猫日記 ~ 口裂け女 ~ | まじょねこ日記

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魔女の大切な仲間の猫たちの日常をみてください

ジンジン


夕べは寒くて・・

いまだ夏使用の部屋がやたら寒くて

僕らはずっと喧嘩をしていた


床が冷たいから

みんなして、クッションのある椅子の取り合いになったんだ

椅子は2つあるんだけど、一個にはやたらいろんな物が乗っかっていて使い物にならない


床の上で震えている魔女の後ろでは

ひとつの椅子を巡って壮絶な攻防戦が繰り広げられていた


最初に寝ていた《ジョン ブリアン》が《ユリぼうず》によって呆気なく追い出された

しかしその《ユリぼうず》は《ボンネット》によって立ち退かざるを得なくなった


《ボンネット》はカアチャンと一緒に寝たいだけ・・なんだけど

カアチャンのそばが嬉しいからついふざけちゃって


yuribouzu&bonnet 08929


終いには椅子の上で飛び跳ねる《ボンネット》に

《ユリぼうず》はついに椅子から飛び降りる事になる


その隙に《アゾ》が椅子に乗る

すると《ジョン ブリアン》が

「元々ここは僕の場所じゃないか!」

と必死の抗議を繰り返すのだが

《アゾ》はそれを完全無視


平和主義猫の僕は、《アゾ》を起こさないようにそろそろと椅子に上り、奥隣に横になれば・・ 《アゾ》が椅子から落ちる仕組みになっていて・・ 


すると今度は僕が《ボンネット》に襲われ・・


魔女 「ああもう・・ うるさい!」


僕ら 「あの、寒いんですけど・・」


魔女 「私だって寒いわ!」


それで魔女はひざ掛けと、もうひとつクッションを出して来て

椅子とそれらに僕たちを割り振った


しかし・・

誰もが《ユリぼうず》と一緒は嫌だと言って

一緒に寝てあげなかった


《ボンネット》だけは《ユリぼうず》と一緒に寝たがったけれど

《ユリぼうず》の方がそれを嫌がった

一日中仕事だった魔女は

疲れたのかその場で丸まって眠ってしまい・・


深夜の部屋は

みゅ~、みゅ~、みゅ~ と鳴きながらあてもなく歩き回る《ユリぼうず》の声だけが遠くなったり近くなったりしていた


《ユリぼうず》はずっと歩き回っていた

いつまでも鳴きながら部屋のあちこちを行ったり来たりした


わざとだか何だか分からないけど

《ユリぼうず》は、眠っている僕らや魔女を、構わず踏み歩いた

だからその度、僕らは目を覚まさなければならなかった


《ユリぼうず》は僕を踏んだ後

魔女の顔に飛び移ったりした

なんか変な音がしたみたいだったけど

魔女は変わりなく眠っている


この夜、《ユリぼうず》は一睡もせず

朝までそんな事を繰り返した


僕らは寝不足で朝を迎えた


宅急便のお兄さんのピンポンでやっと魔女が目を覚ました

縮れっ毛をぼさぼさにしてふらふらと部屋を出て行く魔女を見て、僕らはぎょっとした


ヤマトのお兄さん 「おはようございまーす! 魔女さん、食べ物ですよぉ~!」


魔女 「わ~い!わ~い!!」


僕 「ま、ま、魔女・・ ちょっと待って!」


ジョン ブリアン 「行っちゃったよ・・」


ヤマトのお兄さん 「はい! 荷・・」


魔女 「どうもありがと」


宅急便は魔女のお友だちのお母さんからで

大好物のお菓子を抱えて戻って来た魔女は口を尖らして


魔女 「なによ・・ ヤマトのお兄さんったら」


僕 「・・お兄さんどうした?」


魔女 「サイン貰ったら逃げるように走ってった」


ジョン ブリアン 「当然だよ・・」


そう・・ 

目を覚ました魔女の顔は世にも恐ろしいものだった


片一方の口のはじからほっぺにかけて

少し持ち上がるような感じでいっぱいの血がこびりつき

片方とはいえ、それはまさしく口裂け女その者で


さすがの魔女も僕らに言われて鏡を見た時

げっ・・!!

っと叫んだ


しかし顔にこびりついた血を洗い流しても

大きなミミズ腫れだけはしっかり残った


魔女 「しまった!顔を洗う前にブログ用に写真を撮っておくべきだった」


水玉 「・・はた迷惑だろ!」


それから魔女は寒いからと

着る物を探しに古着屋に出かけた


ジョン ブリアン 「いくらなんでもあの顔で出かけるなんて・・」


アゾ 「い、いえに おられっても こ、こわいですから あじょは どっかに行ってほっしいだから よろこびたいんですが・・」


水玉 「何言ってんだよ・・」


ジョン ブリアン 「外が迷惑だよ」


僕 「《ボンネット》なんて、びっくりしてどこかに隠れたきりじゃないか」


水玉 「それにしてもさ、どうしてあんなことになったんだ?」


僕 「夕べ《ユリぼうず》が魔女の顔に飛び乗ったんだよ、そこでバランス崩して・・ たぶんその時・・」


アゾ 「そ、そでは あでですかね・・? まじょの顔が すでに くずれておるからかな?」


水玉 「ほんとに、何言ってんだ、こいつ・・」


ジョン ブリアン 「バランスの崩れた顔も問題だけどさ、それよりあんな傷を作られてもフツーに寝てる神経の方が深刻なんじゃない?」


僕 「それにしても、あの顔で外に出るなんて、恥じ知らずもいいとこだよね」


水玉 「そう言う《ジンジン》だって、いくつもハゲ作って外を歩きまわっていたじゃないか」


僕 「今は僕の事は言ってないだろ!」


僕らがそんな話をしている時

当の《ユリぼうず》は・・


やっと空いた椅子の上で

魔女の服にくるまって、死んだように眠っていた


yuribouzu 08929