魔女の子供時代 ~雷様となめくじ~ | まじょねこ日記

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魔女の大切な仲間の猫たちの日常をみてください

魔女 


それはその年の

虹の財宝探しより後で、銀紙の爆弾事件の前の


夏の出来事だ


夕方から激しい雨が降り出し

稲妻が飛び交って


まじょは夕食後、森の家に帰る事を両親に止められた


(つまんないな・・)


ハックルとベリーに挟まれて

満腹のまじょは腹を出して寝転んでいた



父  「そんなだらしのない格好でお腹を出して寝ていると、雷様におへそを取られてしまうよ」


まじょ 「・・かみなりさま、おへそをとるの?」


父  「そうだ!」


まじょ 「とってどうするの?」


父  「食べるのさ!」


まじょ 「おへそはおいしいの?」


父  「美味しいんじゃないか? どうも好物らしいぞ」


まじょ 「・・・」


父  「早くお腹をしまいなさい」


まじょ 「おとうちゃん、かみなりさまとあった?」


父  「そりゃ、生きていれば一度や二度は雷様にも会うさ!」


まじょ 「どうだった?」


父  「なかなか有意義な時間を持ったものだと思っているよ」


まじょ 「ゆういぎ・・ってなんだ?」



とにかく、 『へそを出すと雷様がやって来る』

という素晴しい情報にまじょの胸は外に飛び出さんばかりに躍った

雷様には、常々会ってみたいと思っていた



まじょ 「ねえ、ハックル、ベリー、これはいいことをきいたね・・」


ハックル&ベリー 「・・・?」


まじょ 「おへそをだしていると、かみなりさまにあえるんだよ!」


ハックル&ベリー 「・・・?」


まじょ 「おとうちゃんやおかあちゃんにはないしょ・・」


ハックル&ベリー 「・・?」


まじょ 「よるはねなさい! といわれるでしょ」



夜も更けて

両親は眠っている・・


そして・・目をギラギラさせたまじょは、そっとベッドから抜け出した


ハックルたちが 「なに?!」 という風に顔を上げた

まじょは口に人差し指をあてて

彼らに向かい、声を出さずに 「しっ!」 という合図をした


そぉ~っとテラスに出て・・

大雨の中、まじょは雨に打たれ、へそを出して雷様を待った


夜空には雷鳴が轟き

稲妻が縦横無尽に走っている


( かみなりさまがたくさんであばれている・・ 

          あばれれば、あばれるほどきれいだあ )


まじょは自然の作り出す美しさに目を見張り、興奮していた


「いっしょにいこうよ」 と誘ったのに

ハックルたち猫軍団は嫌がって外には出なかった

ただ、ガラス越しにまじょの様子を眺めているだけだった


夜空には大勢の雷様がいる様子なのに

なかなかおへそを取りにやって来るものがいない・・


まじょは自分のへそがまずそうなのかと心配になった

でなければ、汚れているのかな・・

それで、何度もその部分を雨で洗った

何度もこすったので、おへそは赤く腫れあがった


(このほうがおいしそうにみえるから、いいや・・)


だのに・・

次第に雷鳴は遠のいて行き

ついに雷様は姿を現さないまま、どこかへ去って行ってしまった


(ずっとまっていたのに・・ きてくれるとおもっていたのに・・)


悲しかった

絶対に雷様と友だちになれると信じていた


雷様に聞きたい事もいっぱい用意していた


裏切られたような気持ちになってしまって

ただぼんやりと朝までそこにいた


そして・・


肺炎になった


その後の事は何も覚えていない

何日も高熱が続き

まじょは死にかけていたから




次回は、アーカイマさんから聞いたその後のお話しを・・