ユリぼうず
![まじょねこ日記-Yuribouzu-2 081023](https://stat.ameba.jp/user_images/7c/a7/10103702993_s.jpg?caw=800)
僕がこの目で、そして魔女が鏡で見たものは
なにがなんだかわかんなかった・・
魔女 「な、なんだありゃ・・」
僕 「こわいよぉ・・」
トミニャガさん 「何ですの?」
魔女 「後ろに怪しいやつが・・」
トミニャガさん 「なに! なに! 見たい! 見えない!」
魔女 「動きが取れないんだったら、無理に振り向こうとしないで、ルームミラーで見たらいいじゃないですか」
トミニャガさん 「なるほど、その手がありましたわね!」
魔女 「トミニャガさん、何やってるんですか! そんなにひねりまくったら壊れちゃう!!」
トミニャガさん 「だって、どう動かしたら見えるのか良くわからない!」
魔女 「うわあ~! ゼロが取れちゃったじゃない!!」
注) 魔女の車のルームミラーは、フレームがディズニーのナイトメアになっていて、左側にはゼロがぶら下がっている
(だからといって別にディズニー好きと言うわけではない・・)
魔女 「トミニャガさん、もう触らないで!」
僕 「魔女、後ろでジタバタ動いてるよぉ~」
魔女 「あれは・・ マスクラット?」
僕 「む、むしろヌートリアじゃない?」
魔女 「それにしちゃ小さくないか・・」
僕 「ひょっとして・・ 《インジゴ》?」
魔女 「なに言ってんだ・・」
僕 「・・あの感じは羊じゃない!?」
魔女 「羊はもっともっとでっかいだろう!」
僕 「子供の羊とか・・?」
トミニャガさん 「《ユリぼうずちゃん》、さっきからいったい何を言ってらっしゃるの?」
魔女 「動物の名前を色々と・・」
トミニャガさん 「まあ、凄いじゃありませんの!」
魔女 「ええ、アニマルプラネットのおかげで・・」
トミニャガさん 「それで何が乗ってますの?」
魔女 「とにかくどこかに車を停めて確めましょう」
それから少し走ったら、えらく大きな家(工場っていうのよ) が現れ、道も広くなった
それで魔女は道の端っこに車を止め・・
僕たちは恐る恐る車から降りた
さっきの大型バイクのお兄さんがこっちを見ながら走り過ぎて行った
トミニャガさんはベルトが上手く取れないみたいで椅子でジタバタしていたので、放っておいた
怪しいヤツは車が走っている間は元気良く動いていたのに
車を停めると、とたんに元気を失くしてじっとした
僕を抱いた魔女は首を何回もかしげながら車の後ろにまわり、僕たちは首を伸ばすようにしてそれを見た
それは心なしかだらんとしていた
魔女 「なんだ・・これ」
僕 「・・ニャバーランドに行っちゃった?」
魔女 「行っちゃった・・ぽい・・」
僕 「魔女のせいで・・?」
魔女 「たたまれた車の屋根に挟まっちゃったから・・」
僕 「・・やっぱ魔女のせいなんだ」
魔女 「・・」
僕 「どうするんだよ・・」
魔女 「でも、いったいどうしてこんな所に羊が・・」
僕 「やっぱ羊なの・・?」
魔女 「まだ息があるかも知れないから出してあげなきゃ!」
それで魔女は屋根を引っ張って持ち上げた
それはだらりんとして車の屋根にぶらさがっていた
僕 「うわ・・ なんて ・・可哀想な姿・・ うっ」
魔女 「・・身がない」
僕 「え・・」
魔女 「身がない・・」
沈黙が走った
辺りはシンとしていて
たまに通り過ぎる車と、トミニャガサンの呻く音だけが聞こえていた
突然・・ 工場地帯に魔女の声が響いた
「なんじゃこりゃあ~~!!」
僕はびっくりして
思わず魔女の腕から飛び出しそうになった
魔女は、その・・羊だか 《インジゴ》だかわからないものをつかみ、大股でトミニャガさんのいるドアの横に向った
魔女 「何ですかこれ・・」
トミニャガさん 「え・・ なに・・?」
魔女 「よお~く 見てください!」
トミニャガさん 「よお~く・・見たら・・ あれ?」
魔女 「少なくとも私のじゃないし、この車に子供の羊やネバーランドの《インジゴ》を積んだ覚えもない」
トミニャガさん 「こ、これは私の羊・・」
僕 「やっぱ羊だったんだ!」
魔女 「ごまかさないで下さい! どうりで頭が寒い訳だ・・」
トミニャガさん 「し、失礼な・・ これは単なる帽子代わりですわ!」
魔女 「レディースマープってヤツですかね・・」
トミニャガさん 「なにを・・ イブクィーンですわよ! これは物凄く軽いんですのよ!」
魔女 「軽すぎるのも考え物ですね」
トミニャガさん 「何でっ!」
魔女 「取れちゃったのもわかんないじゃ・・」
ホームセンターが遠い・・
つづく