ユリぼうず
昨日の事なんだけど
魔女が《ジョン ブリアン》に会いに行く時・・
僕 「僕も行く!」
魔女 「《ユリぼうず》は会えるかどうかわからないよ」
僕 「なんで!」
魔女 「なんで、って・・」
僕 「差別?」
魔女 「そうじゃなくて、動物には動物の病気が染りやすいからだよ」
僕 「魔女も動物じゃんか」
魔女 「魔女の場合はちょっとだけ種類が違うんだ」
僕 「なら僕だって普通の猫じゃない」
魔女 「宇宙猫でも猫は猫なんだよ」
僕 「・・むつかしい」
魔女 「ちっとも難しかないわ・・」
それで僕も一緒に行った
魔女が病院で僕も《ジョン ブリアン》会わせて、って頼んだ
だけど気難しい女がそれを断った (そういう言い方しないよ!)
魔女 「仕方ないから《ユリぼうず》は待ってて」
僕 「僕は車の中なんかでは待たないよ!」
魔女 「じゃあどこで待つのさ!」
僕 「待合室」
魔女 「・・」
それで魔女は《ジョン ブリアン》の写真を撮ってきて見せるからね、と言って
僕を待合室に待たせて箱(エレベーター)に入って行ってしまった
待合室には何匹かの動物がいた
僕 「ねえ、君、どこが悪いの?」
大型犬 くいっ、 くいっ、
僕 「首をかしげるだけじゃわかんないよ・・」
僕 「じゃあ、君は?」
女の猫 「しゃー! しゃーーー!!」
僕 「礼儀知らずな猫だな・・」
大きな猫 「ねえ、あんた捨てられたの?」
僕 「捨てられてないよ・・」
大きな猫 「だって一人じゃない」
僕 「置いてかれただけだよ」
大きな猫 「それ・・捨てられたって言うんだよ」
僕 「違うよっ!」
大きな猫 「あんたって、どこから見ても捨てられそうなタイプだよね」
僕 「僕は普通の猫とちょっと違うだけだ!」
大きな猫 「あぁ、それで捨てられたんだ・・」
僕 「・・」
魔女が呼ばれた
僕がちゃんと鍵の掛かってなかった自分の籠の戸をバン!って開けて、大きな猫に襲い掛かったから
僕は大きな猫の入っている籠に飛び掛かって
バリバリ籠を引っかいていた
大きな猫は籠の奥で目をでっかくして凄く怯えた
それで大猫の飼い主はキャ~キャ~騒いだんだ
飼い主 「この猫がいきなり飛び掛かって来たんですよ!」
魔女 「《ユリぼうず》、どうした?」
僕 「・・」
飼い主 「ちょっと!写真撮ってる場合じゃないでしょう! お宅の猫が飛び掛かってきたんですよ!」
魔女 「まったく遊び好きな子で・・」
飼い主 「これが遊びですか!」
魔女 「遊びですよ」
飼い主 「この子を叱らないの!」
魔女 「猫を叱ったって無駄でしょう、あなたも猫を飼っていらっしゃるなら既にお分かりでしょうが、そちらの猫の性悪はなかなか直らないんでしょう」
飼い主 「何ですって・・ この子は20万もしたのよ! こういう性格の猫種なの!」
魔女 「その金額・・ うちの猫の足元にも及ばないわ」
飼い主 「はあ~? その猫が・・?」
魔女 「だからこの子もこういう気性の猫種なんです」
病院の人 「あの・・ まあ、とにかく怪我もないことだし・・」
それから魔女はまた《ジョン ブリアン》に会いに行って
少しして戻って来た
戻って来た魔女は元気がなかった
僕 「《ジョン ブリアン》の写真は?」
魔女 「撮らなかった・・」
僕 「見せてくれるって言った」
魔女 「《ジョン ブリアン》、ご飯も食べてなくて辛そうだったんだ・・」
僕 「《ジョン ブリアン》、どうしたの!」
魔女 「大丈夫だよ、もうちょっと待っていればきっと良くなるから」
僕 「・・」
魔女 「大丈夫だから」
僕 「もうすぐハロニャン・・」
魔女 「きっと一緒にパーティー出来るよ」
僕 「・・ 魔女、僕の金額って」
魔女 「ああ、それは《ユリぼうず》にこれまでかかった病院代だ」
僕 「・・」
魔女 「気にしなくていいんだよ、うちには《ユリぼうず》を抜く高額猫が現れたからね、《ユリぼうず》は2位に降格だ」
魔女
《ジョン ブリアン》の膿胸は、今回はその液体の引きが悪く
その上ドレンが詰まってしまって、苦しそうな息をしていた
夕方に軽い手術をしてドレンの詰まりを取り除くそうだ
入院してから10日を過ぎてしまった
ハロウィンまで後2週間
みんな揃ってパーティーが出来ますように