震源地 | まじょねこ日記

まじょねこ日記

魔女の大切な仲間の猫たちの日常をみてください

水玉


まじょねこ日記-Mizutama 09217

俺が耳を折り曲げ、鼻をヒクヒクさせて倒れた木の後ろから覗いていると

魔女が玄関から飛び出して来た


俺は思わず魔女に駆け寄った

魔女はそんな俺をかわしてジャスミャンの木に駆け寄った


そして《バブー》の名を呼びながらジャスミャンの茂みをかき分けた

テャリャスは家の半分くらいを取り囲んでいて

ジャスミャンの茂みは家の正面側のテャリャスの下にある


そこで魔女は動かない《バブー》を見つけた

魔女が 「《バブー》!」 と叫んだものだから

つぶっていた目を大きく開いて、《バブー》がのけぞった


何が起こったのかまったく理解が出来ていない《バブー》は

我に返ったとたん走り出した

魔女が追うんだけど、本気で逃げ回っている


《バブー》が道に降りる階段の方に走った

庭の外に出たらマズいぞ

魔女が俺の方を振り返った

俺はとっさに魔女の考えを察し、すごい勢いで走って階段の降り口に立ちはだかった


《バブー》は方向を変え、家の裏側に逃げた


魔女 「これじゃ捕まりそうもない、《水玉》、後は任せた!」


俺 「俺かよ!」


魔女 「先生だろ!」


俺 「そうか・・ わかった!!」


俺はすぐに《バブー》を追って家の裏へと走った

《バブー》発見!


低い木の下に隠れるように佇んでいた《バブー》は

俺の姿を見ると、また走り出した

俺は急加速した・・ 

ふふん・・余裕だ・・


俺は目の前に迫った《バブー》にそのまま飛び掛かった


俺 「魔女~! 確保っ!!」


魔女 「了解、今そっちに行くからそのままで!」


俺は《バブー》が動けないように、首まで噛んどいた

《バブー》は俺の腹の下で、ただじっとしていた

これでよし!


・・ ・・ ・・?

なんだ・・?

なんだ・・

これは・・ じ、地震じゃないか?


何回か経験がある

この小さなカタカタの後、大きなガッタンが来るんだ


俺 「ま、魔女おー!」


魔女 「おお!《水玉》、でかした!」


俺 「魔女、地震だ! 地震がやって来る!」


魔女 「なに! 地震が来るのかっ」


俺 「ガタガタと揺れてる!」


魔女 「そうか!揺れてるのか!」


俺 「ずい分揺れてるよ!」


魔女 「感じない・・」


俺 「わからないのかよっ!この揺れがぁ~」


魔女 「魔女、そういうの鈍い体質だから・・」


俺 「さっさと《バブー》を抱けよっ、早く避難しようぜ!」


魔女 「わかった! さあ《バブー》も避難だ」


そうして俺らは大急ぎで家に入った

部屋のドアを開けて魔女が《バブー》を床におろすと、

今にも泣き出しそうな顔で《ボンネット》が駆け寄って来た

次に《ジンジン》が駆け寄り、《バブー》の様子を確認した


魔女は俺ら全員をコタツの中に入れ、そこから出ないように言った

俺らはコタツの中でひしめき合い

《バブー》を取り囲んでみんなして臭いを嗅ぎまくった


ジンジン 「地震だ・・」


俺 「だろ、地震って嫌なものだよな」


ユリぼうず 「非日常的なものって僕、嫌いなのね」


ジョン ブリアン 「こんなの誰だって嫌だよ」


俺 「これからでっかいガッタンが来るぞ・・」


アゾ 「こ、このちっちゃい ガタガタが もうずっと、ずう~っとつづいておるが・・ そ、そうとう長くないか? そでは どーでしょう」


ジョン ブリアン 「ちょっと待って・・」


ジンジン 「どうしたの?」


ジョン ブリアン 「僕の利き手側だけ地震・・?」


俺 「何言ってんだよ、地震はどこにいても地震だろ!」


アゾ 「ま、まちなっしゃい・・ 《あ、あじょ》のおしりだけ じしんが 来とるよ・・ おしりだけ ゆれとるが 知っとった?」


俺 「知らねえよ! お尻だけ地震って、いったい何だよっ」


ジンジン 「そういえば、僕もお腹ら辺だけが揺れてるような・・」


俺 「・・あれ 俺、揺れてない・・ 地震止まったな」


ボンネット 「ぼく、ゆれてるよ! いぃぃ~っぱいゆれてる!!」


ジンジン 「いったい、どういう事なんだよ」


ジョン ブリアン 「これがよくテレビが言う 『きょくちてき』 っていうのじゃない?」


俺 「おお、これがそうなのか!」


ユリぼうず 「で、震源地はですね・・」


アゾ 「・・な、なんですかね しんげんもち、って?」


おれ 「しんげんもち、っていえば食べ物だろうがっ」


アゾ 「ひぃえ~!!」


ジンジン 「《ユリぼうず》、震源地がわかるの!?」


ユリぼうず 「うん、震源地は《バブー》なのね」


俺 「はい・・?」


アゾ 「《ば、ばぶー》は、しっ、しんげんもち だったのか! 《ぼんにゃっと》! 知っとった?!」


ボンネット 「・・しらなかった」


アゾ 「じ、じっつは 《ばぶー》は 食べ物 だったんです!」


ボンネット 「ひぇ~!!」


俺 「そこの2人! ややこしい会話すんな!」


ジンジン 「ほんとだ・・ 《バブー》がガタガタ震えてる・・」


ジョン ブリアン 「すごい震え方だよ!」


俺 「冗談じゃないぞ・・ 何て猫騒がせな猫なんだ・・」


ジンジン 「早とちりして騒ぎ出したの・・ 自分じゃないか」


俺 「・・と、とにかく、ここから出ようぜ」


俺らは体をほっかほかにさせてコタツから這い出た

コタツの中にはガタガタ震える《バブー》と

そんな《バブー》を必死で抱える《ボンネット》だけが残った


ジンジン 「《ボンネット》は本当に妹思いだね・・」


アゾ 「ど、どーせ じぶんひとりで 《バブー》を たっ、食べる気じゃろ」


俺 「《アゾ》・・ おまえ、ほんとにしっかりしろよな」 


アゾ 「お、おまえもな・・」


この会話を発端に・・

俺が《アゾ》を追い掛け回し、部屋の中は大騒ぎになった


その様子に反応した《バブー》がコタツから出て来て一緒に走り始めた

それに《ボンネット》が加わり

結局最後には全員で走り回って・・

くたくたになって、やっと一日が終わった