猫の心は複雑で・・ | まじょねこ日記

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魔女の大切な仲間の猫たちの日常をみてください

水玉


夕べ《ユリぼうず》は夜中まで帰って来なかった

そして・・


インジゴ 「あ・・《ユリぼうず》の鳴き声じゃない?」


ジンジン 「そうだよ! ドアの向こうで鳴いている」


魔女がドアを開けた


魔女 「この、《ユリぼうず》! おまえって猫は!」


ユリぼうず 「魔女、おみやげ」


魔女 「なに・・?」


ユリぼうず 「《もりやさん》の親戚・・」


魔女 「あ、ありがと・・」


僕  「魔女ってばヤモリを受け取ってしまったよ・・ 手にヤモリ乗っけてちゃ《ユリぼうず》を追い掛け回してまでお尻をぶてないよな」


ジンジン 「こういう場合の《ユリぼうず》のおみやげって、純粋な気持ちでやってんだか、計画的にやってんだかイマイチ分かんないよね」


魔女は《もりやさん》の親戚と少し遊んでから、外に帰した

《ユリぼうず》の事はそれで終わってしまった

魔女の大切な物を壊しておいて・・  これで終わり?!


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(《ユリぼうず》は自分の複雑な気持ちが一杯になっていて、それをどうしたらいいか分かんなくなって・・ ついあんな行動を取っちゃったんだよね)



《涼子》はあの家出事件からは毎日物置で過ごしている


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今朝、魔女が《涼子》のところに涼みに行こう、と言い出した

みんなでまったりするんだって


学校が夏休みに入り、いよいよ魔女は集中授業に入る

今日から一日中の仕事が何日か続き、忙しくなるらしい


蚊取り線香を持った魔女と《ボンネット》以外の僕らは駐車場の下の物置に向った


涼子 「な、なに・・みんなして」


魔女 「涼みに来た」


涼子 「・・あの生意気な女もいるの?」


アゾ 「・・・」


魔女 「そんな言い方しないの」


涼子 「だって・・」


魔女 「何が気に入らないの」


涼子 「だって・・ その子ってば、私のお化け屋敷を乗っ取ろうとしたんだよ、 毎日毎日《アゾ》がやって来て走り回っているんだもん!」


アゾ 「《ア、アジョ》は あっそんだんだぞ あっそびましただけなんでしょう」


涼子 「あそこは私の場所なの、入っていいのは《べス》だけなんだから!」


アゾ 「な、なんで だけ なんだろうかぁ~ 」


涼子 「苛々する・・ ちゃんとしゃべれ!」 


アゾ 「しゃ、しゃべって おるんだろう だんしょ!」


涼子 「だんしょ、って何! だんしょ、って!」


アゾ 「だんしょ は だんしょだんしょ」


涼子 「この子、本当にムカつく!」


水玉 「涼みに来たってのに、何だか熱いな・・」


魔女 「《アゾ》、お化け屋敷はね、《涼子》の大切な場所なの、だから他で遊びなさい」


アゾ 「ど、どして なんだろうかなぁ~」


魔女 「 《アゾ》は雨が降ればお家に入ればいいし、寒ければお部屋で温まれるでしょ。 《涼子》はひとりで外で暮らしてるのよ、寒い冬も暑い夏も雨の日も台風の日もね。 それでたったひとつの遊び場所がお化け屋敷なの、お化け屋敷は《涼子》のものなんだよ」


ジョン ブリアン 「ええ~!そうだったの!!」


ジンジン 「お化け屋敷が《涼子》のものだったなんて・・」


魔女 「だから入っちゃいけないの」


アゾ 「・・《りょこたん》、おへやに はいったら いいじゃないのか? そっれで いいじゃないかの」


魔女 「《涼子》はお部屋には入りたくないんだって」


アゾ 「わっ、わっ、わっ・・」


僕  「わがままだって言いたいんだろう・・」


アゾ 「そっ、そでは せいかい なんだよ」


魔女 「とにかく、お化け屋敷は《涼子》のたったひとつの遊び場所なの、《涼子》にはそこしかもうないの!」


アゾ 「・・汗


僕  「悔し泣きだ・・」


アゾ 「《りょ、りょこたん》・・ かっわいそー だな」


僕  「違うのか!」


涼子 「別に・・ 私、かわいそくなんかないもん・・」


アゾ 「《アジョ》、もう おばけやっしき いくません・・」


それで僕らは魔女の仕事が始まるまでの時間

風通しのいい物置で好き勝手に寝たりしゃべったりして過ごした


僕  「《涼子》このところお化け屋敷には行かないね」


涼子 「私、ここでお茶碗の見張りをしてなきゃいけないの


魔女 「感じ悪い・・」


ジンジン 「ところで、《涼子》、家出してた間はいったいどこにいたの?」


涼子 「・・トミニャガさんちのお庭」


魔女 「ええっ~! ひょっとしてご飯とか貰った?」


涼子 「うん、だけど少ししか食べなかった・・ だってお茶碗がディズニープリンセスじゃないんだもん」


水玉 「そりゃそうだろうよ」


涼子 「それで私のお茶碗が気になって家のそばまで帰って来て隠れてたんだけど・・ 《ユリぼうず》に見つかっちゃた」


魔女 「やべ・・ トミニャガさんにお礼を言いに行かなきゃ」


子供たちの賑やかな声が聞こえて来た

さあ、いよいよ魔女の仕事が始まる


僕らは思い思いの方向に散らばった

庭から下の道を見ていたら、お化け屋敷とは反対の方に歩く《アゾ》の後姿が見えた