CATS WARS Ⅱ | まじょねこ日記

まじょねこ日記

魔女の大切な仲間の猫たちの日常をみてください

魔女


やっつけてもやっつけても宇宙戦士は次々と現れて

戦いは延々と続き・・


魔女も軍団も疲れていた

そしてみんな傷ついていた


《ジョン ブリアン》のマントはぼろぼろにちぎれて

《ボンネット》の鎧は崩れかけ

《ジンジン》はよたよたと逃げ回り

《R2-D2》は倒れたまま、ひたすらジタバタしており

くノ一姿の《バブー》も痛々しい姿になっていた


そんな中、ウィケットばりの《ユリぼうず》だけが、相変わらずとぼけた顔をして張り切って戦っている


しかし、倒しても倒しても敵の数が減らない

軍団の動きも鈍くなり・・

空しい戦いに魔女も疲れて来た


もはや、ここまでか・・


その時

巨大女王蟻が宇宙兵士の後ろからぼわ~んと現れて


「おぉ~ほほ! 《姫》の命もここまでよねぇ~」


と言って、《インジゴ》の首に剣を突きつけた


これには軍団も驚いた

彼らは目を丸くして一斉に叫んだ 


「《インジゴ》って・・ 《姫》だったの?!」


剣を突きつけられた《インジゴ》がぎゅうっと目を瞑った


魔女は一歩前に進んで・・


魔女 「待て! 《姫》の代わりに私を殺せ!!」


女王蟻 「・・?」


魔女 「どうした! 私を身代わりにしろと言っているんだ!」


女王蟻 「・・価値ないじゃん」


魔女 「・・」


魔女に価値がなくて、《インジゴ》にどれだけ価値があるかわからないけど・・ 

あったまに来た!!


「ふざけんな~!!」 と叫びながら


魔女は軍団が止めるのも聞かず女王蟻に向って突撃した


おかげで敵に囲まれた・・


自分の浅はかさを思い知った

しかし、浅はかさを思い知るのは慣れている

自慢じゃないが、魔女はほぼ毎日、それを思い知って暮らしているんだぞ


だが、それも今回で終わりだ・・

さよなら 浅はかな私


宇宙戦士の何十という剣が魔女に突きつけられた

が・・不思議と死ぬ気がしなかった

でも・・ 死ぬんだよね?


魔女はこれまでの人生を思った

ここで自分の人生が走馬灯のように駆け回るはずが・・

あれ・・ 何も掛け回らないじゃないか

私の人生は意味がなかったのか

そういえば、大して意味もなかったような

ただ浅はかだけで一生を終えるのか・・

そうか・・ 空しいな


(《インジゴ》、ごめんね・・)


そう思って覚悟したその時


「改心しましたあ~!!」


と叫びながら・・ ダースベーダーが現れた

あれ・・? 

よく見たら《伐》じゃんか!


ダースベーダーの《伐》は空中に浮かんでいて

スポットライトのような青い光の中に突っ立ち

そこから魔女に向ってライトセーバーを投げた


魔女がライトセーバーを振り上げると

敵はシャボン玉になって次から次へと消えてゆき・・

最後に生意気な事を言った女王蟻も悲鳴と共に弾けた


やっと《インジゴ姫》を張り付け台から降ろし

駆け寄る軍団


その夜は戦いの疲れを癒すために

みんなで《今日ちゃん》のわらび餅を食べた


翌朝、《今日ちゃん》は白い犬に

そして軍団はヤクに戻っていた

魔女と肩に乗った《凛》、犬の《今日ちゃん》、《インジゴ姫》とヤクたちは再び歩き始めていた


そういえば・・
私たちはどこに向っているんだろう


魔女 「《今日ちゃん》、いったいどこに行くつもりなの?」


今日ちゃん 「あれ・・ 言わなかったっけ? アレグリアを見に行くだよ 音譜


魔女 「・・」


今日ちゃん 「早く観たいな! さあ、急ごう!」


魔女 「・・アレグリアって ・・もうやってないよ」


今日ちゃん 「ひえ~~!! 嘘だあ!」


魔女 「ほんとだよ・・」


あてのない旅になってしまった・・


目的を失った《今日ちゃん》は、ひどく気落ちしてしまって

しょんぼりとうつむいてとぼとぼ歩いている


シルク ドゥ ソレイユではダメなのか? と聞いたが

アレグリアじゃなきゃ嫌だと言われた


遠くからバイクの音が聞こえる

《水玉》が軍用コートをなびかせてこちらに向かって来た


《水玉》は私たちの前まで来てバイクをスピンさせるとヘルメットを外して聞いた


水玉 「無事だったか!」


ヤクたち 「・・遅いよ」


水玉 「すまない! 任務があったのだ!」


魔女 「凄いな・・ ドイツの軍服を着た猫のジャック バウアーかよ・・」


《水玉》は、ドイツ風に敬礼すると、またバイクにまたがってどこかへ去って行った

あいつ・・ 何してるんだ?


ジリジリと太陽が照りつける

水もなくなったし、もう食料のわらび餅もない


ふと見ると、足元に6本の角が生えた山羊の骸骨があるじゃないか!


持って帰らねば・・

何が何でもこれを持ち帰らねば・・

魔女はヤクたちが止めるのも聞かず、骸骨を抱えた


暑い・・ 重い・・ 暑い・・

水・・ 飲みたい・・

もう死ぬ・・


6本角の山羊の骸骨を抱え、仔猫の骸骨を肩に乗せた魔女の骸骨が・・

何年かしたら発見される事になるのだろうな

それって・・ 骨マニアのオークションに出したらいくらで売れるんだろう


そんな自分には全く得にもならない考えが頭を過ぎっていた


んなもん売れねえよ!



夢は・・ まだつづく