ジョン ブリアン
近所の家の庭先から
《インジゴ》が、今日もせっせとおみやげの枯葉を運んでいる
インジゴ 「魔女~、おみやげですよお~ 」
魔女 「まあ、今日も? 」
インジゴ 「よっしょ、よっしょ・・」
魔女 「《インジゴ》、毎日素敵な枯葉をありがとうね」
インジゴ 「はい、どうぞ 明日も採って来るね」
魔女 「楽しみに待っているからね」
僕 「《インジゴ》は、毎日せっせと枯葉を持って来るね」
インジゴ 「魔女が喜ぶからね!」
僕 「でも・・ 前よりちょっと少ないね」
インジゴ 「だって・・ 今年はビワの葉が少ないんだもの」
ジンジン 「今くらいでちょうどいいよ、前は多すぎたよ・・」
水玉 「家の中も外も、ビワの枯葉だらけだったものね」
昨年の秋のようす
《インジゴ》が運んでくるおみやげの枯れ葉は
庭から玄関への階段へ、そしてそのまま部屋の中までも続いて行く
僕 「みんな、外に出ると色んなおみやげを持って来るよね」
水玉 「僕は煮干とか、だしの素とか、スープの素とか・・ なんかの役に立つものを持って来るしね!」
ジンジン 「いったいどこからそんな物を持って来てんだよ・・」
水玉 「それは言えない!」
僕 「僕だって、前に鳥さんを持って来たよ」
ジンジン 「道に落っこちていたのを連れて来ただけじゃないか」
僕 「《ユリぼうず》は凄いよね!」
水玉 「あれは誘拐のプロフェッショナルだからね」
ジンジン 「ぜんぜん持って来ないのは僕だけだ・・」
インジゴ 「《涼子》でさえ持って来たものね!」
水玉 「あの時はビビッたね・・」
僕 「でも、すごく《涼子》らしかったと思うな」
ずっと前のお話 (2ヶ月程前)
魔女 「《涼子》、そんなところで何してる?」
涼子 「おみやげ・・」
魔女 「・・ 《涼子》が・・ おみやげ?!」
涼子 「・・・」
魔女 「あ・・ いや、 ありがとう・・ 嬉しいよ!!」
涼子 「えっしょ、 よっしょ、 長いのよ・・ これ」
魔女 「わあ!ねこじゃらしだね! 《涼子》からの初めてのおみやげだ」
涼子 「気が向いたから・・」
魔女 「嬉しいな 」
涼子 「はい、ねこじゃらし、 引っ張ったら根っこごと抜けた・・」
魔女 「どうもありがとう!!」
魔女は《涼子》から初めておみやげを貰って
嬉しそうにお部屋でそれを振り回した
それから根っこ付きのねこじゃらしを髪の毛に刺して頭を振ったりしてふざけていたのが
ふと・・ 動きが止まった
魔女 「・・・なんか動いてる」
僕 「なに?」
魔女 「目の前で・・ なんか 動いてる・・」
魔女は髪に刺した猫じゃらしを抜いた
その茎で、確かに何かが動いていた
魔女 「毛虫だ・・」
ジンジン 「嫌がらせ?」
魔女 「なに言ってるの、そんな訳ないでしょ!」
涼子 「・・・」
僕 「なんだか、《涼子》らしいね・・」
魔女 「魔女は毛虫、好きだから! 《涼子》はそれを知っててサービスしてくれたんだもんね」
涼子 「・・・」
僕 「魔女、《涼子》が走って行っちゃったよ!」
魔女 「《涼子》、待って! おみやげ・・ ありが・・とう・・」
それっきり・・
《涼子》は二度とおみやげを持って来ない