トミニャガさんとお買い物 Ⅶ | まじょねこ日記

まじょねこ日記

魔女の大切な仲間の猫たちの日常をみてください

ユリぼうず


まじょねこ日記-yuri071015

僕 「・・」


魔女 「どうしたの? 日記の続きを言わなきゃ」


僕 「忘れた・・」


魔女 「・・」


僕 「忘れちゃった」


魔女 「魔女も・・」


僕 「何だっけ? どうしたんだっけ?」


魔女 「・・帰るんだよ、買い物終わって・・ 大量の荷物を積み込んで・・ それで」


僕 「トミニャガさんが消えたんだ!」


魔女 「何で消えたんだっけ?」    


僕 「・・だんだんと消えてった」


魔女 「ああ!魔女が荷物を被せたからだ」


僕 「それで消えたまま出発して・・」


魔女 「帰ったんだよ」


僕 「そう簡単にはいかなかったんじゃなかった?」


魔女 「・・」


僕 「思い出した!!」


お店を出発して間もなく


僕 「魔女・・ 何か聞こえない?」


魔女 「そお?」


僕 「聞こえるよ、荷物の中から・・ ほら」


「ううう・・ うぅぅぅぅぅ・・」


魔女 「気にしちゃあいけないよ」


僕 「うん」


「うううううう・・ う・・う・・ぅぅ・・」


僕 「・・気になる」


魔女 「いいから・・」


「ううううう・・うっ・・うっ・・うっ!」


僕 「トミニャガさん・・ ニャバーランドに行く?」


魔女 「そう易々とは行かないだろう」


「うううううう・・ うううっ! うううううっ!!」


僕 「怖いよ・・」


魔女 「色んなな物を体にいっぱいくっつけて擬態した、ひどく大きなヤドカリが隣にいると思えば何でもない」


僕 「・・」


魔女 「どうした? 《ユリぼうず》目がイッちゃってってるぞ」


僕 「そう思ったら・・ よけい怖くなったの」


擬態したヤドカリ(《ユリぼうず》、そういう言い方は止めなさいよ・・) 「うう・・う・・く、苦しい・・」


魔女 「・・」


擬態したヤドカリ(やめなさいって!) 「く・る・し・いっ!」


魔女 「・・」


トミニャガさん 「・・ま・・まひょさん、ふぉこに・・いらっふゃる・・?」


魔女 「私がいなきゃ車は走ってないでしょう・・」


トミニャガさん 「ぐどぅしい・・ ぐふぇっ!」


魔女 「かっ飛ばして帰ってますから」


トミニャガさん 「あふぇて! てんふょうふぉ あふぇて!!」


魔女 「敢えて、天平を 敢えて、って何ですか・・」


トミニャガさん 「てんふょう! あふぇて!!」


僕 「天井を開けて・・って言ってるんじゃない?」


魔女 「なに! 今車をオープンにしたらみんな吹っ飛んで行っちゃいますよ」


トミニャガさん 「うううう~~! うお~!!」


僕 「魔女! ヤドカリが暴れだしそうだよぉ!」


魔女 「・・」


僕 「魔女、何考えてるんだよ」


魔女 「デジカメ・・持って来れば良かった・・って」


僕 「擬態したヤドカリを撮るんだね!」


魔女 「ご明察!」


「うおおおお~~!!」


僕・魔女 「わあああぁぁぁぁぁ~!!」


ぼ、僕の体に色んなものが飛んで来てぶつかった

気がつくと僕は・・  荷物に潰されかけていた

そして、何が何だかわかんなくなった・・


魔女が荷物をかき分けて僕を救い出した

いつの間にか車は道路の端に停まっていた


僕を抱きしめた魔女のまわりには、たくさんの品物が散乱して

恐る恐る横を見ると・・

品物にまみれたヤドカリの顔が見えた(コラッ!)


