ちょっと山登り Ⅷ ~ 下山 ~ | まじょねこ日記

まじょねこ日記

魔女の大切な仲間の猫たちの日常をみてください

魔女


ベシサハールの夜

案の定、恐ろしいほどのスコールが襲った


朝食後、ラクシミと雨上がりの尾根を散策した


昨夜眼下に見た美しい宇宙は

雲の中に見え隠れする麓の風景に変わっていた


濡れた草原や石段をサンダル履きで歩き回るのは

蛭(ヒル)との戦いでもある

人間のようにヒルを撃退できない家畜などは

好きなだけ血を吸われてしまう

蛭に吸い付かれて、口元を血だらけにしている牛がいた


這い上がる蛭を掴んでは投げ掴んでは投げている私を見て

ラクシミが異様な顔をする


魔女 「なに・・ その顔は」


ラクシミ 「・・だって、蛭を手で掴むんだもの」


魔女 「じゃあ他にどうしろっていうの」


ラクシミ 「木の枝でどかすとか・・」


魔女 「んな・・ 面倒くさい」


ラクシミ 「・・」


魔女 「おい、それは人間を見る目じゃないぞ」


ラクシミ 「だって・・」


魔女 「あ、ラクシミ、足に蛭が登ってる」


ラクシミ 「ヒェ~! キャア、キャア、キャア!!」


魔女 「うるさいっ! キャア、キャア言う女は嫌いだ」


ラクシミ 「・・汗


魔女 「すぐにメソメソする女も嫌いだ!」


ラクシミ 「マジョってさ・・ モテないでしょ」


魔女 「うん」


こんなつまんない会話をしながら家に戻り

いよいよ下山だ

また濡れた服を着て、濡れた靴を履き、濡れたままのリュックを背負って・・


足の弱い人には下山の方が辛い

不規則な石段を降りるようこさんの足には

かなりの負担がかかり始めていた


途中で、マノツが遠回りでも足に負担のない広い道で帰ろうと言ってくれ

のんびりとした山道を下る事になった


Yoko&Majoj 0891
途中の民家で木の枝を切ってようこさんに杖を作ってもらった

ようこさんの荷物を背負い、彼女の水筒をぶら下げ

彼女の帽子に日除けの雨傘が良くお似合いのマノツ

いよっ!ガリブ(貧乏)風カップル!


しかし、その途中でマンガールがこっちの道を行く方が早くバスに乗れる、と言い出して
また石段の道に入ってしまった


そのため、ようこさんの足はガタガタになってしまい

彼女を心配するマノツはつきっきりで不規則な石段の一つ一つをようこさんを抱えるようにして降ろした


落ち着きのない魔女がちょろちょろするのが目障りなのか

マジョは先に行け、と言われ

私はまた猿のように先に下り、適当な場所に腰を下ろしては、暫く彼らの姿を待つ事を繰り返した


待っている間には

羊飼いのお兄さんがとうもろこしをくれ

隣に座ったおあばさんがケラ(バナナ)をくれ

若い女性は手製のカジュリ(クッキー)をくれ

また、すれ違ったおじいさんにはリンゴを貰った


Mountain 0891   ようこさん撮影
        山の人々                       


Mountain-2 0891

後ろの老婆は豪華な金の鼻ピアス


早々人に出会う道ではないのだけれど

時たま出会う人が必ず食べ物をくれるため

それらを、調子に乗って食べまくっているうちに・・


喉が・・ どうしようもなく渇いてきた


各自が必要な分の水を携えていなければならないのだが

私は重たい水を持つのが嫌だったし

出発時は喉が渇いていなかった為 (幼児並の浅はかさ・・)

水を少しだけしか持って出なかった 


しかし歩き出すと、じきに太陽が照りつけ始め

それがあっという間に濡れた衣服を乾かした

だから・・ んなものとっくのとうに飲み干しちゃってて


ど、どこかに水はないのか・・

水・・水・・水・・みぃ~ずぅ がぁ 欲しいっ!!


わぁ~! どーしよう

つ、辛すぎる!

もう耐えられない!!


そ、そういえば・・ 

昨日、地元の濁った水を飲んだけど

お腹なんて壊れてないじゃんか・・

そうか・・ 私は何を飲んだって平気なんだ!

こうなったら、誰も来ないうちにそこらへんの水、飲んじゃお


って時に・・ 

ようこさんたち御一行の姿が

クソッ! マズイな・・

また叱られる


魔女は慌てて石に座りなおした

ようこさんたちもここで一休み


この時、私の脳みそは水の事で溢れかえっており

喉の渇きに視点さえも定まらなくなっていた


葉っぱの露までも舐めたい

雨乞いをして、スコール雲を呼び出して

口を大きく開けて・・ 大粒の雨を・・ ああぁぁぁ!


マノツ 「マジョ・・」


魔女 「ああぁぁぁぁ・・」


マノツ 「マジョ!」


魔女 「あぁぁ・・ はい、なんですか・・」


マノツ 「はい、ミネラル ウォーター」


魔女 「わっ・・ み、水だ・・ 水だ!!」


マノツ 「喉が渇いて気が狂いそうなんでしょ」


魔女 「なんで分かったの・・」


マノツ 「何もかもが分かり易過ぎるんだよ・・」


魔女 「ガブガブガブガブ!!」


マノツ 「バカ・・」


さあ、リリコットまでもう一息だ!


ジャヌ! (LET’S GO!)