ジョン ブリアン
今日は僕の検診日だ
本当は昨日行く予定だったんだけど
おーしか先生がじゅ-たいの猫がやって来て深刻だったから今日になった
魔女 「《ジョン ブリアン》調子は?」
僕 「オッケー!」
魔女 「じゃあ・・ 行くわよ!」
僕 「はい!」
僕はキリッとした
薬をやめてからも具合は悪くなんてならないし
どんなに走り回っても平気だもの
魔女と一緒に外に出たら・・
車の下で《ユリぼうず》が待ちくたびれた顔をしてお日様を避けて寝そべっていた
魔女 「《ユリぼうず》、そこで何やってる・・」
ユリぼうず 「付き添って差し上げる」
魔女 「《ジョン ブリアン》は付き添いがいるような病猫ではないの」
ユリぼうず 「そんなの知ってる、でも僕は見届け猫なの」
魔女 「いったい何を見届けるって言うの!」
ユリぼうず 「うんち漏らし」
僕 「・・」
魔女 「いい加減にしなさい!」
ユリぼうず 「だって・・ みんなと 『誰が勝つか』 をやってるんだもの」
魔女 「なによそれ」
ユリぼうず 「《ジョン ブリアン》が漏らすか、漏らさないかをみんなで予想するの」
魔女 「それで勝ったら何か良い事があるのか」
ユリぼうず 「ひたすら喜ぶの」
僕 「」
魔女 「誰と誰でやってるんだ」
ユリぼうず 「僕と《水玉》と《ジンジン》と《アゾ》」
魔女 「《アゾ》も一枚噛んでるのか!」
ユリぼうず 「でもね・・ 反対意見がないのね」
魔女 「どういう事よ」
ユリぼうず 「全員が漏らすって言うから」
僕 「」
魔女 「何て失礼な奴らなんだ!」
ユリぼうず 「そういう魔女だって、バッグの中に替えのタオル入れてた 僕、見たのよね」
魔女 「あ、あれは 今日はかなり暑いから それで 汗が・・ 汗で・・」
ユリぼうず 「とにかく、僕一緒に行くから!」
魔女 「ダメだよ!」
ユリぼうず 「どうしてっ!」
魔女 「ついてくる動機が気に入らない!」
ユリぼうず 「・・ 実は大型バイクが見たいのでっ!」
魔女 「遅いっ!」
僕 「いいよ! ついて来たらいいじゃない!」
魔女 「《ジョン ブリアン》どうしたの?」
僕 「僕、今日はウンチ漏らしたりしないもん!」
魔女 「だけど、もし・・」
僕 「しないもん!!」
ユリぼうず 「それでは参りましょうか?」
《ユリぼうず》はそう言って、魔女が車のドアを開けるなり運転席に陣取り
案の定後ろに追いやられた
魔女の隣の席には僕が座るんだ
病院に着いた
従業員(違う獣医さん)の女の人が僕の顔を見るなり、おーしか先生を呼んだ
その時僕はまだガラス(ドア)の向こうで・・
だから待合室に入った時、すでにおーしか先生はてぐすねを引いていた
僕はおーしか先生の顔を見ると、すぐにウンチがしたい気持になった
だけど僕 今日は・・
絶対にウンチを漏らさないって決心してるんだ!
だけど・・
リャントゲンを見たとたん
いつも何でだか、それまでの我慢が台無しになっちゃうんだ
朝きちんと家でウンチをしていても、やっぱりダメで・・
それは 『じょーけんはいしゃ』 であり、僕にはどうしようもない体の変化、いや、心の問題だと思われ・・
どうしよう
もし今日も漏らしちゃったらどうしよう・・
《薀蓄斎子》と同じになっちゃう
違う・・ 僕の場合、《薀蓄斎太郎》だ
みんな僕をそう呼ぶに違いない
もしウンチを漏らしても
おーしか先生は内緒にしてくれるよね
魔女もみんなに言ったりしない
だったら大丈夫か・・
いや、だけど・・
《ユリぼうず》の事だもの
お尻の臭いで気づくに決まってる
そんな事ばかり考えているうちに
おーしか先生が言った
「それじゃ《ジョンちゃん》行きましょうか」
今日は漏らさない
絶対漏らしたりしない
僕は心の中で何回もそうつぶやきながらリャントゲン室に向った
おーしか先生がリャントゲン室のドアを開けたとたん
僕の心の緊張が一気に僕の頭を破きそうにした
つづく