだ
今日はこの一週間の出来事を・・ と思ったが、《ベス》の話が途中になっているので、監視役の《水玉》にそれの続きを言ってもらう事にした
水玉
《涼子》は、朝、夕、そして夜のおやつ時間には《ベス》と一緒にお化け屋敷から帰って来た
それ以外の時間は、お化け屋敷の庭で遊んだり、そこの2階の利き手側から2番目の部屋で寝たり、ふざけたりして過ごしていた
そこには《アゾ》の姿も度々見られた
《涼子》たちは本当に楽しそうに遊んでいた
そして
毛の長い《ベス》の体がむちゃむちゃになり始めた・・
俺 「魔女、マズいよ・・ 今見てきたらさあ、《ベス》がひどいことになってるぞ」
ユリぼうず 「何しろ毛が長いからねぇ」
魔女 「何しろ長い旅を続けているからねぇ・・」
俺 「・・極悪人」
魔女 「なによ!高級缶詰食べたくないのか」
俺 「・・」
魔女 「全ては軍団のためなんだ」
ユリぼうず 「《ベス》だってあんなに喜んでいるんだから、申し分ない、という事で、ここはひとつ・・」
ジョン ブリアン 「ここはひとつ・・?」
ユリぼうず 「・・・」
俺 「何なんだよっ!」
ユリぼうず 「・・むつかしい」
俺 「何がだよ!」
魔女 「いいじゃん! みんなが楽しきゃ」
ユリぼうず 「ケェ~ケケ、ケッケッ!」
俺 「・・おい、《ジョン ブリアン》、《ユリぼうず》ってばどうした?」
ジョン ブリアン 「・・楽しいんじゃない?」
俺 「どうしてよ・・」
ジョン ブリアン 「そんな事僕に聞かないでよ、《ユリぼうず》気持ちなんて誰にも分かるわけないじゃない」
リャリャリャリャリャ~! リャリリャリャリャ~!!
ジョン ブリアン 「僕、出る?」
魔女 「いいから・・ はい、もしもし」
トミニャガさん 「魔女さん?」
魔女 「いえ、違います」
トミニャガさん 「ふざけなで! 魔女さんでしょっ!!」
魔女 「分かってるんなら何で聞くんです?」
トミニャガさん 「ほっんとに 憎たらしい・・」
魔女 「で、今日はどうなさいました?」
トミニャガさん 「どうなさいました・・って、
《ベス》はまだ見つかりませんの!? 」
魔女 「だから・・見つかったらすぐに電話します、ってば」
トミニャガさん 「本当にちゃんと探してくださってるの!」
魔女 「うわぁ~、ひどい! この暑い中、《水玉》がどんな思いして《ベス》を探し回ってると思っていらっしゃる。 《水玉》だけじゃなく、《ユリぼうず》だって、《ジンジン》だって、《ジョン ブリアン》だって・・ え~っと後は・・ とにかくみんな必死で歩きまわってるんですよ!」
トミニャガさん 「魔女さんは探していらっしゃらないの!」
魔女 「だぁ~って私は猫缶食べませんから、ま、肉でもくださるのなら話は別ですけど・・」
トミニャガさん 「・・なによっ! その態度!」
魔女 「じゃあ、うかがいますけど、トミニャガさんは外を歩き回って探していらっしゃるの?」
トミニャガさん 「・・わ、わたし?」
魔女 「はい、わたし!」
トミニャガさん 「私は・・ 心配してますわ!」
魔女 「どこでっ!」
トミニャガさん 「家で・・」
魔女 「はい! 自分の事棚に上げて人の事言わないよ」
トミニャガさん 「そ、外は暑いんですのよ、そりゃあ暑いんです、残暑が・・厳しく・・」
魔女 「その残暑厳しい中、《水玉》たちは熱いアスファルトの上を靴も履かずに歩き回って《ベス》を探しているんです!」
トミニャガさん 「・・ごめんなさい」
魔女 「トミニャガさん、お気持ちは痛いほど分かります。 でもきっと見つかりますから・・ もう少しの間、ご辛抱を・・」
トミニャガさん 「はい・・ よろしく願いします・・」
・・・・・・・・・・・・・
ユリぼうず 「ケェ~ケケ! ケッケ、ケッケッ! クェ~!!」
俺ら 「・・」
ジョン ブリアン 「僕は、遠くには行くな、っていう《伐》の言いつけを守っているからお家のそばにいるだけなのに・・」
ジンジン 「僕だって・・ 熱いアスファルトなんて歩かないし・・」
魔女 「なによ、猫のくせに真面目だなぁ」
俺 「なんだよ、猫に失礼だぞ!」
魔女 「いいじゃん、《ベス》の安全は既に保障されているんだから」
俺 「そういう問題じゃないだろう!」
魔女 「あぁ、うるさい」
そんなこんなで3回目の夜が過ぎた・・
つづく