通院騒動 Ⅲ | まじょねこ日記

まじょねこ日記

魔女の大切な仲間の猫たちの日常をみてください

ユリぼうず


yuri08128


魔女がトミニャガさんに向かって


「それを動かしちゃダメ~!!」


って叫んだ時は、もう手遅れだった

車の屋根が、後ろで外を眺めていた僕に向かって・・


シャバシャバ バッタン!


トミニャガさん 「ひぇ~い!!」


僕  「びょえ~い!!」


魔女 「・・・」



僕は反射的に魔女のおひざに飛び移った

でなきゃ挟まれるところだったんだ


トミニャガさん 「な、何が起こった?」


魔女 「・・オープンカーになった」


トミニャガさん 「寒いのに?」


魔女 「冬なのに・・」


トミニャガさん 「即刻閉めて下さいまし」


魔女 「手動ですので簡単には閉められません。 《ユリぼうず》振り落とされないようにしっかりつかまってなさい」


僕  「ぐあっし!!」


トミニャガさん 「・・あの、私がやったのかしらねぇ」


魔女 「あなたがやったんですよ」


トミニャガさん 「・・」



信号は度々あったけど、すぐに進めに変わったり、魔女が頑張っても上手く行かなかったりで、車の屋根は当分元に戻りそうもなかった


僕  「ま、魔女・・ 寒い」


トミニャガさん 「さ、寒い・・」


魔女 「ご心配なく、みんな寒いですから、特にまだらハゲの《べス》なんて、うんと寒いと思いますけど・・」


トミニャガさん 「ひぇ~! 大変だ、どうしよう!」


魔女 「ご自分のコートでもかけてあげたら?」


トミニャガさん 「そ、そんな・・ 私が寒い」


魔女 「コートを脱いだらまだらハゲって訳でもないんでしょう・・」


僕  「ぷっ!」


トミニャガさん 「分かりましたわよ! 脱ぎますわよっ」


トミニャガさん [ 四苦八苦 あせる]


魔女 「何なさってるんです?」


トミニャガさん 「ぬ、脱げませんの・・」


魔女 「お城が邪魔で?」


トミニャガさん 「うるさいっ!!」



それで次の信号が止まれの時に、僕が魔女の後ろにまわって、魔女がお城を持ち、トミニャガさんはやっとの思いでコートを脱いで《べス》のお城にかぶせた



トミニャガさん 「わあ~~! 寒い! 

               寒いよおー!」


僕  「魔女、ここは風があまり来なくてなかなか暖かい、

    ずっとここにいていい?」


魔女 「いいよ」



僕が背中の後ろに挟まっているから、魔女は前かがみのすごくおかしな格好で運転した

僕が魔女の肩から顔を出して覗いているからか、または寒いのに薄着のトミニャガさんのせいか、冬なのにオーピュンカーのせいか・・

すれ違う車の運転手さんがみんな、笑いながら、または驚きながら通り過ぎて行く



トミニャガさん 「寒い・・ 寒い・・ もうダメ、助けて・・」


魔女 「もう暫く行って信号を曲がると大きな道に出ますから、そこで車を止めて幌をかぶせます」


トミニャガさん 「し~ばゎゎゎゎらうぁ~くぅぅ~って・・」


魔女 「15分位」


トミニャガさん 「どぅああああーー!!」


僕  「ねえ魔女、トミニャガさんの髪の毛、前よりずっと凄い事になってるよ」


魔女 「放っときなさい・・」



それから暫く行って、広い道の端にやっと車が停まった


(これでやっと屋根が元通りになる・・)

そう思っていたのに・・

後ろにたたまれた屋根に何かが挟まって


魔女が必死になっても

どうにもならないじゃないかあ~!!



僕  「ダメなの・・ ぶるぶる・・」


トミニャガさん 「は、早く・・ 早くっ、 ぶるぶるぶる・・ ぶるぶる」


魔女 「ダメだ・・ ティッシュの箱が変に挟まってしまって・・」


僕  「どうするの・・ ぶるぶる・・」


魔女 「病院の午前の部が閉まっちゃう・・ 仕方ない、このまま行く」


トミニャガさん 「勘弁してくだすゎ~~い あせる


魔女 「行くしかない!」


トミニャガさん 「う、うわ~ん あせるあせる

          もう、耐えられない~!」


魔女 「ご家庭の設定温度が高過ぎるから寒いんです!

    私のコートを貸してあげるから」


トミニャガさん 「魔女さん、ありがとう~~!! ぶるぶる・・」



それで魔女は自分のコートを脱いで渡したんだけど・・



魔女 「・・ トミニャガさん、こんな所でラジオ体操ですか」


トミニャガさん 「き、着られない・・ きっつい・・」


魔女 「・・」


トミニャガさん 「着られなあーいぃ!! 

              もうっ、役立たず!」


魔女 「着なくていいから、羽織って・・」



こうして僕らはオーピュンカーのまま、再び動物病院に向かった



今日もつづく・・