ジョン ブリアン
僕の悪い心が《ボンネット》を嫌がって
でも《ボンネット》が病気でくたん、ってしてると
かわいそうで仕方なくなって、心配でどうしようもなくなって、
だから側で寝るんだけど・・
また《ボンネット》が元気になって遊びだすと
今度は僕が元気をなくす番で・・
《伐》の言った事を守らなきゃ
それは僕に残した『遺言』っていうんだって
《伐》の思いがこもっている、大切な言葉なんだって
そんな事を一生懸命に考えていたら
熱が出た
夕べ僕はご飯も食べないで
体をカンカン熱くさせてクロージェットでうずくまっていた
夜中に魔女が来て、僕を抱き上げ驚いた
魔女 「わっ、《ジョン ブリアン》、何て熱いんだ!」
僕 「・・」
魔女 「いろんな事考えてたら熱が出ちゃったんだね・・」
僕 「・・」
魔女 「無理しなくてもいいんだよ」
僕 「・・」
魔女 「《アゾ》の時だって最初はこんな風になっちゃったけど、
じきに仲良くなったじゃない」
僕 「・・本当は《ボンネット》に優しくしなくちゃいけないのに」
魔女 「《ボンネット》は、今はみんなで色々教えてあげないと分からない事がいっぱいなの。でも、じきに何でも覚えて、私たちは《ボンネット》にかかりきっりにならなくてよくなるからさ」
僕 「そんなんじゃないよ・・ 僕だって《ボンネット》に・・」
魔女 「いいんだよ、なにも頑張らなくたって」
僕 「そうじゃない、僕が嫌いなのは《ボンネット》じゃない・・
《ボンネット》じゃなくて・・ 僕なんだ」
魔女 「・・」
僕 「だから熱が出たんだ」
魔女 「・・?」
僕 「きっとそうなんだ・・」
魔女 「《ジョン ブリアン》の去勢.・・ 時期が早すぎたのかな・・」
僕 「なぁに?」
魔女 「い、いや・・ 何でもない」
今朝になって、クロージェットで寝ていた僕を魔女が抱っこでお部屋に連れて来た
おいしい朝ごはんをもらった
そして、また抱っこでクッションの上に寝かせてくれた
それから魔女は《ユリぼうず》に向かってこう言った
「《ジョン ブリアン》を襲ったら殴るからね!」
それで《ユリぼうず》は、そういった情熱を抑えきれない事を自分でも分かっているものだから、とっとと外に出て行ってしまった
僕はずいぶん眠った
目を開けると、ひとりで淋しそうに寝ている《ボンネット》が見えた
《ユリぼうず》がいないから淋しいんだね・・
僕は心の中で (どうしようかな・・) って思ってた
すると、《ボンネット》が目を覚まして僕を見た
僕 「・・」
ボンネット 「・・」
僕 「・・ 遊ぶ?」
《ボンネット》は目をまん丸くして嬉しそうに飛び起きた
そして僕の方に向かって
小さな体で爪先立ちをし
(オソウゾ・・ オソウゾ・・) って感じの体勢を取った
僕はクッションから飛び降りた
《ボンネット》はその場でバタン!と倒れ、全ての足をジタバタさせた
それからは追いかけっこになった
僕が猫ハウスのてっぺんに駆け上ると、
上れない《ボンネット》が、ぴょんぴょん跳ねながら僕を見上げた
魔女がそんな《ボンネット》を抱えて僕と同じ所に乗っけた
《ボンネット》は怖いものだから板に張り付いて下をのぞいている
僕はそんな《ボンネット》を見てて
「かわいいいな・・」って思った
それからも僕たちはずっと追いかけっこをして遊んだ
魔女が 「ちょっと早いけど飯だよ~」 ってみんなを呼んだ
僕らは台所に駆けてった
ご飯の時、僕と《ボンネット》は隣同士で食べた
いつの間にか僕の体から、カンカンの熱がなくなっていた