ネパール日記 ~ THAMEL ~ | まじょねこ日記

まじょねこ日記

魔女の大切な仲間の猫たちの日常をみてください

魔女


前回の日記に書いたように

日々をコツコツと生きる人々の狭間には

怪しげな人間たちもまた蠢いている


Thamel

本物かどうか分からない怪しげな物乞い

親にわざとボロを着せられてみなしごを演じる子供

旅行会社の怪しげな勧誘員


そしてドラッグ売り

彼らは馴染みの地元民(特に若者)の他に、それらしい観光客にもハッパ、ハッシシ、マリファナなどを売る

そんな彼らからドラッグを買い、高い値で観光客に売る事を商売にしている長期滞在の外国人までいる


真面目に働く者とこういった者

それらが混然と街の風景を創りあげている


夜になると

あちこちのクラブからは喧しいライブ演奏で通りは満たされ

路地裏には怪しげなネオンが煌めく


通りでは酔っ払った外国人たちが奇声を発し

地元のジャンキーたちが所々にうろつく


人通りが少なくなる深夜近くには

ドラッグクイーンが出現し

堂々と、そして艶やかに通りを歩き回る

何をするでもなく、ただ歩き回る


彼らはこの先に路地の奥まった所に住んでおり

昼間はそれなりに仕事を持っていたりする


そうやってと自己主張をする彼らは

こそこそと蠢くドラッグの売人とは違う

私は堂々と生きる人間は好きだ



どこに行くにも繁華街を通るのが一番便利なのだが

そこを通ると必ず出会う若い男がいる

私はこの若者が大嫌いで、どんなに声を掛けられても無視していた

とにかくしつこいのだ

私が嫌いだとしつこいのだ


「嫌いなら話しかけるな!」 と言っても

「あなたが嫌いだ、嫌いだ」 と言いながら付いてくる


それがまた友人のレストランでよく食事をしていて

向こうで誰かが手を振っている・・ 見るとヤツだ

こうなると食事も不味くなる


ある日その若者は友人のレストランまで付いて来て

近くのテーブルに陣取り、しつこく話しかけてきた

私が嫌いだ、と話しかけて来た


「消えてしまえ」と答えると

その若者は、そこでレジに居る友人の弟のサールジにまで私の事を喋り始めた

あらら・・ あることないことを喋っているぞ

サルージは上の空で適当に聞き流しているのだが

いつまでもしつこいからここでぶん殴っとこうかな

しかし、他のお客も居るし・・


若者を睨みつける魔女に気づいたここの経営者の友人が「どうした?」と聞くので

魔女は「あの男が大嫌いなんだ」と言い

そのまま友人と他愛もない話に移った


翌日、また街でこいつに出くわした

魔女は思わず、すれ違いざまに

右手の中指を彼の目の前に付き立て

「FUCK!」 とつぶやいた

若者は驚いた顔をして横を向いた


つづく