ねこ日記 ~我儘な《薀蓄斎子》 ~ | まじょねこ日記

まじょねこ日記

魔女の大切な仲間の猫たちの日常をみてください

ジンジン


どこまでも恐れを知らぬ《薀蓄斎子》は・・


事もあろうに今日は《水玉》の尻尾に噛み付き、悲鳴をあげさせた


いつもだったら秒殺で相手を殴り倒す《水玉》も

小さな子供相手ではそうもいかない


それで《水玉》はひどく恐ろしい目つきをして、《薀蓄斎子》に思いっきりガンを飛ばした

その顔を見た《薀蓄斎子》は、何故か体をくにゃくにゃさせて立ち上がり、前足を空を切るようにしてやたら動かし・・


それから《水玉》を大きく避けて、やはり体をくねらせながら歩き過ぎた

そしてそのまま《水玉》の後ろにまわり・・ 

またしても尻尾に噛み付いた


水玉 「いってぇ~!!」


僕 「怖いもの知らずだな・・」


アゾ 「こっ、こっわいもの 見たさとは ちがうんだろか そーでしょー」


水玉 「これが見てる様かよ、思いっきし噛み付いてんじゃねえかよっ!」


僕 「あれ・・ 《アゾ》、独立したんじゃなかったの?」


アゾ 「あ、あ、朝ごはんの時間だが・・」


水玉 「おまえ、ご飯の時間だけはきっちり把握してんだな」


アゾ 「・・は、はあく、って な、何ですかね はいくの まちがいじゃないのか?」


水玉 「じゃあ、はいく、って何だよ」


アゾ 「・・」


水玉 「知らねぇんだ・・ 意味も知らずに聞きかじるな!」


アゾ 「きっ、木はかじりましぇん!」


水玉 「この・・」


アゾ 「い、いったあ~い!!」


水玉 「おお、いいぞ! 《薀蓄斎子》、もっと《アゾ》を噛んでやれ!」


アゾ 「な~ な~にを するんだあ~!!」 バンッ!!


ジョン ブリアン 「わっ! 幼児を殴った・・」


水玉 「《ユリぼうず》はどこだ!」


ジョン ブリアン 「テリャスで寝てる」


水玉 「おーい、《ユリぼうず》~!! おまえの娘が殴られてんぞぉ!」


ユリぼうず 「なぁにぃ~! どこのどいつだ殴ったんだあ~!!


魔女 「いい加減にしなさい! ご飯にするよ!」


それから俺らは朝食に集中したから

《薀蓄斎子》の事に関しては気が散った



今日、魔女は久し振りに家にいるらしい

・・・・・。  ← ( 《薀蓄斎子》 がキーを踏んだ。 偶然にしても上手に出来てる・・)


