ジョン ブリアン
昨日僕が猫トイレの裏に隠したお薬袋を見つけるのに
魔女ケッコーな時間を使った
それで今度は魔女が、僕のお薬袋を隠した
僕が見つけられないところに隠した
今日はとても良いお天気で
ここのところお日様がいなくて、家でグダグダばかりしていた俺らは、戸を明けてもらって久し振りに大はしゃぎで家を飛び出した
僕らは家の周りを走り回ったり、庭で日向ぼっこをしたり
ご近所にちょっとだけ足を延ばしたりするんだ
庭にはお日様がいっぱい来ていて
トゲトゲの葉っぱの木にはたくさんの花が咲き
アロエの花 (半月前の写真)
《ボンネット》の大好きな『スウイセン』(水仙)の花もいっぱい咲いている
僕の鼻にどこからかいい匂いがやってきた
僕は鼻を空に向けてヒクヒクさせた
お庭の『スウイセン』とは違う匂いだ
その匂いにつられて僕は庭から出た
匂いの方に歩いて行くと、そこはお化け屋敷だった
大きな木に小さなお花が咲いてるぞ
こっちの木には・・ ちょっと大きなお花がいっぱい
僕 「魔女~ 魔女ぉ~!!」
魔女 「どうしたの? そんなに走っちゃダメだよ」
僕 「お化け屋敷にお花がいっぱい咲いてるよ! いい匂いだよ!」
魔女 「そうなの! じゃあみんなでご飯を持ってピクニックしようか!」
水玉 「どこで?」
魔女 「お化け屋敷の庭に決まってるじゃん」
ジンジン 「げっ! あんな凄い所でご飯食べるの?」
水玉 「有り得なくねぇ?」
それで魔女は自分にはおにぎりを作り、それと僕らの缶詰とお茶碗をバスケットに入れて、みんなでお化け屋敷にピクニックに行った
玄関を出る時上を見たら、2階の窓から《ボンネット》と《バブー》が体を乗り出して僕らを見ていた
一緒に行けると楽しいのに・・
でもまだダメだって どこかに行っちゃうって・・
お化け屋敷の庭は薄暗い
その上物置はぶっ倒れていて、蜘蛛の巣もいっぱい
長くて太い紐のようなものも垂れ下がっている (蔦)
地面には枯れ葉が散乱していて、歩くとバリバリいうんだ
こんな所でピクニック・・
僕が見つけた花は『ウメ』と、もうひとつ、『ツバキ』っていうんだって
魔女は、ツバキの木の横で、梅ノ木の下
そしてなるべくお日様が来る所に大きな敷物を敷いて、僕らのお茶碗を並べた
僕らは敷物に乗っかってワクワクしながらご飯を待った
「あ、そうだ!」 と言って、魔女がキャメラを取りに戻った
その間、僕らは空のお茶碗を眺めて過ごした・・ なんだよ・・
魔女がカメラを持ってやっと戻って来た
今度こそご飯だ!
みんなのお茶碗にご飯をついでもらって
今日は《涼子》も一緒のご飯です
魔女 「さあ、召し上がれ! 写真撮るね」
僕ら 「わ~い! むしゃむしゃ! ぺちゃぺちゃ!」
魔女 「・・充電がない」
僕ら 「むしゃむしゃ! ぺちゃぺちゃ!!」
魔女 「やめーえ!」
ジンジン 「なに?」
魔女 「ご飯食べるの止めっ!」
僕 「なんで?」
魔女 「カメラの充電がないから」
水玉 「なんだよジューデンって」
魔女 「とにかく充電してくるから、このまま食べるのやめて待っててよ、」
僕 「どのくらい?」
魔女 「ずい分かかる・・」
水玉 「・・食おうぜ」
僕ら 「むしゃむしゃ! ぺちゃぺちゃ!!」
魔女 「ですよね・・」
ご飯を食べてから僕らは、追い掛けごっこをしてお化け屋敷の庭を走ったり、木に登ったりして大いに遊んだ
途中で僕は、敷物に寝そべって空だか花だか分からない所を見ている魔女のそばに行った
僕 「魔女、お花を見物してありがとう」
魔女 「あれ~ぇ ・・お花がしゃべってるのかなぁ?」
僕 「うん、そうだよ!」
魔女 「お花・・きれいだね」
僕 「ここに咲いてても誰にも見てもらえないけど・・ お花はそれでも咲くんだよね」
魔女 「そうだよ、黙ぁってひとりで頑張って咲くんだ」
いつか・・
ここの木はみんな切られちゃうから
それまで、いっぱいお花や草を見るって
うちのお庭が広かったら、みんなお引越しができるのにね・・
僕はこれからもここにやって来て
お花が咲いたり、実がなったりしていたら
魔女に教えるんだ!
お化け屋敷でたくさん遊んで家に戻った
《ボンネット》には大好きな『スイセン』の花束を
《バブー》にはお化け屋敷で見つけたいっぱいの木の実をおみやげを持って
お部屋に戻り、僕らがまったりしていると
魔女が部屋から出て、大きな紙を持って戻って来た
そしてコタツの上の物の全部を床に落っことして
そこにでっかい紙を広げ・・ 何かを考え始めた
水玉 「おい・・ 魔女が考えてるぞ」
ジンジン 「魔女がこの前考え事をしていたは一体いつだったっけ?」
水玉 「・・遠い昔の事のような気がするな」
アゾ 「ま、まじょって、かんがえるんですか! そ、そんなことが でっきったのか! 《ジョン ブリャン、》知っとった? 《アジョ》は知らんかったぞ」
僕 「単に目を開けたまま眠ってるんだけなんじゃないの・・」
突然魔女が凄い速さで紙に何かを描き始めた
そっと覗き込んで見てみても・・
何を描いているのか・・ さっぱりわからない
そこにはにょきにょきしたへんてこりんな線があるだけ・・
訳の分からない線を描いた紙を丸めて
魔女はそれをゴミ箱に捨て、部屋を出て行った
アトリエからカンカンと木を叩く音が聞こえ始めた
あれは・・ 久し振りに聞く
キャンビャスっていうのを作る(張る)時の音だ
ユリぼうず 「始まったぞ・・」
水玉 「そのようだな」
ジンジン 「ようやくだよ・・」
僕 「《ボンネット》、《バブー》、しばらくは魔女と遊べないから、僕たちだけで遊ぼうね」
ボンネット 「どうして・・?」
僕 「魔女がやっとお仕事を始めたからね」