ねこ日記 ~ 昨日の敵は今日の友 ~ | まじょねこ日記

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魔女の大切な仲間の猫たちの日常をみてください

水玉


俺が後をつけているとも知らず・・

《アゾ》はお化け屋敷に向かい、そこの固い塀(ブロック塀)に飛び乗った

そしてお化け屋敷の狭い方の庭に降りた


塀の端は、花がいっぱい咲いている大きな木の枝が被さっている

俺は《アゾ》に気づかれないようにそこに飛び乗って

枝の間から庭に降りた《アゾ》の様子を見ていた


《アゾ》はそこでがさごそと動き回ってから、アパートじゃない家の端っこの方に向って小刻みに鳴き始めた

※ お化け屋敷には誰も住んでいない壊れかけたアパートと、敷地の端に昔大家さんが住んでいた小さ目の家が一軒ある。この家も相当崩れかけている


《アゾ》は小さく鳴きながら、その崩れかけた家の角から奥に向って首を長く伸ばしている

俺の所からはその奥は見えない


あいつ・・ 何やってるんだ・・


《アゾ》が後ずさりをした・・


家の向こうから姿を現したのは・・ 白い猫

白い猫・・ 


うええ~っ!!


アゾの宿敵、《りょ、涼子》じゃんか!


女同士の喧嘩か!

いざとなったら俺の出番だ


ところが・・


涼子 「《アゾ》、やっと来たね、夕べ待ってたんだよ」


アゾ 「ま、まじょが 戸を あっけて くれなかったんだが! 《あじょ》は おおいに なきましたんです」


涼子 「そうだと思った、鳴き声が物置まで聞こえてたもん」


アゾ 「で、で、でしょ!」


涼子 「今日から一緒に暮らすんだよね」


アゾ 「《あ、あじょ》は どっくりつすると 言いいましたから そでは せ、せん言しました」


涼子 「よし!」


アゾ 「《り、りょこちゃん》、朝ごっはんは?」


涼子 「食べたよ、魔女が毎朝一番にくれるから」


アゾ 「よ、よっし!」 


涼子 「ねえ、何して遊ぶ?」


アゾ 「き、木のぼり します! どーでしょー」


涼子 「いーよ!!」


え・・ 何がどうなってるんだ・・?

ど、どういう事なんだ?


これは夢か・・? 蜃気楼か・・?


あいつらいつ仲良しになってんだよ!

《涼子》は《アゾ》のせいで家を出たんだろうが・・

あいつら・・ 物置で大喧嘩もしてただろうが・・


俺は塀を手前に降りて、道に出て、こんどは道からお化け屋敷の庭を覗いた


そこでは

《涼子》と《アゾ》が柿の木に登って遊んでいた

楽しそうに遊んでいた

それは有り得ない光景だった


俺は・・ 最初に《ジョン ブリアン》にこの様子を見せたかった

そうしたら《ジョン ブリアン》は

「スプークだあ~!」 と喜んだに違いない


2匹はしばらくそこで遊んだ後

一緒に近くのおばあちゃんちに向った


そこは《アゾ》がいつも昼寝をしている場所で

たぶん、お化け屋敷の《涼子》のテリトリーで遊ばせて貰ったお礼に、自分のまったり場所に《涼子》を案内していると思われ・・


《アゾ》は・・


「《り、りょこちゃん》、こっこから 上りますんです」


「つ、つぎは こっこにとびのって き、気をつけて ください どーでしょー」


とか言いながら、《涼子》を一段下の屋根の日陰に導いていた


アゾ 「《り、りょこちゃん》、こっこ どーでしょー」


涼子 「眺めがいいじゃない! それに涼しいね」


アゾ 「ひ、ひるねは こっこで するんです いーでしょー」


涼子 「昼寝の後は、まいこちゃんちのお庭で遊ぼうか」


アゾ 「そ、そでは どっこですか?」


涼子 「この隣だよ、お庭が大きくてすごく楽しいんだ」


アゾ 「こ、こっわく ないかな・・」


涼子 「大きな猫がいるんだけど、すごく年を取っててまったく動けないから大丈夫なんだ」


アゾ 「そ、そうなんだ・・ だれも おっこりませんかね?」


涼子 「まいこちゃんがまじょの家の猫ならいつだって遊びに来てね、って言ったんだよ」


アゾ 「たっ、たっ、たっのしそうだが!」


涼子 「でもそれ以上遠くに行っちゃダメだよ、家が見えなくなるともう遠いんだからね」


アゾ 「わ、わっかりました」


ここで俺は家に戻って、この事を魔女に報告した

魔女は最初俺の言った事を信じなかった

子供たち以外の軍団もなかなか信じなかった


ユリぼうず 「《涼子》、ついにボケた?


ジンジン 「まだそんな年じゃないよ」


俺 「だって宿敵だぜ! あいつ、《アゾ》のせいで何年外暮らししてると思うんだよ!


魔女 「《アゾ》のせいじゃないよ、《涼子》だって我儘なんだから」


ジョン ブリアン 「《涼子》がしばらく見てないうちに《アゾ》が大きくなって、あれが大嫌いな《アゾ》だって事がわかんないんじゃない?」


俺 「それ、有り得る!」


魔女 「良かったじゃん、《涼子》に遊び相手ができて」


俺 「じゃあ俺はもう《涼子》と一緒に寝てやんなくてもいいのか?」


魔女 「もういいよ、長い間ご苦労様でした ありがとね」


俺 「やったじゃん!」


魔女 「女の子は用心深いから絶対遠くには行かないし」


ジョン ブリアン 「《涼子》、きっと淋しかったんだと思う」


魔女 「《ベス》は家から出して貰えないしね」


水玉 「俺、見たんだ・・」


ジョン ブリアン 「何を?」


俺 「《涼子》がさ、トミニャガさんちの庭でガラス越しに家の中を覗いているのを・・」


魔女 「あんな用心深い猫があそこまで行ってたんだ・・」


ジンジン 「《ベス》と遊びたかったんだね・・」


ジョン ブリアン 「ひとりぼっちはつまらないものね・・」


ユリぼうず 「それにしても自分をひとりぼっちにしたやつとふたりぼっちになるとはねぇ」


魔女 「いいじゃないか、毎日が楽しきゃ」


ジンジン 「そうだよね」


魔女 「《水玉》、毎日様子を見てておくれね」


俺 「また俺かよ!」



まじょねこ日記-Azo 09620
PM6;00(夕食時間)ぴったり

ご飯を食べるためにだけ帰って来た《アゾ》

     
           まじょねこ日記-Ryouko 09620
先に夕食を終わらせ、廊下で《アゾ》の食事終了を待つ《涼子》


どういういきさつからこんな事になったんだろう・・

俺はそこが知りたい