ちょっと山登り Ⅸ ~ 終了間際 ~ | まじょねこ日記

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魔女の大切な仲間の猫たちの日常をみてください

魔女


まだまだ石段は続いているが

下方にはちらほらと民家が姿を表し

それがいよいよ麓に辿り着く事を示していた


ラクシミとカマラ、そして魔女は

ネパールの民謡を歌いながら先を下っていた


カマラ 「待って・・」


魔女 「どうした?」


カマラ 「どこかで誰かがマジョの名前を呼んでる・・」


ラクシミ 「ほんとだ・・」


魔女 「人違いだよ」


そしてまた歩き出す  が・・

その声は次第に近づいて来る

(いや、私たちがその声に近づいているんだ・・)


カマラ 「あそこの家で誰かが手を振っているよ」


ラクシミ 「大声で名前も呼んでるよ」


魔女 「・・カマル」


カマル 「お~い! マジョお~!!」


魔女 「カマル・・ こんなところで何やってる」


カマル 「ここは俺の家だよ」


魔女 「へえ、ここが実家なんだ!」


カマル 「まさかこんな所で会うなんて、驚いたよ!」


魔女 「良く魔女に気づいたね」


カマル 「木の枝を振り回しながら大声で歌う女なんてネパールにはいないからね」


魔女 「・・」


カマル 「まあ座ってよ」


強い太陽を避けてひさしの下に座り込む

そうこうしているうちに、ようこさん、マンガール、マノツの一行もやって来た


カマル 「マジョ、こっちが俺の妻と娘と息子、で、あっちが母親だよ」


魔女 「ナマステ、みなさま! で、こちらの色の白い方は・・」


カマル 「彼は韓国から来たんだよ、田舎を体験したいんだって、だからここに泊まってる」


韓国の青年 「こんにちは、アンニョンハセヨォ~」


魔女 「アンニョンハセヨオ~」


Kamarl 0891
左から 韓国の青年、カマル、カマルの妻、そして息子と


カマル 「マジョ、どこに行って来たんだ?」


魔女 「ベシサハール」


カマル 「どうだった?」


魔女 「スコールだったね、おかげで風邪をひいた」


カマル 「だったらジンジャーティー飲む?」


魔女 「飲むね」


カマラ 「マジョ、もう行こうよ」


魔女 「うるさい! ところでカマル、いつカトマンドゥに出稼ぎに戻るの?」


カマル 「1年後くらいかな・・ もう体がボロボロなんだ」


魔女 「見るからにボロボロな体だよね」


カマル 「大きなお世話だ・・」


カマラ 「ねえ、早く行こうよ」


魔女 「うるさい!」


韓国の青年 「あの、これ風邪の薬・・持って行って下さい」


魔女 「どうもありがとう!」


韓国の青年はとても親切なお方だった

私たちはお礼を言って再び歩き出す


やっとリリコットに到着


Bus terminal 0891
リリコットのバスターミナル待合室


ここのバス待合室に私たちを残したまま

マンガールとマノツが消えた


消える前にマノツが

「マジョ、暫くここで待っててね、ごめんなさい」

とだけ言い、どこへ何をしに行くとも言わなかった

そして彼らは当分戻って来なかった


ラクシミ 「マンガールたちはどこに行ったのかなぁ? もうずい分経つのに戻って来ないよ」


魔女 「・・酒場だな」


カマラ 「そうなの!」


魔女 「奴らはやっとここまで来たと安心して、ロキシー(ネパールの地酒)を飲んでいるに違いないんだ・・ よしっ、酒場を片っ端から見て歩くぞ! ラクシミとカマラはあっちの通り、魔女はこっちを探す」


ラクシミ、カマラ 「わかった!」


魔女 「何が何でも探し出して連れ戻すんだ!」


ラクシミ、カマラ 「アイアイ サー!!」


ようこさんはバス停で地元の子供たちの相手をしていたので

その間、私たちは酒場の一軒一軒をくまなく探し始めた


昼間の酒場なんて・・

怪しいおっちゃんたちばっかで

そんな怪しいおっちゃんたちが、

魔女が店に入って行くと、ひどく驚いた顔で一斉に振り返

なんだよ、私を見て一気に酔いが醒めたか?

とある1軒なんて、酒場と菓子屋が一緒になっていて

「ここはあんたが来るとこじゃない、ほら、キャンディーをあげるから帰りな」

なんて言われたし・・


どこを探してもいないわ・・

反対側からラクシミとカマラがやって来る


カマラ 「どこにもいないよ」


魔女 「どこかでロキシーを飲んでるはずなんだが・・」


ラクシミ 「もう一度見て来る!」


暫くして、カマラとラクシミが走って来た


カマラ 「いたよ!」


魔女 「見つけたか! 酒臭かったでしょ!」


ラクシミ 「臭くなかった」


魔女 「なにっ!それはいったいどういう事なんだ」


カマラ 「友だちの家に行ってたっんだって」


魔女 「そこで飲んでたのか・・」


ラクシミ 「だから・・酒なんて飲んでなかったてば」


マノツ 「誰が酒を飲んでたって・・?」


魔女 「・・」


マノツ 「誰がどこで酒を飲んでたって!」


魔女 「・・」


マノツ 「どうして・・いつもそうやって何でも勝手に思い込む?」


魔女 「・・」


マノツ 「バカ・・」


魔女 「うむ・・」


こうして全員が揃い

ジープバスに乗り込んで、ようやくドゥンブレに向う


と思ったら・・

ひっくり返りそうになりながら走っていたジープが

数百メートル進んだ所で止まってしまった


車掌 「車が壊れた・・ ここで降りて」


魔女 「なにっ! 乗ったばっかじゃんか!」


つづく


学校 遅ればせながら、『ちょっと山登りⅡ』 の中で、スピーチコンテストでの緊張したスラジの様子の画像を追加しました。 ご面倒でなければご覧下さい。