ジョン ブリアン
昨日の夕方・・
テリャスにはのろしのための箱が出された
みんなが帰って来る日、僕は待ちきれなくて
この箱のまわりをぐるぐるまわっていた
そして今日、僕はその箱をうらめしくながめていた
僕 「魔女・・のろしを上げなければみんなはずっとここにいられるんでしょ!」
魔女 「そういう訳にはいかないのよ・・ 淋しくなるけど 『さよなら』 を言わなくちゃね」
魔女はみんなにお土産を用意した
それはみんが好きだった缶詰やカリカリだったり、おもちゃだったりした
そしてべジタリャンの《インジゴ》には特別に野菜を用意した
みんながテリャスに集まった・・
みんながいるのに・・ テリャスはすごく静かだ
《ユリぼうず》 《バブー》
炎が恐い《ボンネット》はチュベローズの陰に
《水玉》と《アゾ》は床でしょんぼりして・・
僕はお別れが嫌でまだこの時はお部屋にいた
僕や《ジンジン》、《水玉》、《ユリぼうず》、《アゾ》そして《涼子》はその間、夜は外で遊んだ
一晩中をみんなで楽しく騒いで過ごした
だから僕らは毎日朝帰り
くったくたに疲れて昼間はお部屋でバクスイした
その間、お部屋に残った《ボンネット》、《バブー》、《凛》は
《エダ》と《なでしこ》と《インジゴ》たちと遊んだ
お家の中の楽しそうな声は、外の僕らのところにも聞こえた
昨日、ついに夕方になってしまって・・
魔女が箱の中に割り箸を入れた
僕は、《伐》やみんなと一緒だった今日までのことを思い出してた
そうしたら急に淋しい気持ちになって
すごく悲しくなって・・
わぁわぁ泣きだしてしまった
《ジンジン》も泣いてた
魔女が僕らの頭をなでながら言った
「泣いていたら、ニャバーランドに帰るみんなが心配するよ、安心して帰れなくなっちゃうでしょ、みんなに心配かけちゃいけません」
僕はいっしょけんめに泣くのを止めた
時間がかかったけど・・ 止めた
箱の中から火と煙が登り始めた
僕は思わず手摺に飛び乗っていた
ニャバーランドのみんなは、すぐには空に上って行かず
最初、僕らの上をゆっくりと回った
それで僕は手摺を行ったり来たりした
それからみんなは少しづつ空に登って行った
魔女が空に向って手を振った
僕もいっしょけんめ魔女の真似をした
《ジンジン》も手すりに乗って空を見上げた
《水玉》と《ユリぼうず》も椅子の上から空を見ていた
《凛》が空を見上げて
「なでちこ・・」 とつぶやいた
《凛》・・ 《なでしこ》に遊んでもらったんだね・・
《なでしこ》は、生まれた年の冬にもうニャバーランドに行っちゃったって・・
体が弱く生まれてしまったから、まだ子供だった《ジンジン》たち兄弟が遊ぶのを見てるしかできなかったんだって
《なでしこ》、いっぱい遊びましたかぁ~
楽しかったですかぁ~
魔女が空に向って
「みんな またね・・」 って言った
僕もニャバーランドに帰ってゆくみんなに聞こえるようにいっしょけんめに叫んだ
「僕、これからも頑張って日記いうから聞いててねぇ~!!」
煙が終わった・・
手摺から降りようとして庭を見ると
桜の木の間に、ひとりで空を見上げている《涼子》が見えた
魔女
楽しかった日々はあっという間に過ぎて・・
家の中がひっそりしてしまった
ネバーランドのみんなを見送り
みんながテラスから部屋に入ると
《ボンネット》と《バブー》が、テーブルの下で何かを見つけて魔女に報告した
覗いてみると・・ それは《赤ちゃんヤモリ》
どうしてこんなところに赤ん坊の《ヤモリ》がいるんだろう・・
手を差し出すと、よっちよっちと乗って来た
そして《赤ちゃんヤモリ》は・・
魔女の指先から《ユリぼうず》を見つけると
その背中へと飛び移った
それはまるであの頃の・・
背中に《もりやさん》を乗せた《ユリぼうず》と同じ姿だった
《ユリぼうず》がものすごく嬉しそうにはしゃぎまわった
「《もりやさん》が生まれ変わった! 《もりやさん》が生まれ変わったんだ!!」
《ユリぼうず》と一緒に小さな《ヤモリ》を庭に連れて行き、よっちよっちとアロエの裏の壁を降りて行かせた
部屋に戻って、ぼんやりとしながらテーブルにつくと・・
目の前に置かれた小さな枯葉が目に入った
どうして枯葉が・・
突然胸が締め付けられ・・ 涙がこぼれた
優しい《インジゴ》の声が聞こえた気がした
魔女におみやげ・・
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