水玉
![まじょねこ日記-Mizutama 09217](https://stat.ameba.jp/user_images/fd/2f/10143595963_s.jpg?caw=800)
俺が耳を折り曲げ、鼻をヒクヒクさせて倒れた木の後ろから覗いていると
魔女が玄関から飛び出して来た
俺は思わず魔女に駆け寄った
魔女はそんな俺をかわしてジャスミャンの木に駆け寄った
そして《バブー》の名を呼びながらジャスミャンの茂みをかき分けた
テャリャスは家の半分くらいを取り囲んでいて
ジャスミャンの茂みは家の正面側のテャリャスの下にある
そこで魔女は動かない《バブー》を見つけた
魔女が 「《バブー》!」 と叫んだものだから
つぶっていた目を大きく開いて、《バブー》がのけぞった
何が起こったのかまったく理解が出来ていない《バブー》は
我に返ったとたん走り出した
魔女が追うんだけど、本気で逃げ回っている
《バブー》が道に降りる階段の方に走った
庭の外に出たらマズいぞ
魔女が俺の方を振り返った
俺はとっさに魔女の考えを察し、すごい勢いで走って階段の降り口に立ちはだかった
《バブー》は方向を変え、家の裏側に逃げた
魔女 「これじゃ捕まりそうもない、《水玉》、後は任せた!」
俺 「俺かよ!」
魔女 「先生だろ!」
俺 「そうか・・ わかった!!」
俺はすぐに《バブー》を追って家の裏へと走った
《バブー》発見!
低い木の下に隠れるように佇んでいた《バブー》は
俺の姿を見ると、また走り出した
俺は急加速した・・
ふふん・・余裕だ・・
俺は目の前に迫った《バブー》にそのまま飛び掛かった
俺 「魔女~! 確保っ!!」
魔女 「了解、今そっちに行くからそのままで!」
俺は《バブー》が動けないように、首まで噛んどいた
《バブー》は俺の腹の下で、ただじっとしていた
これでよし!
・・ ・・ ・・?
なんだ・・?
なんだ・・
これは・・ じ、地震じゃないか?
何回か経験がある
この小さなカタカタの後、大きなガッタンが来るんだ
俺 「ま、魔女おー!」
魔女 「おお!《水玉》、でかした!」
俺 「魔女、地震だ! 地震がやって来る!」
魔女 「なに! 地震が来るのかっ」
俺 「ガタガタと揺れてる!」
魔女 「そうか!揺れてるのか!」
俺 「ずい分揺れてるよ!」
魔女 「感じない・・」
俺 「わからないのかよっ!この揺れがぁ~」
魔女 「魔女、そういうの鈍い体質だから・・」
俺 「さっさと《バブー》を抱けよっ、早く避難しようぜ!」
魔女 「わかった! さあ《バブー》も避難だ」
そうして俺らは大急ぎで家に入った
部屋のドアを開けて魔女が《バブー》を床におろすと、
今にも泣き出しそうな顔で《ボンネット》が駆け寄って来た
次に《ジンジン》が駆け寄り、《バブー》の様子を確認した
魔女は俺ら全員をコタツの中に入れ、そこから出ないように言った
俺らはコタツの中でひしめき合い
《バブー》を取り囲んでみんなして臭いを嗅ぎまくった
ジンジン 「地震だ・・」
俺 「だろ、地震って嫌なものだよな」
ユリぼうず 「非日常的なものって僕、嫌いなのね」
ジョン ブリアン 「こんなの誰だって嫌だよ」
俺 「これからでっかいガッタンが来るぞ・・」
アゾ 「こ、このちっちゃい ガタガタが もうずっと、ずう~っとつづいておるが・・ そ、そうとう長くないか? そでは どーでしょう」
ジョン ブリアン 「ちょっと待って・・」
ジンジン 「どうしたの?」
ジョン ブリアン 「僕の利き手側だけ地震・・?」
俺 「何言ってんだよ、地震はどこにいても地震だろ!」
アゾ 「ま、まちなっしゃい・・ 《あ、あじょ》のおしりだけ じしんが 来とるよ・・ おしりだけ ゆれとるが 知っとった?」
俺 「知らねえよ! お尻だけ地震って、いったい何だよっ」
ジンジン 「そういえば、僕もお腹ら辺だけが揺れてるような・・」
俺 「・・あれ 俺、揺れてない・・ 地震止まったな」
ボンネット 「ぼく、ゆれてるよ! いぃぃ~っぱいゆれてる!!」
ジンジン 「いったい、どういう事なんだよ」
ジョン ブリアン 「これがよくテレビが言う 『きょくちてき』 っていうのじゃない?」
俺 「おお、これがそうなのか!」
ユリぼうず 「で、震源地はですね・・」
アゾ 「・・な、なんですかね しんげんもち、って?」
おれ 「しんげんもち、っていえば食べ物だろうがっ」
アゾ 「ひぃえ~!!」
ジンジン 「《ユリぼうず》、震源地がわかるの!?」
ユリぼうず 「うん、震源地は《バブー》なのね」
俺 「はい・・?」
アゾ 「《ば、ばぶー》は、しっ、しんげんもち だったのか! 《ぼんにゃっと》! 知っとった?!」
ボンネット 「・・しらなかった」
アゾ 「じ、じっつは 《ばぶー》は 食べ物 だったんです!」
ボンネット 「ひぇ~!!」
俺 「そこの2人! ややこしい会話すんな!」
ジンジン 「ほんとだ・・ 《バブー》がガタガタ震えてる・・」
ジョン ブリアン 「すごい震え方だよ!」
俺 「冗談じゃないぞ・・ 何て猫騒がせな猫なんだ・・」
ジンジン 「早とちりして騒ぎ出したの・・ 自分じゃないか」
俺 「・・と、とにかく、ここから出ようぜ」
俺らは体をほっかほかにさせてコタツから這い出た
コタツの中にはガタガタ震える《バブー》と
そんな《バブー》を必死で抱える《ボンネット》だけが残った
ジンジン 「《ボンネット》は本当に妹思いだね・・」
アゾ 「ど、どーせ じぶんひとりで 《バブー》を たっ、食べる気じゃろ」
俺 「《アゾ》・・ おまえ、ほんとにしっかりしろよな」
アゾ 「お、おまえもな・・」
この会話を発端に・・
俺が《アゾ》を追い掛け回し、部屋の中は大騒ぎになった
その様子に反応した《バブー》がコタツから出て来て一緒に走り始めた
それに《ボンネット》が加わり
結局最後には全員で走り回って・・
くたくたになって、やっと一日が終わった