ネパール日記 ~ TOURING ~ | まじょねこ日記

まじょねこ日記

魔女の大切な仲間の猫たちの日常をみてください

魔女


旅も終盤に差し掛かり

ラクスマンがバイクでナガルコットに行こうと言い出した

ナガルコットはヒマラヤが展望できる場所なのだが


魔女 「この時期ではな・・」


ラクスマン 「だからさ、当日の朝ナガルコットの友人に電話をして山が見えるかどうか聞いてみるよ」


魔女 「見えなかったら?」


ラクスマン 「デイブの家で遊ぶ」


魔女 「で、魔女のバイクはどうするの?」


ラクスマン 「魔女は僕の後ろだよ」


魔女 「なんだ・・」


確かにカトマンズ周辺のでこぼこ道と、市街の道の壮絶なラッシュは慣れていないと運転は危ない


そんなこんなで当日

案の定ナガルコットは悪天候で、山は見えないとのこと

それでデイブの家に行く事になった


ようこさんは迎えに来たデイブのバイクの後ろだ

同乗者はヘルメットの義務がない

ウヒョ~! 髪がなびくぜ


出発して間もなく・・


ラクスマン 「魔女! いるのか!!」


魔女 「・・?」


ラクスマン 「魔女! 魔女!!」


魔女 「なに・・」


ラクスマン 「いたのか・・ いったいどうやって乗ってるんだ! ちゃんとつかまれよ」


魔女 「つかまってるよ・・」


ラクスマン 「どこにつかまってるんだ」


魔女 「後ろに出っ張ってるパイプ」


ラクスマン 「なんで!」


魔女 「なんでって・・ 2ケツだから


ラクスマン 「2ケツ・・ って何だよ」


魔女 「Two hips ・・ 日本ではこうやって乗ってるんだ」


ラクスマン 「そうなのか! 日本ではそうやって踏ん反り返って乗りながら片手を振り回すのか」


魔女 「それはたまたま隣の車から知り合いが手を振っるてからだよ」


ラクスマン 「それじゃ挨拶しなきゃ! 初めまして、僕はラクスマンといいます」


ブディ 「やあ、こんにちは! 僕はブディです」



そうこうしながら、バイクは郊外に引っ越したデイブの家に到着


Field 0895
デイブの家からの見晴らしは素晴らしい


とても気が利くデイブは、私たちが他所で連日ダルバートを食べているだろうと予想して

定番のダルバートではなく、炭焼きチキンやフィッシュチップス、フライドポテトなどの料理を用意してくれ、デザートにはザクロもたっぷり食べさせてくれた


Dev family 0895
デイブと彼の妻ギタ、そして息子


楽しい時間を過ごして夕刻にデイブ宅を後にする


ラクスマンは、後ろの魔女に気を使って自分のリュックを前に掛けてバイクに乗った

しかし、肩に掛けたそのリュックのベルトが運転中もひっきりなしに腕に落ちて来て

彼が何度もそれを肩に掛け直すのが気になって・・

肩のベルトが落ちて来ないように、リュックの両側に垂れている別のベルトを、彼の背中で縛ってみた

うん、なかなかいいじゃん!


カトマンズ市内に入って

デイブはそのまま、ようこさんを乗せて仕事場の店へ

ラクスマンはガソリンを入れるからと給油所に

給油所は運転者しか入れないから、魔女は手前で降り、出口の方まで行って通りを渡り、そこで待つ


給油については、これまでのように1日がかりの長い列は解消されており、スムーズに見えたが

手際がよろしくない上に、軍隊の人間がやたらに多く・・

魔女は出口の道の反対側に停まっている戦車の横の鉄柵に腰掛け

軍人のお兄ちゃんと話しをしながら

結構な時間を待たなければならなかった


話の途中で何気に顔をあげて給油所をみると・・

一人の男がパントマイムをしている


魔女 「ねえ、見てみなあの男、パントマイムをしているよ」


軍人 「そうか? 僕には苦しんでいるように見えるけど・・」


魔女 「そうか? パントマイムだろう」


軍人 「ガス ステーションでパントマイムなんかする?」


魔女 「私だったらするね!」


軍人 「・・ やっぱり苦しんでいるよ」


魔女 「そお? ネパール人って目が良いからね、 そうか・・ あの男は苦しんでいるのか」


軍人 「それにしてもひどくもがいている・・ どうしたんだろう」


魔女 「・・ ・・ あれ? あの・・ 服は・・ わあ!」


軍人 「知り合いなのか!」


魔女 「ラクスマン! どうした!!」


魔女は給油所に向って大きな通りを横切り、走った


給油所では・・

ラクスマンがもがいていた

リュックを引っ張って・・

必死の形相でもがいていた


軍人がまわりに集まっている

怪しい男だと言わんばかりだ


ラクスマン 「何だ! これはいったいどうなってるんだ!!」


魔女 「ラクスマン、リュックの紐! 紐だよ!」


軍人達 「待て! 勝手に入るな!」


魔女 「うるさい! 撃てるものなら撃ってみなさいよ!」


先ほどの軍人 「待って!僕が行くから、 で、どうしたっていうんだ?!」


魔女 「彼のリュックの紐を解いて! 私が背中で縛っちゃたの」


先ほどまで話していた軍人が人の輪をかき分けて進み

ラクスマンの背中のベルトを解いてくれた


ラクスマン 「いったい何がどうなっちゃったんだよ・・」


魔女 「ごめん、ベルトが肩から落ちないように私が横の紐で背中に縛った・・」


ラクスマン 「いつ・・」


魔女 「あぁ・・ デコボコ道で気づかなかったんだね・・」


ラクスマン 「背あての方に秘密のポケットがあって、そこにカードを入れておいたんだ、それを出そうとしたらリュックが体から剥がれない!! 何が起こったか分からなくて僕はひどく混乱したんだぞ」


先ほどの軍人 「まるでパントマイムみたいにしてね」


魔女 「うるさいよ・・」


こうしてラクスマンと魔女は、失笑する軍人たちに手を振られて給油所を後にしたのだった


やっとタメル チョークに着いた

サヌカンチャとブックンが通りの向こうで手を振っている


ラクスマン 「魔女、そのロデオみたいな格好、やめろ!」


魔女 「ご機嫌悪い~?」


店に着いて・・


ようこさん 「どこまで行っちゃったのかと思ったよ・・」


デイブ 「ずいぶん遅かったね」


魔女 「友情を確かめ合ってた!」


ラクスマン 「・・デイブ、油断をしてはいけないよ」


デイブ 「どういうこと?」


ラクスマン 「魔女の友情ってのがどれほど危険か・・」


デイブ 「何だか分かるような気がする・・」