落下さん | まじょねこ日記

まじょねこ日記

魔女の大切な仲間の猫たちの日常をみてください

水玉


まじょねこ日記-Mizutama

夜のおやつが終わると

俺は外に出る

それは夜回り先生と《涼子》の番をする、という仕事が待っているからだ


魔女 「ちょっと待って、誰がいつから 『夜回り先生』 なんて言い出したんだっけ・・?」


ジンジン 「子供達から 『水玉先生』 って呼ばれてるじゃん、それで増長して自分の事を 『夜回り先生』 だなんて言ってるんだよ」


魔女 「そうか・・ 《水玉》は何やっても先生なんだ・・」


俺 「そこの2人!なにこそこそ話してるんだよ、魔女っ、早く日記を書けよっ!」


魔女 「あ、はい・・先生・・」


えっと・・ それで・・

ほら、わかんなくなっちゃったじゃないか!


ああ、そうだ

俺はその時、夜回り先生を終えて下の道から家に戻って来たところで (水玉先生、名詞が動詞になってますが・・)

庭に他猫のおしっこの匂いはないかと、最後の点検をしていたんだ


ちょうどその時だった


きいぃぃぃぃぃぃぃ~~!!


ひどく嫌な音が聞こえたと思ったら・・

頭の上の方に何かが落ちて来た

突然の事に驚いた俺は、そりゃあ高く飛び上がったさ


落ちて来たものは、ジャスミャンの木の上で一回止まり

それからその木の間をダラダラとひっかかりながら

地面・・つまり俺のまん前に落ちて来たんだ


俺はのけぞった


何でか知らないが、庭の真ん中には大きな木がひとつ倒れており

それは、ずう~っと前からそこに横たわっており・・

それは長いあいだそうやっていたため

庭の草やつるたちと一体化してしまい

庭の真ん中を巨大なモグラが這った後みたいに

そこだけが不自然にこんもり満ちあがっていて

とにかく俺は、思わずその後ろに飛び込んで隠れた


落ちて来たものは・・

落ちた場所でまったく動かなかった

重たい洗濯物か・・?


俺は耳を頭にくっつけるように折り曲げて

顔は空を見るような感じにして

思いっきり下目使いで

つまり、そこからなるべく顔が見えないように工夫して

そこに落ちたものを確めようとしていた


まったく動かないぞ

だけど油断しないで見ていたら

どこかで見たことがあるような気がしてきた・・


あの・・縞々な長いもの・・ あれは尻尾じゃないか?



ジンジン


まじょねこ日記-Jinjin

その時、僕らは部屋でごろごろしていた

《バブー》がみんなの顔をのぞきこんで

「アショボウ! アショボ!!」 と片っ端から声を掛けていた

だけど僕らはだらだらしていたくて、誰も《バブー》と遊んでやろうとしなかった

《バブー》が一番遊びたい相手、お兄ちゃんの《ボンネット》なんてコタツに潜りこんでいて出て来やしない


つまらないてたまらない《バブー》は、魔女にねだった


バブー 「テャリャス ニ イク!」


魔女 「こんな夜遅くにテラスに出たって寒いだけだよ」


バブー 「テャリャス ニ イクタイ !! イク イク!!」


《バブー》は事のほかしつこくて・・

魔女は「ああ、もう、好きにしなさい!」

と言ってテャリャスのドアを開け

《バブー》は元気に飛び出て行った


そのまま魔女は《バブー》の事を忘れてしまった

だいたい魔女は、自分の視界から消えたものは全部忘れてしまうきらいがあり、それどころかそこにあっても興味のないものは全部見えていないんだ


突然テャリャスから何かをひっかくような感じの悪い音がした


ちよちゃん 「魔女、いい加減に《バブー》を入れてあげなきゃだめだよ」


魔女 「わあ! 忘れてた」


魔女が慌ててテャリャスを探した時には・・

もう《バブー》の姿はどこにもなかった

屋根に逃走するための金網には板を貼り付けたから

金網づたいに屋根に登れるはずがない


さっきのあの音・・

魔女は《バブー》の名を呼びながら外に飛び出して行った


その様子に《ボンネット》がコタツから飛び出し

目の色を変えてオロオロし始めた

僕らも心配になってきて、落ち着かなく部屋をうろうろした

外では魔女が必死に《バブー》の名を呼んでいる


つづく