トミニャガさんは、いつもと全然違った色の顔になっていた

僕は、たぶんそれはヤドカリ風なんだ、と思った

そして・・ トミニャガさんはどこか彼方を見詰めていた


僕 「魔女・・ トミニャガさん、本当にヤドカリになっちゃったね・・」


魔女 「・・」


しばらくして・・

ヤドカリが口を開いた


トミニャガさん 「喉が渇いた・・」


魔女 「今・・ドアなんて開けられませんよ」


トミニャガさん 「喉が渇いた・・」


魔女 「無理です」


トミニャガさん 「喉が・・」


魔女 「とにかく、こちらに雪崩れてきた品物、そちらにお返しします」


トミニャガさん 「イヤだ!」


魔女 「イヤじゃない!」


トミニャガさん 「ヤダヤダ!! もうヤダ!!」


魔女 「じゃあ・・ ここに捨ててく?」


トミニャガさん 「ヤダ!ヤダア~!!あせる


魔女 「どうするんですか!」


その時、魔女が何かを見つけた


魔女 「この荷物、送りましょう・・」


トミニャガさん 「送る・・って?」


魔女 「あそこにクロネコヤマトの旗が見える」


トミニャガさん 「ええ確かに・・ で?」


魔女 「で? って・・ 宅急便でこの荷物を送るんですよ」


トミニャガさん 「ヤダ! 返したくない!!」


魔女 「何言ってるんだ、このヤドカリは・・」


僕 「魔女っ! いけないよ、そんな言い方!」


魔女 「ごめん・・ だから、トミニャガさんちに送るの!」


トミニャガさん 「そうか・・ ああ、そうか! 」


魔女 「ね!」


トミニャガさん 「・・ でも、お金がかかるんでしょ」


魔女 「意外とケチだな・・」


イヤならもう一度荷物で埋めるぞ!

と魔女に脅され、トミニャガさんが渋々納得した


一回崩れた荷物はそう簡単には元に戻せず、

どんなに頑張ってトミニャガさんの方に乗せてもガラガラと崩れ落ちて・・


仕方がないから、向こうにあるお店まで持てるだけ持って運ぶ事になった

トミニャガさんの方のドアは・・ 開けたらお終いだから

魔女が何回かに分けて運んだ

僕はその様子をただ窓から見ているしかなく・・

この時僕は・・ 

『猫に小判』 の意味を知った (ぜんぜん違うから・・)


だいぶ品物が少なくなってきてから、お店のところまで車を動かした

お店で魔女は箱を貰ったかなにかして、品物をそこに詰めた


それでも車にはまだまだ残っている


魔女 「とみにゃがさん、どうします? そこで抱えているのも全部送ります?」


トミニャガさん 「イヤ!そんなに何箱にもなったらお金がもったいない! それに抱えているのは大事なものなのっ!」


魔女 「じゃあ、自宅の住所と電話番号を言ってください、私が書きますから」


それで、だいぶ楽になって

ヤドカリも顔を出せて

そのお店で飲み物も買って

トミニャガさんもご機嫌が直って

やっと車は走り出した


魔女 「その・・ 大事そうに抱えている物・・ 何です?」


トミニャガさん 「湯たんぽ ラブラブ 」


魔女 「・・」


こうして長いお買い物がやっと終了した

トミニャガさんを送った帰り道・・


僕 「魔女、ゆたんぽ、ってなに?」


魔女 「暖房の一種だよ」


僕 「だって、トミニャガさんちってセッテー温度ソートー高いんでしょ、だのにまだ暖房がいるの!」


魔女 「そう、うちより10度も高いんだよね、てか・・うち、まだ暖房入れてないし」


僕 「うん、ストーブだって飾りみたいなもので全く使ってないしね」


魔女 「ピンクだったから・・」


僕 「なに?」


魔女 「湯たんぽ・・ トミニャガさんの乙女心がくすぐられたんだね」



『トミニャガさんとお買い物』 終了!