食事の後、どういう訳か《薀蓄斎子》が魔女にくっついて離れない

部屋の中のどこにでもついて行くし、魔女が座っていれば必ず膝に乗る

魔女はちょっと移動するのにも、着ている服の裾に《薀蓄斎子》をくるんで動き回らなければならなかった


いったいどうした心境の変化なんだ・・

《ユリぼうず》に言わせれば、これは 『一種の気の迷い』 だそうだ

いずれにせよ、僕らにとってはつかの間の休息だ

まじょねこ日記-Rin 09626

           まじょねこ日記-Rin

ジョン ブリアン 「まるでガンガルみたいだ・・」


魔女 「てか・・ ウンチ臭い」


ボンネット 「おねがいだから その名前は やめて!」


魔女 「あれ? 名前なんて呼んでなかったけど・・」


ユリぼうず 「僕の子を正規の名前で呼ぶように!」


ボンネット 「そうだよ そうして あげてよ かわいそうだよ」


ジョン ブリアン 「病院で名前を呼ばれる時、魔女だって恥ずかしい思いをするんだよ」


水玉 「そんな事で魔女が恥ずかしがるかよ・・」


ジョン ブリアン 「がらない・・ よね・・」 


水玉 「だろ・・ なにせ《ユリぼうず》を初めて病院に連れて行った時、魔女は受付で 『これは猫じゃない』、って言ったんだぜ」


アゾ 「ね、ね、ねっこじゃなくて 何て言ったんですか! そでは 知りたいんです!!」


水玉 「おまえ、まだいたのかよ!」


アゾ 「そ、そっとは そどそどと 雨が ふりはじめましてね どーでしょーか」


僕 「なんて友だち甲斐のない女なんだ」


水玉 「《涼子》はどうしてるんだ」


アゾ 「も、もっのおきで ごんごん 寝とる」


水玉 「おまえもきちんと独立しろよ!」


アゾ 「で、できまっしぇん!!」


水玉 「おまえが《涼子》と暮らしてくれなきゃ俺はこの部屋では寝られないんだよっ」


アゾ 「え・・っと・・ な、なんの 話だったかの・・」


水玉 「聞けよっ!」


ボンネット 「母ちゃんが猫じゃない・・って」


アゾ 「そ、そうだ! そでだ!!」


ボンネット 「母ちゃんは 猫じゃなくてなんだったの!」


僕 「 実はな・・ 『モグワイ』 だったんだ・・」


アゾ 「・・ な、なんですか そで・・」


水玉 「とにかく猫じゃないんだとよ、 だから《ユリぼうず》は病院ではそういう種類で登録されてるんだ」


ボンネット 「!!!!!」



僕 「で、何の話だったっけ・・」


ジョン ブリアン 「《りん》の名前の話!」


僕 「そうだ、《薀蓄斎子》じゃ可哀想だって話だ」


アゾ 「そ、そんなの どーだって いーじゃないか」


ジョン ブリアン 「良かないよっ!!」


ボンネット 「まじょ、おねがい・・」


ジョン ブリアン 「魔女! 《りん》が《薀蓄斎子》っていう名前を覚えちゃっう前に、ちゃんと本名を覚えさせて!」 


魔女 「わかったよ・・」



それから魔女は、膝の上の《薀蓄斎子》に向って、『《凛、》《凛ちゃん》!』 と何回も呼びかけ始めた

そんな魔女を《薀蓄斎子》は膝の上からじぃっと見ていた


魔女が、《凛》という名を覚えさせようと頑張っている

そんな魔女をじっと見上げる 《薀蓄斎子》・・ ごめん、《凛》もすごく真剣な顔なんだ

《凛》、という名を呼び続ける魔女の口元を大きな目でじっと見詰めている


まじょねこ日記-Rin


僕 「こうやって見ていると、あの子、結構可愛いかもね・・」


水玉 「真剣な顔してるぞ」


ジョン ブリアン 「自分の名を覚えようとしてるんだよ」


ユリぼうず 「何しろ僕の子だからねえ」


ボンネット 「《りん》、がんばって 名前 おぼえてね」


俺らは何だかほほえましい感じになって・・

みんなが心の中で応援しながらその様子を眺めていた


魔女 「《りん》、名前は《りん》だよ、ちゃんと覚えるのよ」


凛 「・・」


魔女 「《りん》、《りんちゃん》!」


凛 「・・」


魔女 「り・・  ワオェ~!!」


俺ら 「うわあ~!!」


《凛》が・・ 

いきなり飛び跳ねて・・ 

魔女の口に噛み付いた!


《凛》は真剣にその名を聞いていたんじゃなくて

真剣に・・魔女の動く口を見ていただけだった・・


ジョン ブリアン 「魔女、大丈夫!?」


魔女 「いたぃ・・ いたぃ・・」


魔女は、魔女の胸にしがみついて、魔女の口を目掛け、ぴょんぴょん跳ねながら更に噛もうとしている《凛》をつかんで、《ユリぼうず》の目の前に突きつけた

「《薀蓄斎子》・・ 返すわ」


名前が・・ 戻ってる