ユリぼうず
しばらくして、先生が第一診察室に入って来て何か言った
それから
魔女の 「よかったあ~・・」 という声が聞こえた
そしてすぐに魔女と《ジンジン》が診察室から出て来た
僕 「どうだって!」
魔女 「《今日ちゃん》や《インジゴ》と同じ病気じゃなかった!」
僕 「じゃあ何だったの?」
魔女 「それが・・ はっきりしないの、 熱もないし、お腹の具合もこれといって悪くないって・・」
僕 「・・」
そういう事で僕らは帰って来た
でも《ジンジン》は今朝も吐いたし
まだご飯も食べてくれない
ただじっと眠ってるみたいに丸くなっているだけだ
魔女がミルクを温めて飲ませようとしても飲まない
高級カリカリも食べない
高級おやつも食べない
高級缶詰も食べない
魔女は高級缶詰を2つも開けちゃったから
そして心配のあまり・・
嫌がる《ジンジン》の口に突っ込んでむりやり食べさせた
それで《ジンジン》に吐き気をもよおさせた
テーブルの上には色々な種類の猫用食べ物が散乱している
それを《バブー》が狙っている
《バブー》は魔女によって散々突き落とされて以来テーブルには絶対に乗らない
だから、テーブルの縁の所に立ち上がって
手を伸ばして高級なブツを取ろうとしている
そして一応人生(猫生)経験のある僕らは
《ジンジン》が心配で食欲がわかない
目の前に高級缶詰が散乱してるっていうのに・・
誰かが辛そうにしていると
他のみんなも元気がなくなる
魔女が無口になってしまい、家の中はシンとしている
誰も遊んでくれないから・・
淋しがって鳴く《バブー》のみゅ~みゅ~という声だけがお部屋に響いている
この前まであんなに元気だったのに・・
魔女
暮れの小規模なお掃除を家族で手分けしてやった
たまたまテラス掃除係りのなった家族②に
走防護網をその筋肉質な四肢を駆使して網の横から向こう側に回り込み、そこから燐家の庭に飛び移って脱走を果たす困り者の《ジンジン》の話になり
その横に板を大幅に出っ張らせて向こう側に行けないようにしようという事になった
それで家族②が工夫をし、時間をかけて板を取り付けた
「どうだ、これでもう脱走できないだろう!」
と家族②が胸を張った瞬間・・
《ジンジン》が、グアッシッっと金網に飛びつき
そこから斜め左に向ってスルスルと登って行き
てっぺんまで行くと、屋根の下の雨どいに移り
そこから金網の反対側の手摺に飛び降りて
あっという間に隣家の庭に飛び移ってこちらを振り向いた
家族②は呆気にとられていた
家族② 「こんなに時間をかけて作ったのに、秒単位で終わってしまった・・」
魔女 「むむ・・」
家族② 「マイケル スコフィールドどころじゃないよ・・」
魔女 「ネズミ返しが必要・・なのか・・」
《ジンジン》
脱走しても、もう怒らないから
いや、好きなだけ脱走していいから
どうか元気になってください
楽しい日記が言えなくてごめんなさい (ユリぼうず)
楽しい日記が書けなくてごめんなさい (魔女)