お誕生会 | まじょねこ日記

まじょねこ日記

魔女の大切な仲間の猫たちの日常をみてください

ジョン ブリアン


2回寝た前の日は、《伐》と《ジンジン》と《水玉》のお誕生日だった

その日、魔女はお出かけすることになっていて

帰りが遅くなるからって、朝にお誕生会をした


ボスから貰った高級缶詰は《ユリぼうず》と《アゾ》のお誕生会で終わってしまったから

この日のお食事はぶうこさんから貰ったものを食べるんだ


最初に《今日ちゃん》と《伐》のお墓に高級ご飯をお供えする

だから僕たちみんなはお庭に出た

魔女がご飯を持って

僕が一番最初にお外に飛び出した

《伐》の心はいつも食べ物の事で溢れていたから

今日はことのほか喜ぶよ!


僕  「魔女~早く、早く!僕もうお祈りの準備出来たよ!」


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魔女 「待ってよ・・蚊がイヤだ」


水玉 「O型だから仕方ないよ」


魔女 「どこからそんなどーでもいい事覚えて来るんだか・・」


それで魔女がお供えをして

みんなで交代にお祈りした


ううん・・

僕と《インジゴ》はちゃんとお墓の前でお祈りしたんだけど

《水玉》は何でだかお墓の反対側でお祈りしてて

《ジンジン》は目がかゆい・・ばかり言ってて

《アゾ》は何か音がするとそっちばかり見て集中してなかった


するといきなり《ユリぼうず》が僕らをかき分けてお墓の前に進み出た

そして・・

何やらとても変な格好でお墓に向い

小声でみゅ~みゅ~と言い出した

《ユリぼうず》は、しばらくそうやってから

僕らを振り返り、ほっぺを大きく膨らまして言った


「墓参りはこんな風にやるんだ!」


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そばに誰かがいるような気がして横を見ると

いつの間にか《涼子》が隣にいた


《涼子》はじぃーっとお墓を見ていた

それはお真剣に祈りをしているのか、真剣に高級ご飯を見詰めているのか・・

僕にはよく分からなかった


しばらくみんなでそこにいて

お日様が僕らを暑くしてきたから

お部屋に戻った


魔女が《涼子》もお部屋に入ろう、って言ったけど

《涼子》はイヤだって言った


お部屋ではボンネットがひとりで待っていた

そしてついに僕らは高級缶詰を食べた


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《インジゴ》はいつもは小松菜だけど

今日はお誕生会だからミズナだ

《インジゴ》は魚の臭いがイヤだと言って

たいがい僕らと離れた所で食事をする


そして、《ユリぼうず》がまたわかんない事を言い出した


「今日は特別な日だから炊飯器の隣で食べたい!」 



魔女が出かけてから、僕はふと思った


《伐》と《ジンジン》と《水玉》のお誕生日・・

それは僕の父さんのお誕生日なんだ


僕の父さんの名前は僕と同じ《ジョン ブリアン》

僕は2世なんだよ

父さんはここの家にやって来た死に掛けの野良猫、《エダ》の子だったんだ

だから《伐》や《ジンジン》、《水玉》とは兄弟なんだ


気が弱かった父さんは

《今日ちゃん》が恐ろしくてここを出てしまったんだって

僕はここに来て、初めてそれを知った


父さんは森のそばの家に出入りしていた


僕らが母さんに見捨てられて

兄弟はばらばらになってしまい

これからどう生きたらいいか分からなくなっていた時

僕は父さんの言った事を思い出した


父さん 「いいか、どうにもならなくなった時は思い切って森を出て坂を下るんだ。そうするといくつかの道がある。どちらに行こうかと迷ったら、懐かしい気持ちのする方に向えばいい、何も考えずに気持ちが行こうと思う方に向いなさい。そうしたらきっと誰かに出会えるから」


僕  「誰かって・・?」


父さん 「人間だ」


僕  「そんな・・ 人間は恐ろしいものでしょ!」


父さん 「この道を降りて行くと、出会った時にちっとも恐ろしい気持ちがしない人間がいるはずだ、それは父さんも良く知っている人間だから安心していいんだよ」


僕  「どうしたらそれが分かるの?」


父さん 「出会えば分かるさ」


いくら待っても母ちゃんが帰って来なくなった

お腹が減リ過ぎて、虫を捕まえて食べようとした事もあったけど・・  僕には食出来なかった

虫がジタバタして嫌がったんだ


もうだめだ・・と思った時

父さんの言葉を信じて・・ 僕は勇気を出して森を出た

生まれて初めて外の世界に出た


そして

懐かしい気持ちのする方に向って

坂道を降り始めたんだ


      父さん・・ お誕生日 おめでとう